ラッピング列車運行開始、小林覚さんデザイン〜JR盛岡支社、釜石線開業70周年記念

復興釜石新聞2020/09/08

ヘラルボニーの松田文登副社長と車両を紹介する小林覚さん(右)

ヘラルボニーの松田文登副社長と車両を紹介する小林覚さん(右)

 

 JR東日本盛岡支社(石田亨支社長)は、釜石線全線開業70周年を記念したラッピング列車の運行を8月29日から開始した。車両デザインを手がけたのは、釜石市出身で、花巻市の「るんびにい美術館」で創作活動を行う小林覚さん(31)。知的障害のあるアーティストの優れた作品をさまざまな形で世に送り出している花巻市の福祉企画会社、ヘラルボニー(松田崇弥社長)がプロデュースした。来年3月下旬まで、釜石線(花巻―釜石駅間)、東北本線(花巻―盛岡駅間)での運行を予定する。

 

 29日は、同列車の企画を提案、協賛した、岩手銀行中妻支店の取引先でつくる「中妻岩友会」(小泉嘉明会長)が中心となり、釜石駅で出発式を開催。小泉会長は「コロナ禍で、皆さんの心が前を向けない状況。小林さんデザインのラッピング列車に元気をもらいながら、みんなで釜石線を盛り上げていきたい」とあいさつ。来賓の野田武則釜石市長は「小林さんの素晴らしい才能に多くの方々が関心を寄せる。この列車が幸せを運ぶ列車になれば」と期待を込めた。

 

 ラッピングされたのは、キハ100系車両1両。文字を独特の形にアレンジし、魅力的な造形表現を生み出す小林さんが「釜石線70周年記念銀河ドリームライン」の文字をデザイン。豊かな色彩で描かれた〝サトル文字〟が、車両側面を生き生きと飾る。

 

 小林さんは父俊輔さん(65)、母眞喜子さん(63)と一緒に式に出席。多くの関係者から祝福を受けた。今までにないスケールの大きな話に「最初は信じられなかった」と眞喜子さん。初めて列車を目にし「想像以上に素敵。感動です」と目を見張った。

 

 自閉症と知的障害を持つ小林さん。列車のデザインを描いた後、「紫色を塗った。描いた」と両親に笑顔で教えてくれたという。「覚は細かいことは分からないが、人懐っこく、みんなが集まってくれるのが大好き。自分の絵を喜んでもらっているのは理解していて、うれしいと思っているよう。今日もとても楽しそう」と眞喜子さん。式の後は列車に乗り込み、陸中大橋駅までのミニ旅を楽しんだ。

 

 小林さんは、平日は花巻市の障害者支援施設「ルンビニー苑」に宿泊しながら、同美術館で創作活動を行う。施設を運営する社会福祉法人光林会の三井信義理事長(同美術館管理者)は「作品を評価し、地域で生かしてもらえるのは大変うれしく、ありがたい。今回は特にも地元釜石で受け入れられ、ご家族にとっても晴れがましい。障害者もまちづくりに参加し、共に生きる社会の実現へ少しでも近付いていけたら」と願った。

 

 このラッピング列車は通常ダイヤに組み入れて運行され、どこで出会えるかは運次第。鉄道マニアの注目も集めそうだ。

 

 JR盛岡支社は、開業70周年を迎える10月10日には、釜石線沿線の住民を招待する記念列車の運行を計画。駅前などでのイベント開催は、新型コロナの情勢を見ながら判断する。

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