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120年前からのメッセージ〜明治三陸大津波写真展、釜石市郷土資料館

120年前の津波被害や人々の様子をとらえた写真が並ぶ

120年前の津波被害や人々の様子をとらえた写真が並ぶ

 

 釜石市鈴子町の市郷土資料館(菊池清太館長)で、企画展「明治三陸大津波写真展―120年前からのメッセージ」が開かれている。陸に打ち上げられた大型船、全壊した家屋、広範囲に散らばる流木、ぼうぜんとする人々など、明治三陸大津波(1896年=明治29)が発生した後の釜石市内を鮮明にとらえた写真を展示。当時の津波被害の大きさを克明に伝える写真は、東日本大震災の被災状況と重なる。6月19日まで。

 

 写真は、東京都在住の古写真収集家、石黒敬章さんが保存。石黒さんの父親が、明治時代を代表する写真師・中島待乳(なかじま・まつち/1850-1915)の遺品として入手したアルバムの中にあった。石黒さんから提供された48点のうち、120年前の惨状をとらえた27点を同資料館入り口と津波資料コーナーの一角に展示。デジタル・フォト・フレームでも紹介する。

 

 関連展示として、「大海嘯(かいしょう)極惨状之図」2点、「三陸東海岸大海嘯被害図」1点、旧釜石鉱山事務所所蔵の風俗画報(大海嘯被害録)1冊、両石・唐丹・石応禅寺の津波記念碑の写真3点と解説パネルも。周辺には今回の震災の記録や資料も並んでいる。

 

 菊池館長は「いつ、どこで、どんな形で災害が発生するか誰にも予想つかないが、沿岸部に住む者として、津波に関する危機意識を常に持つことは誰も避けて通れない。そのことが家を守る、家族を守ることになる。親から子へ、子から孫へ受け継いでほしい」と企画展開催への思いを話した。

 

 開館時間は午前9時半から午後4時半まで。火曜休館。

 

(復興釜石新聞 2016年5月21日発行 第488号より)

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

菜種油「油いっこ」を前に思いを語る山田代表(中)

「菜の花プロジェクト」収益を復興に〜雇用、交流拡大に貢献、ユナイテッドグリーン推進

菜種油「油いっこ」を前に思いを語る山田代表(中)

菜種油「油いっこ」を前に思いを語る山田代表(中)

 

 東日本大震災で被災した釜石市内の土地や周辺の耕作放棄地に菜の花を植え、景観づくりや塩害などの土壌改良、菜種油の製造・販売などに取り組む一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表)は11日、「復興のために役立てて」と、市に15万円を寄付した。同法人が推進する「菜の花大地復興プロジェクト」では地元雇用やボランティアとの交流も広がっており、寄付金を受け取った野田武則市長は「生活の場からの復興発信につながる」と感謝した。

 

山田代表「釜石は理想の地」

 

 山田代表(58)はバイオディーゼル燃料で世界一周走行を果たしたフォトジャーナリスト。震災を機に「循環型地域づくり」を発信しようと釜石に移り住み、13年3月に同法人を設立した。

 

 菜の花畑は鵜住居町から栗林町にかけての県道釜石遠野線沿いなどに点在し、広さは約1・5ヘクタールに及ぶ。菜の花には除塩効果があるとされ、土壌改良が期待できるほか、黄色に染まった美しい景観は仮設住宅などで暮らす被災地の住民の心も癒やしている。鵜住居川流域を中心に世界遺産の橋野鉄鉱山までを「菜の花ロード」にする計画も進んでいる。

 

 収穫した菜種は一関市の業者に依頼して搾油。13年から「油いっこ」(180グラム入り、1瓶税込み1200円)の商品名で、橋野町の産直「どんぐり広場」などで販売。「無農薬栽培で健康にもいい」と好評で、昨年度は約100万円の売り上げがあった。これまでに約3千本を売り上げ、益金はラベル貼りなどを手伝った地域住民への賃金として支払われている。

 

 畑の石拾いや草取りなどで年間約1500人のボランティアが市外から訪れるなど、市が人口減対策の柱に掲げる”交流人口”の拡大にも貢献。昨年からスタートした「オーナー制度」には日本郵船など企業や個人から7区画(約0・3ヘクタール)に応募があり、畑の管理を地元住民に依頼することで働く場と収入の確保にもつながっている。

 

