達増知事(中央)と意見を交わした釜石市と大槌町の6人

県政懇談会 定住促進、地域づくりにスポット〜夢や希望 達増知事、6人と意見交換

達増知事(中央)と意見を交わした釜石市と大槌町の6人

達増知事(中央)と意見を交わした釜石市と大槌町の6人

 

 県は27日、「復興~夢と希望を次へつなぐ」をテーマに、釜石市新町の県釜石地区合同庁舎で県政懇談会「がんばろう!岩手」を開いた。観光、都会などからの移住・定住、起業、地域づくりなどにスポットを当て、釜石市と大槌町の企業や団体で復興、復興支援などに取り組む6人と達増拓也知事が意見を交わした。

 

 釜石市から出席したのは、伊藤聡さん(三陸ひとつなぎ自然学校)、菊池成夫さん(橋野町振興協議会)、宮崎敏子さん(三陸いりや水産)、タタナ・ダラスさん(釜石シーウェイブスRFC)の4人。

 

 震災後の12年に社団法人を立ち上げ、滞在型の支援ボランティアを受け入れ、さまざまな形の人材育成事業などに取り組む伊藤さんは「観光を通じて人を増やしたい。地域の人と交流することが移住につながる。互いが育ちあい、地方を発信するモデルをつくりたい」と思いを語った。

 

 橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで観光客などのおもてなしに当たる菊池さんは「世界遺産を地域振興につなげたい。小中学生の修学旅行も呼びたい」。和山高原の風力発電事業増強の動きも紹介し、「原発に縁のない岩手をアピールし、グリーンツーリズムを推進したい」と意欲を示した。

 

 津波で浜町の実家が被災、震災後、水産会社を立ち上げた夫と甲子町の仮設住宅で暮らす宮崎さんは「自治会長を務め、人と人がつながるコミュニティーづくりの大切さを痛感した。仮設住宅の集約を控え、次のステップへ向け気持ちの体力づくりを行っている」と近況を報告。「大人が育つことで子どもも育つ。人づくりのバックアップが必要では」と提案した。

 

 ホテルマンとして働くタタナさんは「ラグビーのまち釜石をアピールしたい。試合にも勝ちたい」などと緊張の面持ちで話した。

 

 達増知事は「人材を登用し、まちを磨く。釜石は外からやってきた人の力を組み合わせてやっているところがすごい」と共感。「若い人の住む場所を確保するのが大変だ」などと課題も示した。

 

(復興釜石新聞 2016年4月30日発行 第483号より)

 

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「釜石ワイン」の誕生を喜ぶ関係者

「釜石ワイン」発表、発売へ〜地元産ブドウ100% 醸造所も計画

「釜石ワイン」の誕生を喜ぶ関係者

「釜石ワイン」の誕生を喜ぶ関係者

 

 遠野市のNPO法人・遠野まごころネット(臼澤良一理事長)は23日、釜石市甲子町の「天洞(あまほら)ヴィンヤード(ブドウ園)」で収穫したブドウを原料に初めて醸造した「釜石ワイン」(仮称)を発表した。同法人は遠野市に醸造所も開く予定で、ワインの一貫生産による東日本大震災被災地の活性化、障害者を中心にした就労・就農支援事業などを推進する。

 

 「あまほらヴィンヤード」は2014年5月に作付け。長野県東御市のワイナリー「はすみふぁーむ」を経営する蓮見よしあきさんが協力し、ボランティアとともにピノ・ノワール、ケルナー、シャルドネなど、赤、白ワインに適した6種類の苗を植えた。翌年も追加し、約3千平方メートルに1050本を育てる。昨年秋、2年目の苗から30キロのブドウを初めて収穫した。蓮見さんが自社で醸造、ロゼ(ピンク色のワイン)10本(1本750ミリリットル)に仕上げた。

 

