大観音境内の浄土橋から望む2017年の初日の出。美しい光景に参拝客もうっとり
初日の出遥拝と初詣が同時に行える人気スポット、大平町の釜石大観音は、元日の日の出前の時間帯、駐車場へ続く道が渋滞する混雑ぶりを見せ、拝観発券所前には順番待ちの長い列が続いた。
釜石湾を望む境内では、初日の出を拝める場所に参拝客が陣取り、太陽が顔を出すのを今か今かと待ちわびた。尾崎半島の稜線を染める朱色が次第に濃くなり、午前7時、まばゆい陽光が湾内に差し込むと、手を合わせ写真に収める元日ならではの光景が広がった。参拝客は「良い年に」と願いを込め観音様にお参り。おみくじを引いたり、お守りやお札を買い求めたりし、新年の誓いを新たにした。
釜石大観音は昨年、「恋人の聖地」に選定された。初日に輝くモニュメントの前では、多くの人たちが記念撮影するなどし、新たな名所を楽しんだ。
御来光でうっすらと紅色に染まる大観音をバックに初日の出を眺める参拝客ら
甲子町の佐野茂樹さん(58)は「昨年は何事もなく、家族みんな健康で過ごせた。今年もそれが一番です」と妻、息子と3人で初詣。釜石の復興について「道路整備も進み、今年は市民ホール(仮称)もできる。目に見えてきた感じ。昔のにぎわいが戻ってほしい」と願った。
同級生6人で訪れた釜石中3年の菅原柚水さん(15)は「高校受験で合格できるように」と祈願。中学校最後の一年を「部活や文化祭に力を入れ、たくさん思い出ができた」と振り返り、本格化する受験勉強の追い込みに気を引き締めた。
大観音の正月三が日の参拝者数は昨年並みの約1万3千人。照井良知総務部長は「雪が降らず道路事情が良かったことで内陸からのお客さまも多かった。小さなお子さま連れの家族も目立った。今年は酉(とり)年。幸せを”とり”込む一年になれば」と期待を込めた。
大観音を運営する大只越町の石応禅寺(都築利昭住職)は、「除夜の鐘」を鳴らし新年を迎えた。周辺に復興住宅ができたこともあってか、今年は例年を上回る人が訪れたという。
(復興釜石新聞 2017年1月7日発行 第552号より)
釜石大観音
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