県道沿いに広がる菜の花畑

県道沿いに広がる菜の花畑。一帯を「菜の花ロード」にとの計画も

 

 山田代表は「釜石には海と山の両方があり、豊かな水、風、太陽光を自然エネルギーとして活用できる。山間部の橋野地区には電気のない暮らしの知恵も残っており、釜石は自然との共生を具現化できる理想的な場所」と指摘。「菜の花プロジェクトを組み合わせ、もっと地域を元気にしたい」と思いを膨らませる。

 

(復興釜石新聞 2016年5月14日発行 第486号より)

関連情報 by 縁とらんす
一般社団法人 ユナイテッドグリーン
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スペシャルゲストの「climbgrow」は岩手県初上陸で注目を集めた

おお!まちミュージックフェスタ〜街ににぎわいロックのリズム、東部地区商業者は「青葉マルシェ」

出演バンドの熱いライブにこぶしを突き上げ応える観客ら

出演バンドの熱いライブにこぶしを突き上げ応える観客ら

 

 被災した中心市街地のにぎわい再生を目指す音楽イベント「Oh!マチ Music Festa(おお!まちミュージックフェスタ)」(同実行委主催)が3日、釜石市大町の青葉通りで開かれた。昨年に続き2回目。今年は野外ステージでの演奏に加え、東部地区の商業者らによる「青葉マルシェ(市場)」も開かれ、街の顔となる新たな商店街形成に向け弾みをつけた。

 

 市内外の応募者24組から実行委の審査で選ばれた10組が出演。

 

 通り沿いの2ホテルの前に設けたステージで、それぞれロックやアコースティックなどの演奏パフォーマンスを繰り広げた。

 

 スペシャルゲスト2組も招かれた。滋賀県大津市出身の男性4人組バンド「climbgrow(クライムグロウ)」は、10代限定のロックフェス「閃光ライオット2014」で、1万組を超える応募の中で準グランプリを獲得した実力派。熱いライブで観客を引きつけた。

 

スペシャルゲストの「climbgrow」は岩手県初上陸で注目を集めた

スペシャルゲストの「climbgrow」は岩手県初上陸で注目を集めた

 

 専門学校の同級生だった山崎春紫(つくし)さん(21)=遠野市出身=と菊池結衣さん(21)=釜石市出身=は、通りがかりにイベントに出会い、「街の中心で音楽イベントがあるのは魅力的。(被災した青葉通りが)ここまで復興したのは素直にうれしい」と楽しい空間に笑顔を見せた。

 

 マルシェでは、東部コミュニティ共同出店テントに23事業者が商品を提供。被災し再建を果たした店や本設を目指し仮設店舗で営業中の店が、グルメ、美容、雑貨など自慢の一品を持ち寄った。タウンポート大町の共同出店やかまいしキッチンカー、市民らによるフリーマーケットなどもあり、幅広い年代の購買意欲をかき立てた。

 

さまざまな店舗が出店し青葉通りににぎわいを生んだマルシェ

さまざまな店舗が出店し青葉通りににぎわいを生んだマルシェ

 

 新里耕司実行委員長(大町商店街振興組合理事長)は「マルシェ効果もあり青葉通り内に人の流れが生まれ、昨年より人出が多い」と効果を実感。中心商店街について、「被災店舗の再建も少しずつ進んでいるが、商店街の街並みが出来上がるまでには時間がかかりそう。復興住宅が完成し住民が戻ってくれば、商業者の再建もさらに進むのでは」と期待し、目抜き通りだけではない広域での商店街展開を未来の姿として描いた。

 

 会場では熊本地震の義援金募金活動も行われた。

 

(復興釜石新聞 2016年5月11日発行 第485号より)

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広報かまいし2016年5月15日号(No.1640)

広報かまいし2016年5月15日号(No.1640)

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広報かまいし2016年5月1日号(No.1639)

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【目次】
表紙:音楽はこころのビタミン心温まるハーモニーに癒されて
P02:こんにちは釜石リージョナルコーディネーター釜援隊です!
P04:獣害対策を考えましょう!
P06:市任期付職員を募集します、市非常勤職員・臨時職員を募集します
P07:2016希望郷いわて国体 釜石市「炬火名」募集、釜石・大槌地域産業育成センター情報便11
P08:まちの話題
P10:保健案内板
P12:市民のひろば
P13:まちのお知らせ
P16:住宅用新エネルギー導入支援事業費補助金、水害(洪水)の避難勧告等判断基準変更のお知らせ、釜石情報交流センターに新機能 図書返却用ポスト設置・「しおかぜ号」巡回