 発表会はイオンタウン釜石で行われ、協力者やスタッフなどが試飲した。記念の1本が贈られた野田武則市長は「色がきれいで、香りは若々しい。この取り組みが多くの人に良い影響を及ぼしている。民間がやることが大事で、行政は手助けする。それが地域創生につながる」と期待を述べた。

 

 蓮見さんは「今回は収量が少ないのでロゼにした。ワインは地元の食材に合わせて味わう。それが根付くことがワイン文化。時間をかけて取り組んでほしい」とエールを送った。

 

 遠野まごころネットと、イオングループは「釜石ワイン」の販売合意書、世界的金融大手のバークレイズは就農支援プログラムを発表。地元産のリンゴを原料とするシードル(果実酒)の今年の販売計画も発表された。

 

 鵜住居町の二本松農園が生産したジョナゴールドなど3種を使った「釜石林檎シードル」(750ミリリットル)1千本、遠野産の「遠野林檎シードル」(同)700本を5月5日から販売する。いずれも蓮見さんが醸造した。イオンタウン釜石と二本松商店のほか、遠野駅や盛岡駅でも販売する。価格は1本2200円(税別)。

 

5月5日には林檎シードル2種も販売される

5月5日には林檎シードル2種も販売される

 

 「あまほらヴィンヤード」では、併設するレストランのほか、本年度中に「ものづくり棟・就労支援施設」を建設。遠野市綾織町には広さ約1ヘクタールの「寒風(さむかぜ)ヴィンヤード」の整備も予定する。

 

(復興釜石新聞 2016年4月27日発行 第482号より)

 

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新緑をバックに煙を吐きながら鉄橋を進む「SL銀河」

新緑に響く汽笛「SL銀河」3年目出発進行〜釜石駅へ一番列車 にぎやかに出迎え

新緑をバックに煙を吐きながら鉄橋を進む「SL銀河」

新緑をバックに煙を吐きながら鉄橋を進む「SL銀河」=24日午前10時57分、第三甲子川橋梁

 

 沿線が新緑に包まれ始めたJR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)で23日から、蒸気機関車「SL銀河」の3年目の定期運行が始まった。釜石駅では、運行再開一番列車を歓迎の横断幕や郷土芸能で出迎え、浜の汁物をお振る舞い。市民らの温かいおもてなしに乗客が喜びの笑顔を広げた。

 

 午後3時7分の釜石駅到着を前に、線路をはさんだシープラザ釜石入り口付近には市民らが集まり、到着を待ちわびた。高らかな汽笛を響かせたSLが姿を現すと、ホームでは観光関係者や釜石市のキャラクター「かまリン」などが手を振ってお出迎え。駅前の「ホテルフォルクローロ三陸釜石」に勤務する釜石シーウェイブスRFCのダラス・タタナ選手(24)はジャージー姿で、ラグビーのまち釜石への訪問を歓迎した。鵜住居青年会が虎舞を披露し、旅の思い出を演出した。

 

 夫と乗車した紫波町の藤本美奈さん(53)は「一度は乗ってみたいと思っていた。市民の皆さんが本当に歓迎ムードで、気持ち良く到着できた。今度は走っている(SLの)姿を見てみたい」と期待を膨らませた。

 

 駅舎前では釜石観光物産協会がホタテの稚貝汁を乗客に振る舞い、好評を博した。「とてもおいしい」と箸を進めた千葉県千葉市の青木幸弘さん(54)夫妻は、妻律子さんの3年越しの念願がかなってSL銀河に初乗車。「宮沢賢治の物語をモチーフにした列車はロマンチックで座席も快適。車内の駅弁や地ビール、沿線のイベントと魅力いっぱいで、(乗車の)5時間があっという間。今日は釜石に宿泊し、明日もSLで帰ります」と声を弾ませた。

 

乗客を喜ばせたホタテの稚貝汁のお振る舞い

乗客を喜ばせたホタテの稚貝汁のお振る舞い

 

