教訓伝承「てんでんこレンジャー」〜いのちをつなぐ未来館、顔出しパネルでアピール
防災学習に活用してもらおうとワークブックや顔出しパネルを製作した関係者
釜石市鵜住居町の津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」の名誉館長加藤孔子(こうこ)さん(63)=盛岡市、岩手大教員養成支援センター特命教授=や釜石出身の岩手大生らが、同館での防災学習に活用するワークブックを製作した。子どもに津波や防災をより身近に感じてもらおうと、災害から身を守るすべを分かりやすく伝える「てんでんこレンジャー」の顔出しパネルも設置。東日本大震災を経験していない世代が増える中、未来の命を守るための学習、教訓の伝承に力を注ぐ。
ワークブックは3部構成で、「ステップ1」は釜石の歴史、過去の地震や津波被害を解説する。「2」は震災や釜石の防災学習などを紹介し、未来館ガイドの説明や展示物の内容を補足。「3」は学びを振り返るクイズなどを載せている。
同大地域創生モデル構築活動によって作成。震災を経験した学生や大学院生が執筆者として加わり、災害時に生かされた学習活動を伝えている。
同大大学院2年の岡道一平さん(24)は、母校釜石東中の防災学習を紹介する項目を担当。「次世代に伝えられる形として防災教育の一助になれば。津波、歴史に興味を持ち、学ぶ入り口にしてほしい」と願う。
箱崎町出身で、思い出が多く詰まった自宅を津波で失った。考えると心が重くなる震災だが、進む道を見つけるきっかけになったのも「あの日」。この春、社会人となり、まちづくりやインフラ整備に関わる仕事で貢献したいと気持ちを引き締めた。
顔出しパネルは見学後、振り返りの一助に役立ててもらうのが狙い。「自分だったら」と見学者それぞれに地域、周囲で起こり得る災害や備え、教えを考えてもらう。
製作に合わせて館内の展示も充実。震災時の釜石小の子どもたちの避難経路を詳しく示し、手記も紹介する。
加藤さんは「経験者の言葉はリアルで説得力がある。防災の力を子どもたちに伝え続け、未来の命を救っていきたい」と力を込めた。
復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)
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