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111 / 0193-22-2686 / メール
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色とりどりの大漁旗の下で交流を楽しむ地域住民ら

端午の節句 はためく大漁旗〜伝統行事「陣屋祭り」、東前尾崎「復興はここから」を合言葉に

色とりどりの大漁旗の下で交流を楽しむ地域住民ら

色とりどりの大漁旗の下で交流を楽しむ地域住民ら

 

 釜石市の浜辺の地域で端午の節句(こどもの日)に古くから行われてきた伝統行事「陣屋祭り」が5日、東前町の「はまっこ児童公園」で開かれた。東日本大震災で途絶えたが、一昨年に岩手大学の協力で復活し、今年で3年目。高さ15メートルほどの支柱を中心に掲げられた約100枚の大漁旗は風が吹くと一斉にはためき、祭りを活気づけた。

 

 東前町内会(佐藤和夫会長、45世帯)と浜町・尾崎町内会(西村征勝会長、30世帯)が主催。この日は早朝から、陣屋祭りをよく知る50代から86歳までの地元住民が準備作業に取り組み、色とりどりの大漁旗は釜石湾を一望するように広がった。

 

 公園ではホタテ、イカ、タケノコなどが振る舞われた。子どもたちはブランコなど公園の遊具や輪投げなど遊びに夢中。地元住民のほか、被災し地域を離れている人も足を運び、互いの近況を話しながら旧交を深めていた。

 

 仙台市の関陽斗君(北中山小6年)、星斗君(同4年)、夢月ちゃん(3)兄妹は東前町の祖父母と過ごそうと、毎年大型連休に釜石を訪れている。野田町のみなし仮設住宅で暮らす、いとこの玉木里空君(釜石小2年)、那奈さん(同1年)兄妹と、「こどもの日」に会えるのも楽しみの一つ。星斗君は「みんなで食べたり遊んで楽しい」と笑った。

 

 祭りに欠かせない大漁旗は津波で流されたが、岩手大の協力で大船渡市三陸町の崎浜公益会から借り受けることができ、復活につながった。その大漁旗は昨年、両町内会に寄贈。両地区を結び付けた岩手大の広田純一農学部教授も学生6人とともに参加し、祭りを楽しんだ。広田教授は楽しそうに話す住民らを見つめ、「住民が顔を合わせる機会をつくること、普段住んでいない子育て世代が集まることが、今後のコミュニティー再生には必要」と話した。

 

 両町内会は「復興はここから」を合言葉に、広域で連携し地域活性化に取り組んでいる。西村会長は「こういった祭りを通じて隣近所が仲良く、顔をつなげることがこれからの自活、地域づくりにつながると思う」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2016年5月7日発行 第484号より)

 

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鎧飾りを喜ぶかまいしこども園の園児、釜石トライアスロン協会のメンバーら

五月人形で釜石にエール〜国体トライアスロン勇気づける、釜石大会に13回出場 駒崎さん寄贈

鎧飾りを喜ぶかまいしこども園の園児、釜石トライアスロン協会のメンバーら

鎧飾りを喜ぶかまいしこども園の園児、釜石トライアスロン協会のメンバーら

 

 「こどもの日」(5月5日)を前に、埼玉県さいたま市の駒崎和広さん(54)が五月人形を釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児92人)に贈った。28日、橋渡しをした釜石トライアスロン協会(小林格也会長)のメンバーが同園を訪れ、駒崎さんの「元気に健やかに育って」との願いを園児らに伝えた。

 

 贈られたのは、かぶとや鎧(よろい)、刀、弓矢などがそろう鎧飾りで、男の子は目を輝かせて見入っていた。桝澤大輝君(5)は「かっこいい。強そう」と笑顔を見せた。

 

 駒崎さんは2009年まで、釜石はまゆりトライアスロン大会に13回連続出場した。競技終了後に会場のテントなどの撤去作業も手伝い、小林会長や地元のトライアスロン協会メンバーと交流を深めていたという。

 

 震災直後には現地の状況やメンバーらの無事を確認するため連絡があったほか、食料や衣服、日用品など物資を送るなどサポートを継続。今回の寄贈の話を受けた小林会長は震災前の大会運営に同園の前身、釜石保育園が協力していたことから、贈り先に決めた。

