古民家再生第1弾オープン祝う〜橋野町の曲がり屋 活用に夢膨らむ、市内外をつなぐ UIターン推進へ


2015/11/12
復興釜石新聞アーカイブ #地域

古民家再生 魅力的な空間に生まれ変わった古民家に関係者の笑顔が輝く

魅力的な空間に生まれ変わった古民家に関係者の笑顔が輝く

 

 釜石市の一般社団法人HUB三陸(中村博充代表理事)が取り組む橋野町の古民家再生プロジェクトの建物改修第1弾が終了し、10月31日に現地でオープニングパーティーが開かれた。作業に携わってきたボランティアや関係者約50人が参加し、生まれ変わった築90年の曲がり家で今後の活用に夢を膨らませた。

 

 同プロジェクトは、地域資源である古民家に地域づくりの学びの場、団体や企業、大学の研修拠点としての機能を見いだし、釜石への関心の掘り起こしや交流促進につなげようと5月にスタートした。十数年空き家になっていた古民家を借り、ワークショップ方式でボランティアによる改修に着手。プロの指導を受けながら床板張り、壁塗り、ロケットストーブ製作などを行ってきた。国内外から集まったボランティアは延べ450人にのぼる。

 

改修が進められてきた橋野町中村の築90年の古民家

改修が進められてきた橋野町中村の築90年の古民家

 

 今回は2階建て母屋の1階を改修した。玄関に接する茶の間は吹き抜けに改築し、古民家ならではの立派な梁(はり)を際立たせ、まきをくべるロケットストーブを設置。他に広間と奥、表座敷の3部屋があり、戸を外すと大広間にもなる。水回り、照明などは企業が協賛した。設計、施工監理を行った東京都の1級建築士、高池葉子さん(33)は「多くの人が思い入れを持って関わってくださった。本当に感慨深い。まずは地域の方からどんどん使っていただき、外からも人を呼び込む場になれば」と願った。

 

 同プロジェクトには市の「定住促進かまいし魅力体験事業補助金」が交付されている。同事業は釜石での中・長期型滞在プログラムで地域の魅力を感じてもらい、継続的な関わりやU・Iターン推進につなげようというもの。市まち・ひと・しごと創生室の石井重成室長は「『移住未満、観光以上』という人たちをどれだけ増やせるか。その層の厚みが地域活力に大きな影響を与えてくると思う」とプログラムに期待を寄せる。

 

 改修した古民家はHUB三陸が管理し、一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校(伊藤聡代表理事)、パソナ東北創生(戸塚絵梨子社長)などと共に企画する体験・研修プログラムの活動拠点とする。2階も今後、改修が進められる予定。

 

 母屋に併設される馬屋は、一般社団法人三陸駒舎(寄田勝彦代表理事)がクラウドファンディングを活用し改修予定。馬を飼育しながら、ホースセラピーや馬との暮らし宿泊体験などを予定する。三陸駒舎、HUB三陸の両理事を務める黍原豊さん(38)は「馬との触れ合いには心豊かに過ごしたり、今の社会が抱える課題を解決するヒントがある。地域の人たちと一緒に発信していければ」と意欲を見せる。

 

 プロジェクト担当のHUB三陸理事斎藤学さん(35)は「内外の人をつなぎ、釜石に来るきっかけを作ろうとしたのがHUB三陸。古民家再生はまさにそれを体現してくれた。また釜石に来たい、外からも応援したいという人が出てきている」と、早くも事業の手応えを感じている。

 

(復興釜石新聞 2015年11月7日発行 第434号より)

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