 SL銀河(客車4両、定員176人)は、観光面からの復興支援と沿線地域の活性化を目的にJR東日本が2014年から釜石線に導入。運行2年目の昨年は土・日を中心に75本の定期運行を行い、延べ約1万500人が乗車。平均乗車率は1年目を約1割下回り8割となったが、根強い人気を集めている。

 

 今年の運行日程は8月まで決定。5月の大型連休期間は4、5の祝日も運行される。

 

 24日は、花巻に向かうSL銀河の出発式が釜石駅ホームで行われた。JR東日本盛岡支社の嶋誠治支社長は「SL銀河で多くのお客さまに釜石を訪れていただくことで復興を後押しし、沿線の方々に少しでも喜びを感じてもらえれば」とあいさつ。野田武則市長は「SL銀河は、明治日本の産業革命遺産の原点である日本人が培ってきた技術、将来への思いの象徴とも言える」とたたえ、さらなる観光客増加に期待を示した。

 

楽しいSLの旅を願い出発合図をする角谷駅長とマヘ選手

楽しいSLの旅を願い出発合図をする角谷駅長とマヘ選手

 

 出席者8人でくす玉を割り、釜石駅の角谷公博駅長と釜石シーウェイブスRFCのマヘ・トゥビ選手(35)が出発を合図。唐丹町の桜舞太鼓が威勢のいい太鼓の音を響かせる中、午前10時55分、春の日差しに輝く黒い車体が力強く動き出した。

 

(復興釜石新聞 2016年4月27日発行 第482号より)

 

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三陸駒舎

馬と触れ合い 地域を元気に、三陸駒舎に2頭〜民宿やトレッキング エコーツリズムを展開

三陸駒舎

やっと到着した2頭の馬をやさしく見守る黍原さん

 

 築90年の古民家を改修した釜石市橋野町中村の一般社団法人「三陸駒舎」(寄田勝彦代表)に20日、2頭の白馬がやってきた。馬と共生する文化の再生と、被災地の子どもらの心のケアなどに取り組むホースセラピーの活動が、いよいよ始まる。5月の大型連休期間中から試験的に、馬との触れ合いイベントを行う予定だ。

 

 馬はいずれも雌の道産子で、2歳と6歳。寄田代表が経営する島根県雲南市の牧場から1日半をかけて運んできた。当初は昨年8月に導入する予定だったが、古民家の改修に時間がかかり、半年以上遅れた。

 

 専用の搬送車から降りた2頭は早速、新たに広さ180平方メートルほどに整備された馬場を元気よく駆け回った。子どもらは水や餌やりを楽しみ、近所から駆け付けた80歳代の男性は「子どものころは、このあたりの農家はどこでも軍馬を育てていた」と懐かしそうに馬を見守った。

 

 馬の到着を心待ちにしていた同法人理事の黍原豊さん(39)は「馬との暮らしを中心とした交流を通して新たな仕事を生み出し、馬も増やして地域を元気にしたい」と夢を膨らませる。現在、古民家の2階を住居に改修しており、来月から妻里枝さん(42)、長女ゆらいちゃん(4)と3人で住み込み、馬の世話に当たる。

 

 黍原さんは愛知県出身で岩手大農学部卒。専門は林学で、一時、葛巻町の廃校を利用したエコスクール「森と風のがっこう」のスタッフとして活動した。震災後、「釜援隊」に応募して活動。その中で、各地で教育牧場を経営する寄田代表と出会ったことで馬に興味を持つようになった。

 

 昨年4月に立ち上げた三陸駒舎は古民家を拠点に、馬と共生する民泊体験を受け入れるほか、馬による耕作体験やトレッキングなどエコツーリズムを展開。障害のある子どもたちを対象にしたホースセラピーも行う。黍原さんは「馬との暮らしをつなぎ合わせながらコミュニティビジネスへ発展させ、より良い形で地域を次世代に手渡したい」と思いを込める。

 

 とはいえ三陸の山間地で、果たして需要はあるのだろうか。この疑問には、国内外15カ所で教育牧場を展開する寄田代表がこう答える。「馬はセラピーの王様と言われる。牧場はいずれも黒字。釜石でも、きっとやっていける」

