テーマは「心磨き」 交流のパネル展示、釜石市ー東海市 絆結ぶ
加木屋中美術部員と共同制作した作品を前に笑顔を見せる平田第6仮設団地自治会のメンバー
釜石市と姉妹都市の愛知県東海市との絆を結ぶ作品が、平田第6仮設団地内にある平田パークホールに展示されている。点描のピースを組み合わせたパネル作品で、東海市立加木屋中の美術部と同団地住民との共同制作。同団地自治会の森谷勲会長は「両市の友情と絆を感じる作品。この結びつきを長く大切にしていきたい。その思いを多くの人にも感じてもらう機会にもなれば」と、団地があり続ける間の掲示を決めた。
同校と釜石市との交流活動は、東海市が推進する「輝く学校づくり事業」の一環として2013年度から始まった。「心磨き、釜石との交流」をテーマに、1年目は被災地見学と住民の聞き取り調査を実施。2年目は吹奏楽部の生徒が同団地で演奏会を開いた。昨年は、7月に美術部員6人が訪れ、住民と一緒にパネルの制作に取り組みながら交流。作品は部員が持ち帰って仕上げ、額に収めて東海市で公開した後、今年3月に同団地に贈られた。
パネル作品は「絆」と題し、大きさは縦105センチ、横75センチ。東海市の花ランと釜石市の花ハマユリや海をモチーフに、力強く握手する手で両市民の絆を象徴的に表している。ポスターカラーと綿棒を使って点描技法で彩色した70片のピースを張り合わせて作製。同団地からは住民20人が参加した。
森谷会長は「住民は、孫のような子たちに手を取ってもらったり、声をかけてもらうのがうれしい」と中学生との交流を振り返った。同自治会の菊池隆事務局長は「付き合いを継続してくれているところは少ない」としみじみ。佐々木新治副会長は「気にかけてくれている人がいるのがありがたい。気持ち良く受けとり、思ってくれていることへの感謝の気持ちをなくさないようにしていかないといけないね」と作品を見つめた。
この作品と一緒に同校の生徒から手紙と絵はがき32点も届いた。花や街の風景を描き、「少しでも笑顔になるように」「復興が今以上に進むようにと願いを込めて」などとメッセージが添えられている。住民との交流に「たくさんの知識と元気をもらった。一生忘れられない思い出になりました」とつづられた手紙も。現在、作品とともに展示されている。
(復興釜石新聞 2016年4月20日発行 第480号より)
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