音楽を満喫!釜石よいさも踊り継ぐ 9月最後の週末 2つの催しで「うのスタ」熱気

スターダスト☆レビューのライブで盛り上がる釜石鵜住居復興スタジアム=9月26日
9月最後の週末、釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)は音楽や「釜石よいさ」の踊りなどを楽しむ人たちの熱気に包まれた。26、27日の2日間にわたって開かれた「うのスタ☆音楽の日」の初日にはロックバンド、スターダスト☆レビュー(スタレビ)が登場。2日目は地域にゆかりのあるアーティストが多彩な音色を響かせたほか、同時開催された初企画「うのスタよいやっさフェスティバル」で老若男女が踊りの輪をつくった。
音楽の日は、東日本大震災からの復興の象徴として建てられたうのスタの活用策の一つ。復興支援を通じて縁があったスタレビの公演が2024年に行われたのを機に、招待ゲストやアマチュアバンドなど一般公募の出演者らの演奏を楽しむ場として継続開催している。

「うのスタ☆音楽の日」で熱演するスターダスト☆レビュー
26日は「スタ☆レビの日」。約900人が歌と軽妙なトークを楽しんだ。45周年ツアーの真っただ中で、「夢伝説」「木蘭の涙」などのヒット曲をはじめ、25年発売の最新アルバム「星屑冒険王」から「星屑兄弟」「渇いた朝」などを披露。リーダーの根本要さん(69)がアマチュア時代に作った映画「がんばれ‼タブチくん‼」のテーマ曲や、20数年ぶりの演奏という「蜃気楼」「夢に~小さな奇跡~」など、長く活動を続けるバンドならではの“マニアック”な音色も聴かせた。
うのスタでのライブは2回目となり、根本さんは「僕たちにとって、かけがえのないまちがまた増えた」とステージからコール。がんで声帯を失い療養中のため前回は参加できなかったパーカッションの林“VOH(ボー)”紀勝(としかつ)さん(66)が今回、一部の演奏に加わり、「Stay My Blue~君が恋しくて~」では港町の釜石にちなんで穏やかな波音をオーシャンドラムで表現した。

スターダスト☆レビューと一緒に歌い踊る観客たち
約3時間、アンコールを含め全21曲を満喫した客席。山梨県から足を運んだ藤森雄二さん(63)、理恵さん(62)夫妻は「グラウンド席の端だったから思いっきり、遠慮なく踊り楽しんだ。音がビシビシきて良かった」と笑顔を重ねた。10年ほど前に復興の様子を確かめようと三陸沿岸を訪ねており、今回は続きのドライブを予定。ファン歴「うん十年」の2人は、再来の機会をつくってくれたスタレビに感謝していた。

根本要さん(右)と松尾雄治さんの絆トーク
スタレビと釜石をつなぐきっかけとなったのは、新日鉄釜石ラグビー部日本一7連覇(1978~84年)の立役者、松尾雄治さん(72)。根本さんとは40年来の付き合いといい、ライブ前には2人で「絆トーク・パート2」として“おもしろ”エピソードを紹介し合った。ラグビーや釜石への思いも話題に。松尾さんは「第2のふるさと釜石バンザーイ」と両手を大きく広げ、会場を沸かせた。
27日は「みんなで作る音楽の日」。よいやっさフェスの踊りやゲーム企画の合間に、ステージで合唱、バンド演奏、ダンスなどのパフォーマンスが展開するスタイルで、来場者は見たり聴いたりしながら思い思いに時間を過ごした。

うのスタよいやっさフェスティバルで踊りを楽しむ参加者=9月27日

釜石ゆかりの団体や個人が出演した音楽の日のステージ
よいやっさフェスは、2025年を最後に34回の歴史に幕を下ろした釜石よいさの流れをくむイベント。よいさを踊る機会を途切れさせぬよう、旧実行委メンバーらが中心となり別イベントとして催した。
9団体約350人が参加。今回初めて、うのスタの芝生上で踊った。「地域のイベントを盛り上げたい」と群舞に交じったのは釜石東中の生徒、教職員ら有志約30人。生徒会長の佐々木一真さん(3年)は「踊りは一夜漬け。へたでもノリで踊れちゃう。楽しんでいる雰囲気を見てもらえたらいい」とほほ笑んだ。