 

 引き馬など本格的な触れ合い体験は6月ころから始めたい考えだ。

 

(復興釜石新聞 2016年4月20日発行 第480号より)

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Oh! マチ Music Festa 2016

Oh!マチ Music Festa 2016

Oh! マチ Music Festa 2016

 

「Oh!マチ Music Festa」は商店街がつくる音楽イベントです。釡石の東部地区、通称「マチ」では、営業を再開する店が年々増え続け、ようやく街並みができつつあります。そこで、市民バンドの奏でる音楽でマチにぎわいをつくり、 青葉通りに商品を持ち寄ってマルシェ(市場)を開き、マチのお店を知ってもらう機会をつくりたい… そんな思いで今年、第2回目を開催します。5月3日は東部が熱い!来たれ、マチへ!集え、青葉へ!

 

【同時開催】青葉マルシェ
東部地区商店街の自慢の逸品がずらりとテントに並びます。フリーマーケットやキッチンカーも多数出店します!

 

日時

2016年5月3日(祝・火) 11:00〜16:00 ※荒天中止
フィナーレでは餅まきも開催!

場所

岩手県釜石市大町青葉通り

タイムテーブル

■サン・ステージ(ホテルサンルート釜石前)
10:50-11:00 オープニング
11:00-11:30 アクションズ(ロック/釜石市)
11:45-12:15 LOVITT(ロック、釜石市)
12:30-13:00 Dr.AKIPOLD(ロック、花巻市)
13:15-13:45 光(アコースティック / 盛岡市)
14:20-15:00 climbgrow(スペシャルゲスト)
15:20-16:00 fuyuco. feat.K:soul:Y a.k.a.YAN(スペシャルゲスト)
16:00- フィナーレ(挨拶・餅まき)

 

■ベイ・ステージ(釜石ベイシティホテル前)
11:15-11:45 釜石ベンチャーズ(ロック、釜石市)
12:00-12:30 lumberjack(アコースティック / 宮古市)
12:45-13:15 迷奇(ロック、奥州市)
13:30-14:00 久保田雅damit.くぼちー(ポップス、宮古市)
14:15-14:45 ハガ&ゾンビーツ(アコースティック / 埼玉県川口市)
15:00-15:30 いちご☆すたぁ(ロック、滝沢市)

スペシャルゲスト

climbgrow
滋賀県大津市出身のティーンエイジバンド。10代限定のロックフェス『閃光ライオット2014』で1万組を超える応募バンドの中で準グランプリを獲得し、インディーズロックシーンを賑わせている実力派4ピースが岩手県初上陸。このライブはいつかこのマチの伝説になる!

 

fuyuco.(feat.K:soul:Y a.k.a.YAN)
2003年にメロディックパンクバンド L.A.SQUASHを結成。2009年の解散後は自身のルーツに立ち返り、京都を拠点としてピアノの弾き語りによる活動を開始する。今回は、釜石でのボランティア活動に参加した仲間でもある絵描き「K:SOUL:YakaYAN」とのコラボによるライブアートを披露!

 

主催

Oh!マチ Music Festa実行委員会
共催:釜石市大町商店街振興組合
後援:釜石市、釜石商工会議所、釜石観光物産協会、釜石市芸術文化協会、釜石東部コミュニティ振興グループ
協賛:株式会社トヨタレンタリース岩手

問い合わせ

電話 0193-55-4672 / Mail ohmachi.music.festa@gmail.com
公式サイト https://ohmachi-musicfesta.jimdo.com

Oh!マチ Music Festa 実行委員会

Oh!マチ Music Festa 実行委員会

問い合わせ:Oh!マチ Music Festa 実行委員会 / TEL・FAX 0193-24-3660 公式サイト / メール
広報かまいし2016年5月1日号(No.1639)

広報かまいし2016年5月1日号(No.1639)

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/05/02/1639.pdf

広報かまいし2016年5月1日号(No.1639)

