コロナに負けず 迫力のブラス〜釜石高校吹奏楽部、演奏の喜びかみしめ


2020/08/03
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

部員らの思いが込められた演奏を会場一体となって楽しんだ

部員らの思いが込められた演奏を会場一体となって楽しんだ

 

 釜石高吹奏楽部(高木李子部長、部員26人)の第87回定期演奏会は18日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルス感染拡大の影響でコンクールが中止。練習時間も制限されるなど、例年とは違う状況下で迎えた演奏会。部員らは観客の前で演奏できる喜びを一層かみしめ、約270人に精いっぱいのステージを届けた。

 

 入場者の体温チェック、アルコール消毒、マスク着用など感染防止対策を徹底して開催。会場のホールAは客席最前列を使用せず、一席ずつ間隔を空け座ってもらう形で、通常の約半分420席のみ提供。〝密〟の回避に努めた。

 

 今年の定演のテーマは「青春~この夏に捧ぐ~」。1部は吹奏楽の名曲を中心に3曲を演奏した。今年のコンクールで演奏予定だった「マードックからの最後の手紙」は、豪華客船「タイタニック号」の沈没事件をモチーフにした曲。演奏中に、釜石高で古くに使われた始業開始を告げるハンドベルを楽器として用いた。

 

 2部はドラマやアニメの話題曲など5曲で、中には部員が編曲した作品も。前川真心君(2年)は大人気アニメ「鬼滅の刃」のオープニング曲「紅蓮華」を、川前優愛さん(3年)はディズニーメドレーを手がけ、迫力の吹奏楽サウンドで魅了した。打楽器(マリンバ)二重奏、サクソフォン四重奏のアンサンブルも聞かせた。

 

 例年の3部構成から規模を縮小した形となったが、部員らの努力が光るステージに客席から大きな拍手が送られた。

 

 同定演は久しぶりという甲子町の女性(67)は「感動で涙が出た。練習も苦労したんでしょうね。コロナや大雨災害のニュースでストレスもいっぱいだったが、今日は元気をもらった感じ」と喜びの笑顔。市民吹奏楽団で活動する平田の多田由佳さん(67)は「こうして演奏会ができるようになってきたのはうれしいこと。高校生たちも頑張っている。自分たちも8月2日のコンサートに向け力を注ぎたい」とバトンを受け継いだ。

 

 同部はコロナ対策で休校となった3月は全く活動ができず、新年度に入ってから再開。1年生10人を迎えスタートした矢先、本年度の全日本吹奏楽コンクールの中止が発表された。目標の一つを失い意気消沈するも、定演で良いものを届けたいと、限られた練習時間の中で懸命に取り組んできた。

 

 高木部長(3年)は「1年生を中心に基礎力を上げるのに苦労した。練習通りにいかない面もあったが、みんなで力を合わせ終われたのは何より」と充実の表情。編曲に加え、初めて指揮も担当した前川君は「何とか仕上げて発表できた。演奏を率いる立場になって、広い視野の必要性など大変さを感じた」と貴重な経験を成長につなげた様子。

 

 同部は昨年度のコンクールで19年ぶりの東北大会出場を果たした。今年の挑戦はかなわなかったが、前川君は「今のマイナスな状況をプラスにとって、個々の基礎固めなどをしながら高みを目指していきたい」と、次年度への精進を誓った。

 

(復興釜石新聞 2020年7月25日発行 第896号より)

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