地球環境にやさしい風力発電に感心 栗林小の親子「地域学習会」で新山の風車を見学


2026/10/02
釜石新聞NewS #地域

ユーラス釜石広域ウインドファームを見学した栗林小の児童と保護者ら=PTA行事「地域学習会」、9月26日

ユーラス釜石広域ウインドファームを見学した栗林小の児童と保護者ら=PTA行事「地域学習会」、9月26日

 
 釜石市立栗林小(高橋昭英校長、児童24人)の児童と保護者は9月26日、釜石、遠野、大槌3市町にまたがる風力発電所「ユーラス釜石広域ウインドファーム」を見学した。同校PTA行事として毎年実施する「地域学習会」の一環。事業者のユーラスエナジーホールディングス(本社:東京都千代田区)の社員から施設概要や風力発電の仕組みを学び、再生可能エネルギー先進地である郷土への誇りを感じた。
 
 児童、保護者、教職員約30人が参加。学校からバスと自家用車に分乗し、釜石市の和山経由で、大槌町新山展望台近くの6号機ヤードに向かった。風車が建つ場所は標高約900メートルの高原地帯。曇り空のこの日は、山ならではの深い霧に包まれ、風車の全景は見ることができなかったが、同社地域創生推進部課長代理の清水俊哉さん(34)から風力発電事業についてさまざまな説明を聞いた。
 
ユーラスエナジーホールディングスの社員から風力発電の説明を聞く参加者

ユーラスエナジーホールディングスの社員から風力発電の説明を聞く参加者

 
 同発電所は2004年12月から稼働してきたが、高経年化のため設備の更新が必要となり、23年3月で営業運転を終了。既存の風車43基を撤去し、新たに出力の大きい風車11基を建設し、本年3月から発電を開始している。総出力は以前と同じ4万2900キロワット。これは一般家庭約2万4000世帯の消費電力に相当する供給量。新しい風車は海外製で、全高142メートル。以前の約1.5倍のサイズで、近くで見上げるとその大きさに圧倒される。
 
 清水さんは風力発電の仕組みや電気がどうやって家庭に届くかも説明。風力発電のメリットとして、「天気が悪くても風さえ吹けば発電できる。昼だけでなく夜も可能。発電時に温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)が出ない」と教えた。そよ風程度から発電できるが、台風レベルの風速(約25メートル以上)になると、安全のため自動で運転が停止するという。
 
 この日は風車建設時の写真パネルを見せながら、工事の過程についても説明。建設場所に通じる山の道路はカーブが連続することから、部材を運ぶ際は細心の注意を払い、57メートルある一枚もののブレード(羽根)は横にすると破損の恐れがあるため、起立した状態で運んだことを明かした。
 
風車の部材輸送や組み立て工事の写真パネルを見せながら説明するユーラス社の清水さん

風車の部材輸送や組み立て工事の写真パネルを見せながら説明するユーラス社の清水さん

 
 参加者が驚いたのは風車のメンテナンスについて。補修作業はクレーンに人を乗せて行うほか、人がブレードに沿って降下し作業にあたる“ロープアクセス”という方法があるという。参加者はロープアクセスの作業員が墜落防止のために装着するハーネスも体験した。約80メートルのタワー内部にも入った。発電に必要な増速機が格納される最上部まではエレベーター移動。「昔ははしごだった」と聞くと、驚きの声が上がった。
 
高所作業での墜落事故を防ぐためのハーネスを装着してみる。なかなかできない体験

高所作業での墜落事故を防ぐためのハーネスを装着してみる。なかなかできない体験

 
クイズコーナーは大盛り上がり!示された3つの答えから正解を選ぶ

クイズコーナーは大盛り上がり!示された3つの答えから正解を選ぶ

 
 クイズコーナーでは「風車が回転する時のブレード先端のスピードはどのくらい?」など3択問題が出題され、親子で楽しみながら学びを深めた。最後は質問コーナーもあり、児童や保護者が興味をそそられた点を社員らに聞いた。
 
 三浦莉南さん(5年)はタワーに貼ってある“黒い目玉シール”が印象に残ったそう。実はこれ、鳥が風車に接近するのを防ぐためのもの。鳥が近づいてきたら風車の稼働を制御するシステムも導入されているという。「鳥がぶつからないように工夫しているのがいいと思った。タワーの中は意外と大きな音がしていて、エレベーターも狭くて怖かった」とメンテナンス作業にあたる人たちの大変さを感じている様子だった。
 
高さ約4メートルの階段を上り、タワーの内部に潜入。メンテ作業で最上部に上がるためのエレベーターにも入ってみた

高さ約4メートルの階段を上り、タワーの内部に潜入。メンテ作業で最上部に上がるためのエレベーターにも入ってみた

 
 川﨑真大さん(6年)は「自分たちが暮らす地域に大きな風力発電施設があるのはすごいなーって思うし、こんな所に建っていたとは驚き」と目を丸くした。環境にやさしいことも教わり、「地球温暖化が進んできているので、これでちょっとでも止められたらいい」と期待。「次は天気のいい時に見てみたい」と再訪を望んだ。真大さんの母望さん(40)は「釜石市の全世帯分以上をまかなえる電気がここで生み出されているのはすごい」と郷土の自然を活用したエネルギー産業の立地を誇るべきものと捉えた。中学時代の同級生が施設のメンテナンスなどに携わっていたことも知りびっくり。2人の子どもには「普段、簡単に使えている電気はいろいろな人の力で届けられていることにありがたみを感じ、大切に使ってもらえれば」と願った。
 
晴れていればこんな景色が見られる。風車は風向や風速に応じて自動制御で向きを変えられる

晴れていればこんな景色が見られる。風車は風向や風速に応じて自動制御で向きを変えられる

 
 新しい風車が稼働してから子どもたちが現地を見学するのは今回が初めて。ユーラス社の清水さんは「天気が悪くて見えづらかったが、親子で和気あいあいと楽しんでくれたよう」と胸をなでおろした。また、「再生可能エネルギーの発電の仕組みを知り、地球環境に少しでも貢献できる電源であることを理解してもらえたら。風力発電を身近に感じ、いつかユーラスで働きたいと思ってくれるきっかけになればさらにうれしい」と笑った。
 
これだけ深い霧に包まれる場面に遭遇するのもまれ?回転するブレードの赤い先端部がわずかに見える(写真左)

これだけ深い霧に包まれる場面に遭遇するのもまれ?回転するブレードの赤い先端部がわずかに見える(写真左)

 
 同学習会は地域の歴史や文化、自然などに触れ、郷土愛を深めてもらうのが目的。昨年は市郷土資料館や鉄の歴史館を見学。一昨年は橋野地区の水力発電施設や市指定文化財の「古里の御神楽スギ」、「牧庵鞭牛隠居屋敷跡」などを地元住民のガイドで見て回った。栗林小は本年度で閉校し鵜住居小と統合することから、今回の学習会はさらに思い出深い行事となった。

釜石新聞NewS

釜石新聞NewS

復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。

取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム


釜石のイベント情報

もっと見る

釜石のイチ押し商品

商品一覧へ

釜石の注目トピックス