地元開催のイベントを盛り上げる釜石東中の生徒

元気いっぱいに踊る上中島こども園の園児

職場や活動の仲間と楽しい時間を共有する踊り手たち
岩手県沿岸広域振興局チームは職員ら有志約30人で踊りの輪に加わった。参加の段取りを担った総務課の高橋秀幸さん(54)は、職場の仲間が楽しく踊る姿を確かめ、ほっとひと息。自身は初参加で、地域のイベントを知る機会になったと喜んだ。ただ、思ったより参加者が少ないと感じたようで、「街なかでやっていたら、もっと人出があったのでは。ぜひ街なかで」と期待を口にした。
街なか開催-。経費や交通規制、運営人員不足などの課題解決のため、市中心市街地からうのスタに会場を移した後も、そう望む声は根強く残った。うのスタ開催を3年間続け、昨年、実行委の解散を決定。一区切りとしたが、一部の実行委メンバーらは街なかでの復活に向けた新たな担い手の名乗りや動きを待ちつつ、踊り継ぐ方法の模索も同時に進めた。

うのスタの芝生上に踊りの輪ができた

よいさの群舞を楽しむ釜石市の職員ら
移行期の形として試行したのが、よいやっさフェス。新旧の実行委員長を務める下村達志さん(51)は「実行委が解散しても釜石よいさがなくなるわけではない。途絶えさせず、踊る機会をつくりたかった」と明かす。熱い思いの先にあるのは、子どもら若い世代への地域文化の継承。「子どもは1年踊らないだけでも大きく変わるから」と、新型コロナウイルス禍で大規模開催を見送った時期もできる形を考え、子どもたちが釜石よいさに触れる機会だけは途切れさせなかった。
その熱意は、フェスで実施した各種プログラムに盛り込んだ。踊ることを軸にしつつ、子どもが遊べるおまつり広場を充実させたほか、30店舗超が出店したフードコーナーや人力車の乗車体験など家族で楽しめる企画を用意。岩手県出身のお笑い芸人「忠犬立ハチ高」(王坂さんは釜石出身)をゲストに招き、ネタの披露などでイベントを盛り上げてもらった。

ジャンボだるま落としに挑戦した「忠犬立ハチ高」

人力車やゲーム、グルメとお楽しみがいっぱい
「ゲームがいっぱいで楽しい。食べ物もおいしい」と満喫したのは、レオ・クラーセン・翼さん(10)。曽祖母に会うためスイスから来釜し、滞在中にフェスの開催を知り、家族や親族ら16人と足を運んだ。母のクラーセン・篤子さん(48)も「子どもが楽しめる催し。気候も良かった」と上々の評価。祖父母の中村昇さん(74)、るみ子さん(75、釜石出身)夫妻=千葉県在住=は「よいさは見るより参加して一緒に踊るのがいいと思う。3世代が一緒に楽しめるのもいい。どんどんやってほしい」と求めた。
フィナーレは参加団体が入り交じった輪踊り。下村さんは「最後まで元気に踊ってもらえたようで、ほっとした。ありがとうございます」と感謝の言葉で締めくくった。この後もバンド演奏などは続き、この日は約2000人が多彩な音に包まれながら思い思いに時間を過ごした。

釜石よいさの雰囲気を楽しむ子どもたち
「釜石よいさの名を冠したイベントは、一時的に休んでいるだけ」と下村さん。他行事と日程が重なったことで参加団体は減ったものの、「絶やさず続けるという役割は果たせた」と実感する。
地域の踊りを未来につなぐことに加え、留学生など在留外国人が異文化体験を通じた地域交流の機会にもなっていたことから、継続への思いは深化。「年に1回の祭りだけでなく、学校行事や盆踊りでも踊られるようになっていいと思う。文化として根付き、広がってほしい」。そう願う下村さんは、街なか開催を担う新体制の誕生を強く待ち望む。

釜石新聞NewS
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