釜石線70周年記念号運行、「走り続けて」の願い受け〜JR東日本「リゾートあすなろ」、沿線4市町の住民を招待
吉田駅長から制帽を借りて車両の前で記念撮影=釜石駅
花巻―釜石間(90・2キロ)を結ぶ鉄道「JR釜石線」は10日、全線開通から70周年を迎えた。最大の難所であった仙人峠を越え、内陸と沿岸が1本のレールで結ばれた日。記念列車が運行されたほか、釜石市内ではJRと市などの共催で各種記念イベントが行われ、市民や鉄道ファンらが70年前の悲願達成に思いをはせた。
JR東日本盛岡支社(石田亨支社長)は10日、釜石―花巻駅間で「釜石線70周年記念号」を特別運行。沿線4市町と大槌町の住民約130人を無料招待(事前申し込み)し、長年にわたり同線を支えてくれたことへ感謝の気持ちを表した。
記念列車の車両は、主に青森県内で運行されている臨時快速列車「リゾートあすなろ」(2両)。釜石・住田・大槌の住民は釜石―遠野間、花巻・遠野の住民は遠野―花巻間でリゾート列車の旅を楽しんだ。沿線の4駅では地元郷土芸能などが歓迎のおもてなし。地域に愛されてきた鉄路の節目を共に祝った。
始発の釜石駅から乗車したのは約60人。釜石市の平舘人美さん(55)は母、姉夫婦と「期待感いっぱい」で乗車。70周年を迎えた同線について「地域の足として大切。これからも長く走り続けてほしい」と願った。
午後0時半、吉田正樹駅長の合図で列車が滑り出すと、ホームでは観光関係者やJR社員らが大漁旗や手を振ってお見送り。「尾崎町虎舞」の威勢のいい囃子(はやし)が出発を盛り上げた。
関係者の見送りで釜石駅を出発する「リゾートあすなろ」
吉田駅長は「仙人峠の難工事を経て、やっと結ばれた路線。当時は1週間も祭りをして喜んだという。苦労の後の喜びは大きい」としみじみ。釜石線について「新幹線、三陸鉄道を結ぶ重要な役割もある。来年4月から始まる東北デスティネーションキャンペーンにもつなげ、沿線を一層盛り上げていければ」と思いを込めた。
「リゾートあすなろ」は2010年12月の東北新幹線新青森開業に合わせ登場。ゆったりとした客席や大きな窓、展望室などで景色を存分に楽しめる。ディーゼルエンジンとリチウムイオン蓄電池を組み合わせ、走行中も発電できる「ハイブリッドシステム」を搭載している。
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