復興加速へ釜石市議選〜現職15、新人5人当選 投票率は過去最低に
トップ当選を喜ぶ千葉栄氏(前列右から2人目)と支持者ら=6日午後11時4分、甲子町の松倉地区コミュニティー消防センターで
任期満了に伴う釜石市議選は6日、投票が行われ、釜石高体育館で即日開票の結果、現職15人、新人5人の当選が決まった。新人の千葉栄氏(62)が1600票台に乗せるトップ当選で初挑戦を飾った。東日本大震災から4年半を経過した今回は、遅れが目立つといわれる「復興の加速」が最大の争点となった。しかし、有権者の関心はいまひとつ盛り上がらず、投票率は64・57%にとどまり過去最低に終わった。
千葉栄氏トップ当選
「消防に携わった41年の経験を生かし、防災に強いまちづくりに全力を傾けたい」。初陣でトップ当選を果たした千葉栄氏は、甲子町の松倉地区コミュニティー消防センターで、多くの支持者らの歓声に包まれながら決意を述べた。「800票も集まればと思っていた」と、倍以上の得票に驚く。
震災当時は釜石・大槌地区行政事務組合消防本部消防課長。その直後に消防長となり、不明者捜索などの指揮に当たった。「大災害では、小規模な消防本部では対応しきれないことを痛感」。ドクターヘリや防災ヘリに対応するヘリポートの必要性も感じたという。
「本当に信任されるのは、これから。懸命に頑張りたい」。温厚な人柄で人望も厚く、地元の松倉地区のほか、兄弟が住む出身地の唐丹町や消防OBなど幅広く支持を集めた。妻・豊子さん(59)も市職員を辞め、選挙戦を支えた。
定数20の同市議選では、欠員1人に加え現職4人が引退したものの、元職1人、新人6人が立候補し選挙戦となった。
被災地の片岸地区を地盤とする新人の山﨑将也氏(38)は現職が引退した橋野、栗林地区などにも支持層を広げ、1400票と2位の高得票で初当選。同じ片岸地区を地盤とする山﨑長栄氏(68)は、公認する公明党の山口那津男代表が選挙戦初日に釜石入りするなどテコ入れし、1300票台に乗せ7選を果たした。同党公認の細田孝子氏(52)も1千票台で4選。
前回、新人でトップ当選した菊池秀明氏(68)は、地盤の甲子地区から千葉栄氏などが立候補したことから前回より票を減らしたものの1100票台で再選。小川地区を地盤とする松坂喜史氏(62)も手堅く1千票余りを集め7選。新人の佐々木聡氏(47)は、元市議会副議長で昨年引退した兄・佐々木透氏の地盤を引き継ぎ、1002票を獲得し初当選した。
安保法案反対などを訴えた共産党の坂本良子氏(67)と菊池孝氏(71)は共に600票台で当選ラインに滑り込み、2議席を確保した。
元職で現在はみなとかまいし地区会議議長を務める高橋松一氏(73)は前回と同じく400票台にとどまり、市議会への復帰はならなかった。新人の川嶋昭司氏(73)も300票台に終わり涙をのんだ。
当日の有権者数は3万489人(男1万4307人、女1万6182人)で、投票者総数は1万9687人。有効投票は1万9411票で、276票は無効となった。投票率は64・57%で、過去最低だった前回2011年の68・11%をさらに3・54ポイント下回った。
(復興釜石新聞 2015年9月9日発行 第417号より)
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