 

 小林会長は「震災があったのに被災地は頑張っている。被災した子もいると思うが、かぶとのように強く、頑張ってもらいたい」と駒崎さんの思いを伝えた。

 

 東日本大震災の影響で中断した釜石トライアスロン大会は2012年、3競技のうちスイム(水泳)だけを実施する形で復活。その後、ラン(長距離走)、バイク(自転車)を加え、昨年は岩手国体のリハーサル大会として開催した。小林会長は「鎧の寄贈は子どもだけでなく、10月に行われる国体のトライアスロン競技を勇気づけるものだ」と感謝した。

 

(復興釜石新聞 2016年4月30日発行 第483号より)

 

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達増知事(中央)と意見を交わした釜石市と大槌町の6人

県政懇談会 定住促進、地域づくりにスポット〜夢や希望 達増知事、6人と意見交換

達増知事(中央)と意見を交わした釜石市と大槌町の6人

達増知事(中央)と意見を交わした釜石市と大槌町の6人

 

 県は27日、「復興~夢と希望を次へつなぐ」をテーマに、釜石市新町の県釜石地区合同庁舎で県政懇談会「がんばろう!岩手」を開いた。観光、都会などからの移住・定住、起業、地域づくりなどにスポットを当て、釜石市と大槌町の企業や団体で復興、復興支援などに取り組む6人と達増拓也知事が意見を交わした。

 

 釜石市から出席したのは、伊藤聡さん(三陸ひとつなぎ自然学校)、菊池成夫さん(橋野町振興協議会)、宮崎敏子さん(三陸いりや水産)、タタナ・ダラスさん(釜石シーウェイブスRFC)の4人。

 

 震災後の12年に社団法人を立ち上げ、滞在型の支援ボランティアを受け入れ、さまざまな形の人材育成事業などに取り組む伊藤さんは「観光を通じて人を増やしたい。地域の人と交流することが移住につながる。互いが育ちあい、地方を発信するモデルをつくりたい」と思いを語った。

 

 橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで観光客などのおもてなしに当たる菊池さんは「世界遺産を地域振興につなげたい。小中学生の修学旅行も呼びたい」。和山高原の風力発電事業増強の動きも紹介し、「原発に縁のない岩手をアピールし、グリーンツーリズムを推進したい」と意欲を示した。

 

 津波で浜町の実家が被災、震災後、水産会社を立ち上げた夫と甲子町の仮設住宅で暮らす宮崎さんは「自治会長を務め、人と人がつながるコミュニティーづくりの大切さを痛感した。仮設住宅の集約を控え、次のステップへ向け気持ちの体力づくりを行っている」と近況を報告。「大人が育つことで子どもも育つ。人づくりのバックアップが必要では」と提案した。

 

 ホテルマンとして働くタタナさんは「ラグビーのまち釜石をアピールしたい。試合にも勝ちたい」などと緊張の面持ちで話した。

 

 達増知事は「人材を登用し、まちを磨く。釜石は外からやってきた人の力を組み合わせてやっているところがすごい」と共感。「若い人の住む場所を確保するのが大変だ」などと課題も示した。

 

(復興釜石新聞 2016年4月30日発行 第483号より)

 

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三陸駒舎

馬と触れ合い 地域を元気に、三陸駒舎に2頭〜民宿やトレッキング エコーツリズムを展開

三陸駒舎

やっと到着した2頭の馬をやさしく見守る黍原さん

 

 築90年の古民家を改修した釜石市橋野町中村の一般社団法人「三陸駒舎」(寄田勝彦代表)に20日、2頭の白馬がやってきた。馬と共生する文化の再生と、被災地の子どもらの心のケアなどに取り組むホースセラピーの活動が、いよいよ始まる。5月の大型連休期間中から試験的に、馬との触れ合いイベントを行う予定だ。

 

 馬はいずれも雌の道産子で、2歳と6歳。寄田代表が経営する島根県雲南市の牧場から1日半をかけて運んできた。当初は昨年8月に導入する予定だったが、古民家の改修に時間がかかり、半年以上遅れた。

 

