共同開発したご飯の缶詰をPRする双日食料水産と津田商店の関係者ら
釜石市の誘致企業双日食料水産(本社・東京都港区、渡辺浩一社長)は、地元の水産加工会社津田商店(津田保之社長)と共同で、県産食材を使ったご飯の缶詰「缶tan(かんたん)鮭(さけ)ごはん」を開発した。常温保存で携帯性に優れ、手軽に〝簡単に〟おいしく食べられる一品。災害時に備えた非常用保存食や新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛を受けた日常食に活用してもらうのが狙いだ。販売開始を前に、15日、野田武則市長らに商品をPRした。
両社は以前、大槌町安渡に工場があったが、東日本大震災で被災。再建地としたのがともに鵜住居町で、隣接した工場でそれぞれ事業を続けている。
この立地を生かした商品開発を検討していたのが、サケフレーク(瓶詰)を主力とする双日食料水産。近年増加する自然災害の発生や、コロナ禍の〝巣ごもり生活〟など万一の事態に備え、長期保存ができる食品の需要が高まっており、ご飯缶詰の開発を発案。缶詰生産を手掛ける津田商店に製品化への協力を持ち掛けた。
缶tan鮭ごはんは、塩(あっさり)としょうゆ(しっかり)の2つの味を用意した。使用する米(コシヒカリ)と具材のサケ(焼き鮭ほぐし)は県産で、双日食料水産が準備。調理や製缶する工程を津田商店が担っている。
いずれも1缶180グラムで、賞味期限は3年。非常用保存食だけでなく、アウトドアや日々の食事としての利用も想定。常温でも食べられるが、缶ごと湯煎するか、中身を電子レンジで温めるとさらにおいしく味わえる。
ご飯の缶詰「缶tan鮭ごはん」の味付けは塩としょうゆの2種
この日、双日食料水産釜石工場の三浦行男工場長、津田商店営業部の大瀬優輝課長代理らが市役所を訪問。構想から約1年、昨年末に完成した新商品を紹介し、特殊容器での加工や味・食感の調整など開発の苦労を伝えた。
試食も用意され、野田市長は「おいしい。防災食として備蓄してもらうだけでなく、普段から食べて味に親しんでもらう習慣も必要。広く手に取ってほしい」と期待。湯煎したものは香りがよく、ふっくら感があると好感触だった。
販売は4月上旬を予定し、価格は500円前後となる見込み。全国の食品スーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどで展開し、市内では道の駅などで土産品としての陳列も考えている。