佐渡裕さん指揮「こころのビタミン」プロジェクト、スーパーキッズ・オーケストラ 今年も釜石で復興祈念演奏
鵜住居町根浜で海に向かい献奏する佐渡さんとSKO
指揮者で兵庫県立芸術文化センター芸術監督の佐渡裕さん(54)と同センターの「スーパーキッズ・オーケストラ(SKO)」による東日本大震災復興祈念演奏会「東北”こころのビタミン”プロジェクト」が2日、釜石市内2カ所で開かれた。毎年8月に行ってきた演奏会だが、6回目の今回は肌寒さが残るこの時期に実施。SKOの小・中・高校生メンバー35人と訪れた佐渡さんは「3・11がどういう日だったか。寒い東北を感じ想像してもらい、この活動や今後の演奏に生かしてもらいたい」とタクトを振った。
この日午前、鵜住居町根浜の旅館「宝来館」で、佐渡さんは「未来に向く前に、犠牲になった多くの命に手を合わせ、自分たちにできることで復興に協力していこう」とSKOのメンバーや集まった地域住民らに語りかけ、黙とう。続いてSKOがチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ第3楽章エレジー」などを震災犠牲者の鎮魂と復興への祈りを込め海に向かって演奏した。
佐渡さんらの支援で始まった釜石・大槌のバイオリン教室「くらぶ海音(うみのおと)」も出演。「ふるさと」などを演奏し、練習の成果を披露した。
鵜住居町のみなし仮設住宅で暮らす山﨑元市さん(66)は「波の音と合わさった素晴らしい演奏だった」と笑顔を見せた。
午後は、甲子町洞泉のこすもす公園で野外音楽祭を開催。チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ第1楽章」やジャズの曲などを披露した。「花は咲く」では釜石市民吹奏楽団も共演。春の暖かさが陰をひそめ少し肌寒い中、集まった大勢の観客は演奏に歌声を合わせた。
甲子町のこすもす公園では寒さに負けじと熱演した
観客が佐渡さんのリードでモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の指揮に挑戦する場面も。中妻町の黒須陽菜ちゃん(6)は「いろんな曲ができるのがすごい」と目を輝かせた。
佐渡さんは「人はばらばらに生きているが、音楽は気持ちを一つにしてくれる心のビタミン。釜石は東北とつながった縁のあるまち。長く応援していきたい」と話していた。
(復興釜石新聞 2016年4月9日発行 第477号より)
佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ 10周年記念特別コンサート – YouTube
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