 専用の搬送車から降りた2頭は早速、新たに広さ180平方メートルほどに整備された馬場を元気よく駆け回った。子どもらは水や餌やりを楽しみ、近所から駆け付けた80歳代の男性は「子どものころは、このあたりの農家はどこでも軍馬を育てていた」と懐かしそうに馬を見守った。

 

 馬の到着を心待ちにしていた同法人理事の黍原豊さん(39)は「馬との暮らしを中心とした交流を通して新たな仕事を生み出し、馬も増やして地域を元気にしたい」と夢を膨らませる。現在、古民家の2階を住居に改修しており、来月から妻里枝さん(42)、長女ゆらいちゃん(4)と3人で住み込み、馬の世話に当たる。

 

 黍原さんは愛知県出身で岩手大農学部卒。専門は林学で、一時、葛巻町の廃校を利用したエコスクール「森と風のがっこう」のスタッフとして活動した。震災後、「釜援隊」に応募して活動。その中で、各地で教育牧場を経営する寄田代表と出会ったことで馬に興味を持つようになった。

 

 昨年4月に立ち上げた三陸駒舎は古民家を拠点に、馬と共生する民泊体験を受け入れるほか、馬による耕作体験やトレッキングなどエコツーリズムを展開。障害のある子どもたちを対象にしたホースセラピーも行う。黍原さんは「馬との暮らしをつなぎ合わせながらコミュニティビジネスへ発展させ、より良い形で地域を次世代に手渡したい」と思いを込める。

 

 とはいえ三陸の山間地で、果たして需要はあるのだろうか。この疑問には、国内外15カ所で教育牧場を展開する寄田代表がこう答える。「馬はセラピーの王様と言われる。牧場はいずれも黒字。釜石でも、きっとやっていける」

 

 引き馬など本格的な触れ合い体験は6月ころから始めたい考えだ。

 

(復興釜石新聞 2016年4月20日発行 第480号より)

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広報かまいし2016年5月1日号(No.1639)

広報かまいし2016年5月1日号(No.1639)

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【目次】
表紙:「鐵のふるさとスタンプラリー」始めました
P02:新たに鵜住居地区が「商業特区」に認定
P04:犬の登録と狂犬病予防注射を実施しましょう
P05:軽自動車税の減免・非課税制度があります、橋野鉄鉱山八重桜まつり
P06:今月のインフォメーション、おもいをつむぐはなみずき
P08:身近な防災豆知識24、釜石地区被災者相談支援センターをご利用ください、市長のつぶや記

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平田第6仮設団地自治会のメンバー

テーマは「心磨き」 交流のパネル展示、釜石市ー東海市 絆結ぶ

平田第6仮設団地自治会のメンバー

加木屋中美術部員と共同制作した作品を前に笑顔を見せる平田第6仮設団地自治会のメンバー

 

 釜石市と姉妹都市の愛知県東海市との絆を結ぶ作品が、平田第6仮設団地内にある平田パークホールに展示されている。点描のピースを組み合わせたパネル作品で、東海市立加木屋中の美術部と同団地住民との共同制作。同団地自治会の森谷勲会長は「両市の友情と絆を感じる作品。この結びつきを長く大切にしていきたい。その思いを多くの人にも感じてもらう機会にもなれば」と、団地があり続ける間の掲示を決めた。

 

 同校と釜石市との交流活動は、東海市が推進する「輝く学校づくり事業」の一環として2013年度から始まった。「心磨き、釜石との交流」をテーマに、1年目は被災地見学と住民の聞き取り調査を実施。2年目は吹奏楽部の生徒が同団地で演奏会を開いた。昨年は、7月に美術部員6人が訪れ、住民と一緒にパネルの制作に取り組みながら交流。作品は部員が持ち帰って仕上げ、額に収めて東海市で公開した後、今年3月に同団地に贈られた。

 

 パネル作品は「絆」と題し、大きさは縦105センチ、横75センチ。東海市の花ランと釜石市の花ハマユリや海をモチーフに、力強く握手する手で両市民の絆を象徴的に表している。ポスターカラーと綿棒を使って点描技法で彩色した70片のピースを張り合わせて作製。同団地からは住民20人が参加した。

 

 森谷会長は「住民は、孫のような子たちに手を取ってもらったり、声をかけてもらうのがうれしい」と中学生との交流を振り返った。同自治会の菊池隆事務局長は「付き合いを継続してくれているところは少ない」としみじみ。佐々木新治副会長は「気にかけてくれている人がいるのがありがたい。気持ち良く受けとり、思ってくれていることへの感謝の気持ちをなくさないようにしていかないといけないね」と作品を見つめた。

