県内の特殊詐欺被害深刻 約半年で10億円超え 釜石3郵便局が不審電話、メール・SNSに注意喚起

特殊詐欺被害防止を呼びかける啓発活動=釜石郵便局、14日
県内の特殊詐欺被害が過去にない危機的状況となる中、釜石市内の3郵便局では14日、警察と連携し、来局者に被害防止のチラシを配って注意を呼びかけた。市内では7月以降、郵便局を名乗って個人情報などを聞き出そうとする不審な電話が相次ぎ、警察や郵便局にも相談があったという。釜石警察署生活安全課の平賀美恵子課長は「まずは不審電話を受けない対策が大事。詐欺電話をブロックするアプリも活用し、被害を未然に防いでほしい」と話す。
郵便局による詐欺被害防止の啓発活動は年金支給日となった14日に行われた。只越町の釜石郵便局(小野寺幸徳局長)では入り口正面に「特殊詐欺!だまされない SNS型投資・ロマンス詐欺」と掲げ、社員と警察署員4人が訪れた人たちに注意を促すチラシを配った。

活動を前に社員らが郵便局入り口に啓発掲示

郵便局と警察のチラシ2枚、ティッシュを配り、詐欺への注意を呼びかけた
県警によると、県内の今年1~7月までの特殊詐欺認知件数は162件(前年同期比32件増)で、被害額は10億8144万円(同3億2064万円増)。10億円を超す被害は年間でも過去に例がなく、被害の深刻さがうかがえる。多いのはSNS型投資詐欺(54件)と同ロマンス詐欺(28件)で、全体の約半数を占める。同投資詐欺の被害額は6億4945万円(前年同期比4億7091万円増)に上り、種別で最も高額。同ロマンス詐欺も1億6461万円(同226万円増)と億単位に達している。釜石署管内ではSNS型投資1件、同ロマンス1件の計2件(同1件増)の詐欺被害が確認されている。
最近の傾向として投資詐欺で多いのは、バナー広告へのアクセスを機に、グループラインに誘導されてもうけ話をされ、複数回にわたって金をつぎこんだ後に被害に気付くケース。ロマンス詐欺では男女の恋愛を装い、親しくやり取りを重ねるうちに、さまざまな名目で金銭を要求され振り込んでしまう被害が多いという。
金融機関やコンビニエンスストアでの水際対策が強化されていることもあり、釜石市内では今年に入り、架空料金請求や還付金などの詐欺被害は確認されていないが、詐欺の予兆電話は依然としてある。特に多いのは郵便局や日本郵便になりすました不審な電話やメール。荷物の再配達や口座引き落としの不備を装い、自動音声ガイダンスやメールのURLから個人情報を聞き出そうとする事案が発生しているという。
釜石郵便局には「郵便局を名乗る電話がきたが本当かどうか」「個人情報を教えてしまったが大丈夫か」などの問い合わせや相談も寄せられている。窓口営業部の藤井修部長は「相手を選ばず無作為にかかってきている印象。不審な電話には即答せず、必ず郵便局や警察、信販会社に確認してほしい。そのひと手間で大きく変わってくると思うので」と被害にあわないための対策を呼びかける。

啓発活動で配られたチラシ。詐欺の手口や対策について書かれている

来局者に声がけし被害防止を呼びかける釜石郵便局員と釜石警察署員
近年はSNSやインターネットバンキングの普及に伴い、詐欺の手口も巧妙化。高齢者が狙われたオレオレ詐欺やキャッシュカード詐欺盗がはやった時代に比べると、65歳以下の現役世代が被害にあう確率も高くなってきている。釜石署の平賀生活安全課長は「だまし取られた金はほぼ戻ってこない。被害のダメージは非常に大きく、その後の生活に支障をきたすこともある」とし、自衛策の徹底を促す。釜石署では地域に出向いての防犯講話の際に、詐欺電話をブロックできる“特殊詐欺対策アプリ”の入れ方も教えている。「(詐欺電話を)受けなければ、だまされない。対策アプリのダウンロードまでお手伝いするので、気軽にご相談を」と平賀課長。

来局者と会話し、特殊詐欺への注意喚起を行う釜石署生活安全課の平賀美恵子課長(右)

「お客様の安全安心を守りたい」と活動した釜石郵便局窓口営業部の藤井修部長(左)ら
郵便局と警察が連携しての特殊詐欺被害防止啓発活動はこの日、小佐野郵便局と釜石中妻郵便局でも行われた。釜石郵便局の藤井部長は「市民の生活と安全を守ることは私たちの使命でもある。今後も地域課題に合わせた活動を機会あるごとに実施していきたい」と話した。

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