自然共生サイト認定「片岸公園」の環境は? 親子で生き物探し 外来植物の駆除も


2026/10/09
釜石新聞NewS #地域 #観光

「みのすけキッズチャレンジデー」でトンボとりを楽しむ親子=片岸公園

「みのすけキッズチャレンジデー」でトンボとりを楽しむ親子=片岸公園

 
 沼や池、草地にさまざまな生き物が生息する釜石市片岸町の片岸公園で3日、子どもたちが自然に親しむイベントが開かれた。「みのすけキッズチャレンジデー」と銘打った初の企画で、観光地域づくり法人かまいしDMCが主催。6月に環境省の「自然共生サイト」に認定された同公園の環境を知り、保全への意識を高めてもらおうと開催した。子どもたちは3つのミッションに挑戦。楽しみながら自然環境への学びを深めた。
 
 市内外から親子ら41人が参加した。ミッション(体験メニュー)として用意されたのは生き物探し・観察と外来植物の駆除。スタッフが水中から捕獲した魚や虫などを観察し絵に描くコーナーでは、ドジョウやヌマチチブ(ハゼの一種)、各種トンボのヤゴ(幼虫)、コオイムシなどが見られた。子どもたちは好きな生物を選び、じっくり見ながら絵を描いた。
 
水中から捕獲したさまざまな生き物に目がくぎ付け。「何を描こうかな?」

水中から捕獲したさまざまな生き物に目がくぎ付け。「何を描こうかな?」

 
魚やエビ、ヤゴ(トンボの幼虫)などを観察しながらお絵かき

魚やエビ、ヤゴ(トンボの幼虫)などを観察しながらお絵かき

 
 水辺環境がある公園内にはさまざまな種類のトンボが生息する。子どもたちは虫取り網を手にトンボとりに挑戦。この日は大型のギンヤンマから小型のイトトンボまで複数の種類が確認できた。おまけでチョウやバッタ、コオロギなども捕獲。間近で観察した。
 
虫取り網でトンボなどを捕獲。ミッションをクリアするとシールがもらえる(右下)

虫取り網でトンボなどを捕獲。ミッションをクリアするとシールがもらえる(右下)

 
「何か入ったかな?」草地ではトンボやチョウ、バッタなどさまざまな昆虫が見られた

「何か入ったかな?」草地ではトンボやチョウ、バッタなどさまざまな昆虫が見られた

 
 意外と人気だったのが、外来植物の「セイタカアワダチソウ」の駆除。市内でも元々見られていた植物だが、ここ2~3年で特に目立つようになり、ススキなど他の植物の成長を妨げる要因にもなることから根から引き抜く作業を行った。大きいものでは草丈が2メートルを超えるものもあり、子どもたちは力を合わせて引き抜いた。
 
子どもたちは自分の背丈よりも大きい外来種の「セイタカアワダチソウ」を根から引き抜いた

子どもたちは自分の背丈よりも大きい外来種の「セイタカアワダチソウ」を根から引き抜いた

 
今の時期、黄色い花を付ける「セイタカアワダチソウ」。繁茂しないよう根こそぎ抜き取る

今の時期、黄色い花を付ける「セイタカアワダチソウ」。繁茂しないよう根こそぎ抜き取る

 
 3つのミッションをクリアした参加者は、スタッフからもらった昆虫シールを台紙に貼りつけ受付へ。箱崎町で生産されるイチゴを使ったパウンドケーキ、釜石鉱山から湧き出る天然水で作られた化粧水をプレゼントとして受け取った。
 
 釜石市内から参加した久保夢空瑠さん(9)は「真っ赤なトンボを捕まえた。家の周りにもトンボはいるけど、ここは見たことがない種類が大量にいる」と心奪われた様子。昆虫のほか海の生き物も大好きで、「釜石にいっぱい生き物がいるのはうれしい」と喜ぶ。普段から砂浜のごみを拾うなど、自然環境を守ることにも目を向けている久保さん。母康子さん(47)は「“好き”の延長で環境を守る行動も自然にできているようだ」と見守る。今回は外来植物のことを知り、「気づきの機会を与えてくれるイベント。遊びながら学べるのがすごくいい」と歓迎した。
 
6月に国の「自然共生サイト」に認定された片岸公園。池の周りに遊歩道が整備され、市民の散歩コースにもなっている

6月に国の「自然共生サイト」に認定された片岸公園。池の周りに遊歩道が整備され、市民の散歩コースにもなっている

 
 同公園は東日本大震災の津波被害を受けた場所に整備された。元々、みのすけ沼を中心に魚類や両生類、鳥類などが生息する豊かな自然環境が広がっていたが、津波で全て流失。公園は一部残った沼地や減災機能を兼ねて新たに設けた遊水池を中心に整備され、2021年に完成した。年月を重ね、水辺周辺にはヨシ原などの植生が戻り、水生生物や昆虫、鳥がすみ着くようになった。失われた自然環境を再生し、生物多様性を回復する取り組みが評価され、本年6月、国の「自然共生サイト」に認定された。
 
 イベントのアドバイザー、岩手県立大の島田直明教授(植生学・景観生態学)は同所の環境について、「震災直後は海とほぼ一体化していた時期もあったが、(防潮堤の再建、公園の整備を経て)環境も落ち着いてきた。木々がさらに増えていけば、そこにすむ生き物も戻ってくると思われる」と期待。一方で、元々の沼地は近年、水の循環機能が低下し富栄養化していることから、遊水池への排水や周辺の刈り払いなどで水質改善を図る必要があるとも指摘。「こうしたイベントが問題点把握のきっかけとなり、より良い環境の維持・管理につながっていけば」と望んだ。
 
公園整備から5年。池の周りには草木が増え、生き物のすみかにもなっている。冬にはオオハクチョウも飛来する

公園整備から5年。池の周りには草木が増え、生き物のすみかにもなっている。冬にはオオハクチョウも飛来する

 
 イベント主催者のかまいしDMCは市と連携し、同所の保全活動に取り組む。同社の担当者、村上舞子さんは「地域の自然は地域の皆さんと守っていくことが大事。今後も継続的にイベントを開催し、名実ともに自然共生サイトとなるよう努力していきたい」と話した。

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