笑いとアートで釜石を元気に「願えばかなう、動けば届く」寺崎さん(釜石高2年生)復興への思いを形に
製作したマグネットシートを壁に貼る子どもを笑顔で見つめる寺崎幸季さん(右)
東日本大震災の復興支援活動でつながるアーティストの日比野克彦さんと釜石高2年の寺崎幸季さんが、笑いとアートで釜石市民を元気に――。12日、寺崎さんの復興への思いを形にしたイベントが大町の情報交流センター釜石PITで開かれ、「つくる、たべる、うたう、つたえる、わらう」をコンセプトに来場者に楽しい時間を提供した。
日比野さんがナビゲーターを務める東京のFMラジオ局J―WAVEの震災復興支援番組がプロデュース。寺崎さんが住む中妻町仮設団地(昭和園)で昨年9月に開いたイベントを発展させ、第2弾を企画した。
ハートをデザインするマグネットシート作りには老若男女が参加。作品は同センターに隣接する市民ホールの工事用外壁に飾り付けた。「ハートマークビューイング」と呼ばれるこの活動は震災後に日比野さんが始めた被災地支援で、仮設住宅の壁を彩るハートアートが被災者の心を和ませてきた。寺崎さんと日比野さんとの出会いにより、活動はさらなる広がりを見せ、全国の賛同者から作品が寄せられるように。今回もイベントに合わせ、2千枚以上の作品が届いた。
ライブには、お笑い芸人のハイキングウォーキング、シンガーソングライターの矢井田瞳さんが出演。爆笑ネタ、心に響く弾き語りでそれぞれ観客を魅了した。2組は初の「釜石もちまき大使」にも任命され、釜石ならではのイベントの締め(餅まき)を熱く盛り上げた。他にも寺崎さんら復興に携わる市民のトークショー、虎舞披露、めかぶそばなどの振る舞いがあり、来場者は身も心もリフレッシュし、明日への活力につなげた。
もちまき大使第1号となったハイキングウォーキング(中央)
「ハイキング―のネタが個性的で面白かった」と和田悠晟君(釜石高1年)。高校の先輩寺崎さんの行動力に感心しながら、「自分も昨年秋から同級生と復興支援のボランティア活動を始めた。寺崎さんのように、いろいろ挑戦していきたい」と意欲を見せた。
大人たちにぶつけた素直な思いが共感を広げ、多くの協力者と共に釜石復興へ力を与えている寺崎さん。「願えばかなう、動けば届くというか…。震災がなければ平凡に暮らしていただろう。(いろいろ失い)悔しい気持ちはあるが、震災から得たものも大きい」と実感を込める。
11日の震災発生時刻は初めて1人で迎えた。「列車内に居て、1人で考え込んでしまった」と5年の歳月の重みをかみしめた。これからの釜石について、「(外部)ボランティアが観光客になって、再び釜石を訪れた時が(真の)復興だと思う」とし、「若い人たちが釜石に来るきっかけを作り、もう一度来たくなるような機会を提供していきたい」と、さらなる前進を誓った。
(復興釜石新聞 2016年3月19日発行 第471号より)
アーティスト日比野克彦さんがナビゲーターを務める東京のFMラジオ局の番組『Hitachi Systems HEART TO HEART』がプロデュースする複合イベントが、3月12日(土)チームスマイル・釜石PITにて開催されます。
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釜石PITでのライブ、無事終了!ハートの交換、できたかなぁ♡また来るからねっ!というわけで、私は今日から釜石もちまき大使です!! pic.twitter.com/2Ca68nN05Y
— 矢井田瞳 (@yaiko_official) 2016年3月12日
先日釜石PITにて行われたイベントHEART TO HEART で、ハートのマグネット作りにも参加させてもらったよ♪ゆきちゃんにまた会いたいな♡https://www.facebook.com/heart.magu.kamaishi
矢井田瞳さんの投稿 2016年3月16日
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