顔合わせ交流 新生活へ一歩〜大町1号復興公営住宅、入居者の部屋決め抽選会
若い番号が出るよう願いを込め、抽選に臨む入居者ら。求めていた落ち着ける住まいに希望が膨らむ
釜石市大町3丁目の旧市営駐車場跡地に市が建設した「大町1号復興公営住宅」の入居が始まるのを前に22日、入居者の部屋決め抽選会が情報交流センター釜石PITで開かれた。2~6階に配置された44戸(1LDK12戸、2LDK32戸)に入る世帯が全て決定。入居者らは居住階ごとに集まり、顔合わせ交流で新生活の一歩を踏み出した。
抽選会には入居者本人のほか、付き添いや代理の家族ら約80人が参加。入場時の整理券の番号順に予備抽選を行い、本抽選の順番を決めた。抽選は、番号の入ったカプセルを箱の中から引く形で行われた。
本抽選で手にした番号順に、希望する部屋を決めていった。ペット飼育世帯用に4戸、優先世帯(75歳以上のみ、重度障害者、要介護度3~5のいずれかに該当)用に19戸が設定されており、各世帯の事情に応じて選んだ。1階部分の駐車場23区画の抽選も行われた。
市と市社会福祉協議会が連携し、抽選後、居住階ごとに交流の場を設けた。入居者は互いに自己紹介し、顔と名前を知り合った。市は、課題となっている復興住宅のコミュニティー形成に力を入れる。地域づくり推進課の見世健一課長は「まずは隣近所だけでも顔を覚えてもらいたい。段階を踏んで交流会も重ねていく」とし、今後につながる顔合わせの重要性を示した。
居住階ごとに入居者が自己紹介し、顔合わせをした交流会
この日は担当課から、入居手続きや仮設住宅の退去、引っ越し補助金などについての説明もあった。
入居者の谷澤泰夫さん(86)、八重さん(84)夫妻は、浜町で被災後、盛岡市にある八重さんの実家の貸家で避難生活を送ってきた。「私としては生まれた土地だからね。何としても老後はここ(釜石)でと思っていた」と泰夫さん。部屋が決まり安堵(あんど)した様子で、5年ぶりに古里で暮らせる喜びをかみしめた。八重さんは「盛岡でもそうだったが、与えられた所で上手に過ごそうと思って。近所の顔も分かり心強い」と、新しい環境にも不安より期待のほうが大きい。子や孫は独立しており、「まあ、何とか夫婦2人でやっていこう」と顔を見合わせ、ほほ笑んだ。
(復興釜石新聞 2016年5月25日発行 第489号より)
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