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【目次】
表紙:「鐵のふるさとスタンプラリー」始めました
P02:新たに鵜住居地区が「商業特区」に認定
P04:犬の登録と狂犬病予防注射を実施しましょう
P05:軽自動車税の減免・非課税制度があります、橋野鉄鉱山八重桜まつり
P06:今月のインフォメーション、おもいをつむぐはなみずき
P08:身近な防災豆知識24、釜石地区被災者相談支援センターをご利用ください、市長のつぶや記

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111 / 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/1201145_2596.html
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省力化、自動化が進んだ最新の製造ライン

岩手缶詰 新工場稼動、30年ぶり 釜石に拠点〜水産業復興加速に期待

岩手缶詰の新工場

浜町に完成し、見学会が行われた岩手缶詰の新工場

 

 釜石市に本社を置く岩手缶詰(石田昭光社長)の新工場が浜町2丁目に完成し、21日、関係者による見学会が行われた。新工場は市が公募した水産業復興支援事業の第1号で、同社が地元釜石に製造拠点を構えるのは30年ぶり。人手確保が難航し、当面は40人程度の従業員で操業を始めるが、最終的には100人規模の雇用を見込む。今秋には隣接地に新魚市場も完成する予定で、市は「魚市場の後背地に整備する水産加工団地のモデルに」と期待する。

 

 新工場は鉄骨造り2階建てで床面積は約4700平方メートル。主にサバやサンマなどの缶詰を製造する。製造ラインは3つあるが、当面は1ラインで稼働。初年度の年間生産額は10億3千万円を見込み、将来的には約20億円を目指す。

 

 津波浸水地にある約9700平方メートルの敷地は市が買い上げた上、1メートル程度かさ上げした。建物や機械などの投資額は約24億7千万円。水産協同利用施設復興整備事業の採択を受け、国と市が8分の7を補助した。用地の一角にあった本社は取り壊し、駐車場として活用。新工場はすでに3月28日から稼働を始めている。

 

 同社は1941年に設立。釜石市嬉石町に創業以来の工場があったが、86年に閉鎖した。震災では大船渡市の2工場が全壊。釜石の本社も3階まで浸水した。両工場は2013年に統合し再建。現在は盛岡市や宮古市など県内5工場で缶詰のほか冷凍食品、ゼリー、ジュース、ワインなどを製造している。

 

 見学会には約100人が参加し、省力化・自動化が進んだ最新の製造ラインを視察。大町のホテルサンルート釜石に会場を移し、竣工(しゅんこう)祝賀会が開かれた。

 

省力化、自動化が進んだ最新の製造ライン

省力化、自動化が進んだ最新の製造ライン

 

 石田社長は「人手不足が課題だが、周囲に復興公営住宅が完成すれば働く人も集まるのではないか」と期待。「地元の水産物を生かした新製品の開発にも力を入れたい」と意欲を示した。

 

(復興釜石新聞 2016年4月20日発行 第480号より)

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平田第6仮設団地自治会のメンバー

テーマは「心磨き」 交流のパネル展示、釜石市ー東海市 絆結ぶ

平田第6仮設団地自治会のメンバー

加木屋中美術部員と共同制作した作品を前に笑顔を見せる平田第6仮設団地自治会のメンバー

 

 釜石市と姉妹都市の愛知県東海市との絆を結ぶ作品が、平田第6仮設団地内にある平田パークホールに展示されている。点描のピースを組み合わせたパネル作品で、東海市立加木屋中の美術部と同団地住民との共同制作。同団地自治会の森谷勲会長は「両市の友情と絆を感じる作品。この結びつきを長く大切にしていきたい。その思いを多くの人にも感じてもらう機会にもなれば」と、団地があり続ける間の掲示を決めた。

 

