新しい憩いの場に期待される飲食店街の完成予想図
釜石市が市中心部の飲食店街再建に向けた市有地活用事業として、大和リース岩手支店(池田康二支店長)と進めていた飲食店街新築工事が始まるのを前に23日、大町の現地で地鎮祭が行われた。震災で被災した8店を含む13店が入居を予定。12月25日にプレオープンし、本格オープンは来年1月末の予定だ。
地鎮祭には関係者約20人が出席。神事でくわ入れし、工事の安全を祈った。野田武則市長は「新しい釜石の食べどころ、飲みどころとして市民や観光客の憩いの場になってほしい」と期待した。
建設場所は、ホテルや大型ショッピングセンターに近い約1170平方メートルの市有地。同社が軽量鉄骨造り平屋建て3棟(延べ床面積計約400平方メートル)の共同店舗を建てて、テナントに貸す。事業費は約1億2千万円。店舗面積は約10~60平方メートルまでの5つのタイプを用意。被災事業者の家賃は1坪(3・3平方メートル)当たり1カ月5200円とした。
地鎮祭でくわ入れをし、工事の無事を願う野田市長(右)
入居する被災事業者は居酒屋と食堂で、いずれも現在、鈴子町の「釜石はまゆり飲食店街」で仮設営業している。新規に出店する5店は釜石出身者らによる居酒屋や焼き肉店など。夜だけでなく、ランチタイムも営業する店もある。
市中心部での飲食店街再建は、にぎわい再生と魅力ある都市空間の創出が狙い。入居にあたって市が移転を呼び掛けた事業者の中には、大町で被災した「呑ん兵衛(のんべえ)横丁」の事業者も多く含まれるが、出店の契約を結んだのは3事業者にとどまり、1事業者が調整中だという。
出店を決めた居酒屋「助六」は22年前に呑ん兵衛横丁で開店。店主の藤原ヨウ子さん(72)は「年齢や体調が不安で悩んだが、体力が続く限り頑張りたい。横丁からの出店が少ないのは残念だが、今まで通り愛されるような飲食店街にしたい」と話した。
新しい飲食店街の名称は未定。市は当初、観光名所にもなっていた呑ん兵衛横丁の名の引き継ぎを考えたが、出店が一部にとどまったため引き継ぎは難しくなった。「全国に知られた名を何とか残したいと思ったが」と残念がる野田市長。新しい名称は、大和リースと入居店ら関係者で協議して決めていくという。
(復興釜石新聞 2016年9月28日発行 第524号より)
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