釜石市、新庁舎で初の訓練 津波想定 来庁者や近隣住民が避難 誘導経路の課題を検証

開庁後初の避難訓練で4階の大会議室に市民らを誘導する釜石市職員(右)
釜石市は13日、9月に開庁した市役所新庁舎(同市天神町)で避難場所検証訓練を初めて行った。近くにある釜石小、白山小の下校時避難訓練に合わせて実施し、近隣住民らが参加。新庁舎4階は地震津波と洪水、土砂災害の指定緊急避難場所になっていることから、市職員が来庁者や避難者の誘導、受け入れ導線を確認した。参加した住民らのアンケートも踏まえ、課題を抽出。実際の災害発生時に市民らが安全、円滑に避難できるよう、平時から備えを進める。
訓練は、岩手県沖を震源とする地震により市内で震度6強を観測し、大津波警報が発表されたとの想定で行われた。防災行政無線で地震と大津波を知らせる警報が流れると、職員らはデスクの下に入り、揺れが収まるまで待機。庁内放送でも避難が呼びかけられると同時に、周辺の住民らも次々と避難してきた。

市職員は庁内放送を受けてデスクの下に入り身を守った後、上階へ避難

市民の利用が多い窓口が集中する庁舎1階はシャッターで閉鎖
新庁舎は、県が公表した最大クラスの津波浸水想定で浸水域とされ、地盤をかさ上げしたが、それでも1階は浸水する可能性があるとされる。そのため、災害時には市民が多く利用する1階の窓口を閉鎖する。訓練でも実際にシャッターを閉めた。
職員は窓口に来ていた人や避難してきた住民を4階の大会議室まで階段で誘導。階段を上る住民から「大変だ」「つらいね」といった声が聞かれ、「急がずに」「もう少しです」と職員、住民同士で声をかけ合う様子も見られた。1階フロアで業務に当たる職員も2、3階に避難。訓練開始から15分ほどで避難を完了した。

災害時にはエレベーターの使用が不可になることから階段の利用を呼びかけ

避難訓練に参加し4階まで階段を上がる市民ら

1階フロアで勤務する職員は2階以上に避難する
4階まで避難した近隣の住民は約30人。只越町の前田郁子さん(78)は「自宅から市役所まで5分弱かかった。急げばもっと早く到着できそう。今はまだ階段を上るのも苦ではなかったけど、もっと歳をとったら息切れするかも。健康を維持しなければ。いろいろと確認できてよかった。東日本大震災のような経験をしたくないから、とにかく逃げなきゃ。『津波てんでんこ』だからね」と自らに言い聞かせるように話した。

一歩ずつ上へ。4階まで階段を上がる訓練の参加者

大会議室で市職員から災害備蓄品などの説明を聞いた
今回の訓練は、来庁者や近隣住民に「避難場所は庁舎4階大会議室」ということを知ってもらうのも目的。市防災危機管理課の職員は「新庁舎は高くて頑丈な建物。迷わず、市庁舎に駆け込んでください。いざという時に覚えていてほしい」と呼びかけた。参加者に気になったことを書いてもらう時間も。その内容を踏まえ、庁舎内の避難導線を見直し、避難誘導などの課題を洗い出す。

市庁舎4階の大会議室が緊急避難場所と伝える表示
訓練前、職員手製の「津波避難場所は庁舎4階大会議室」との表示を庁内に“仮置き”したが、市の猪又博史危機管理監は「常設することを考えている。場所や数が適切だったか、検討する」とした。また、今後も市庁舎での訓練を定期的に実施していく考えを示した。

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