 

 この作品と一緒に同校の生徒から手紙と絵はがき32点も届いた。花や街の風景を描き、「少しでも笑顔になるように」「復興が今以上に進むようにと願いを込めて」などとメッセージが添えられている。住民との交流に「たくさんの知識と元気をもらった。一生忘れられない思い出になりました」とつづられた手紙も。現在、作品とともに展示されている。

 

(復興釜石新聞 2016年4月20日発行 第480号より)

 

復興釜石新聞

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三陸駒舎に来た2頭の馬

釜石市橋野町 曲がり屋の古民家に2頭の馬がやってきました

昨年、本サイトでも復興釜石新聞の記事でお伝えした釜石市橋野町にある築90年「南部曲がり屋」の古民家再生プロジェクト。十数年空き家になっていた古民家を地域資源として、全国からの釜石への関心の掘り起こしや交流促進につなげようと、これまでボランティアらによる改修ワークショップなどが行われてきました。

 

https://en-trance.jp/news/kamaishishinbun/5489.html

古民家再生第1弾オープン祝う〜橋野町の曲がり屋 活用に夢膨らむ、市内外をつなぐ UIターン推進へ

リンク


 

馬屋の改修も進み馬房にはフカフカの稲わら、柵付きの馬用の庭も完成し、いよいよ4月20日、曲り家に2頭の馬がやってきました。

 

三陸駒舎 馬の庭

 

三陸駒舎に来た2頭の馬

 

世界文化遺産「橋野鉄鉱山」がある橋野地域では、曲がり屋が現存しているとおり、もともと人と馬がともに暮らしてきた歴史がありました。”馬とともに生きる暮らし”の再生を地域固有の資源とした地域振興の発展や、馬との触れ合いによる”子どもたちの心と体のケア”が期待されています。

 

南部曲がり屋の母屋

 

南部曲がり屋 台所

 

一般社団法人 三陸駒舎公式サイト
三陸駒舎Facebookページ

 


 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

鵜住居地区防災センターを解体したコンクリート片に手で触り、犠牲者に思いを寄せる遺族ら

「祈りのパーク」犠牲者追悼の礎に、鵜住居防災センター跡地にがれき搬入

鵜住居地区防災センターを解体したコンクリート片に手で触り、犠牲者に思いを寄せる遺族ら

鵜住居地区防災センターを解体したコンクリート片に手で触り、犠牲者に思いを寄せる遺族ら

 

 東日本大震災で多くの住民が逃げ込み津波の犠牲となった鵜住居地区防災センター跡地に釜石市が整備する追悼公園「祈りのパーク」(仮称)に、センターを解体した際に出たコンクリート片が利用されることになり、震災から5年1カ月の11日、現地に搬入された。追悼公園は年内にも着工、来年3月11日までの完成を目指す。

 

 同センターは2014年2月に解体されたが、市はその際、備品や壁、供物の一部を保管。発生した約420立方メートルのコンクリート片のうち350立方メートルは市内の盛り土工事の資材として使われ、残りの約70立方メートルは、復興スタジアムが建設される鵜住居小・釜石東中跡地に保管していた。

 

 震災メモリアルパーク整備検討委員会の中で、「解体で出たコンクリートを活用したい」との意見が出たことを受け、市が具体化。復興事業の進展で保管場所からの移動が必要になったことや、パーク整備予定地の基盤整備が進んだことから、予定地に運び込むことにした。

 

 同パークに使用されるのは約10立方メートルで、この日はトラック2台に分けて搬入。地元住民や市の幹部職員ら約30人が黙とうした後、野田武則市長が献花し、鎮魂の祈りをささげた。

 

 運び込まれたコンクリート片は、追悼公園に造られる高さ5㍍の築山の基礎部分に埋め込まれる。残りは周囲の盛り土などに使用する予定。築山の頂点には慰霊碑などの追悼施設を整備。周辺には桜などを植樹する。

 

 野田市長は「震災から5年を経過し、やっと一歩を踏み出すことができた。鵜住居地区防災センターは3・11を象徴する場所。二度と悲劇を起こさないよう検証を続けていく」と誓った。

 

(復興釜石新聞 2016年4月13日発行 第478号より)

 

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