 同校と釜石市との交流活動は、東海市が推進する「輝く学校づくり事業」の一環として2013年度から始まった。「心磨き、釜石との交流」をテーマに、1年目は被災地見学と住民の聞き取り調査を実施。2年目は吹奏楽部の生徒が同団地で演奏会を開いた。昨年は、7月に美術部員6人が訪れ、住民と一緒にパネルの制作に取り組みながら交流。作品は部員が持ち帰って仕上げ、額に収めて東海市で公開した後、今年3月に同団地に贈られた。

 

 パネル作品は「絆」と題し、大きさは縦105センチ、横75センチ。東海市の花ランと釜石市の花ハマユリや海をモチーフに、力強く握手する手で両市民の絆を象徴的に表している。ポスターカラーと綿棒を使って点描技法で彩色した70片のピースを張り合わせて作製。同団地からは住民20人が参加した。

 

 森谷会長は「住民は、孫のような子たちに手を取ってもらったり、声をかけてもらうのがうれしい」と中学生との交流を振り返った。同自治会の菊池隆事務局長は「付き合いを継続してくれているところは少ない」としみじみ。佐々木新治副会長は「気にかけてくれている人がいるのがありがたい。気持ち良く受けとり、思ってくれていることへの感謝の気持ちをなくさないようにしていかないといけないね」と作品を見つめた。

 

 この作品と一緒に同校の生徒から手紙と絵はがき32点も届いた。花や街の風景を描き、「少しでも笑顔になるように」「復興が今以上に進むようにと願いを込めて」などとメッセージが添えられている。住民との交流に「たくさんの知識と元気をもらった。一生忘れられない思い出になりました」とつづられた手紙も。現在、作品とともに展示されている。

 

(復興釜石新聞 2016年4月20日発行 第480号より)

 

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中の沢メガソーラー発電所の完成予想図

遊休地を有効活用〜日鉄鉱業 鉱滓堆積場で太陽光発電、甲子町大橋で起工式

ソーラー発電所が建設される中の沢堆積場

ソーラー発電所が建設される中の沢堆積場

 

 日鉄鉱業(本社東京、佐藤公生社長)は15日、釜石市甲子町大橋の「中の沢堆積場」に整備する太陽光発電所の起工式を行った。旧釜石鉱山事務所の北側にある同堆積場は約17万平方メートルの広大な平地で、モトクロスコースとして使用されたこともあるが、現在は遊休地となっている。発電所は今年12月の稼働開始を目指す。

 

中の沢メガソーラー発電所の完成予想図

中の沢メガソーラー発電所の完成予想図

 

 施設名は「釜石中の沢メガソーラー発電所」。堆積場のうち約5万平方メートルを発電所の敷地に充て、9240枚の太陽光発電パネルと付属設備を建設する。最大出力は1990キロワットで、一般家庭約500世帯の電力をまかなう発電能力を持つ。工事はNSテックスエンジ(本社東京、升光法行社長)が請け負う。

 

 起工式には関係者35人が参加し、神事で工事の安全と事業の成功を祈った。佐藤社長は「東日本大震災から5年。釜石市は力強く復興の歩みを進めている。この事業が災害に強いまちづくりに役立ち、地域のエネルギー安定供給につながるよう願う」とあいさつした。

 

起工式でくわ入れする佐藤社長

起工式でくわ入れする佐藤社長

 

 日鉄鉱業は遊休地の有効活用策として国内各地にメガソーラーの建設を進めている。釜石市内では、15年1月から稼働を始めた甲子町大松地区に次いで2カ所目の施設。全国では7カ所目になる。発電規模はほとんど同じという。

 

 市内の大規模太陽光発電施設は、建設工事が進む楢ノ木平を含め3カ所目。

 

 中の沢堆積場は1955年から71年まで、釜石鉱山の鉱滓(さい)を集積。旧釜石鉱山事務所の北側に位置し、高さは約120メートルにも及ぶ。広大で人里離れた立地を生かし、モトクロスコースへの転用が検討されたこともある。安全管理の面で、一般の立ち入りは制限されている。

 

(復興釜石新聞 2016年4月20日発行 第480号より)

 

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