W杯の余韻楽しみウォーキング〜県協会主催 221人参加、鵜住居の今を体感
岩手県ウオーキング協会(佐藤良介会長)主催の第19回県ウオーキング大会は17日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムを発着点に行われた。県内持ち回りで開催される同大会が釜石で開かれるのは第7回以来12年ぶり。各地の協会員と一般参加者221人が、ラグビーワールドカップ(W杯)の余韻が残るスタジアム周辺を歩き、震災から8年8カ月の鵜住居の今を体感した。
出発式で佐藤会長は「W杯の熱戦を振り返りながら、震災復興の状況も見てもらえれば」と呼び掛けた。
5キロと10キロの2コースを用意。両コースともスタジアム内にある津波祈念碑「あなたも逃げて」、鵜住居駅前の「祈りのパーク」、鵜住神社に立ち寄り、震災犠牲者を慰霊。寺前交差点までは同じ道をたどり、10キロ組は片岸町へ。国道45号を進み、震災後に整備された高さ14・5メートルの防潮堤に向かった。堤上部の遊歩道から、大槌湾の景色や復興が進む町並みを目に焼き付けた。5㌔組は同交差点からスタジアム方面へ折り返し、根浜海岸へ。津波記憶石、島倉千代子の歌碑も見学し、スタジアムに戻った。10キロ組も片岸から根浜に向かい、同様にゴールした。
花巻協会に所属する伊藤貴昭さん(76)はウオーキング歴約20年。「子どもが小さいころ、根浜海水浴場に来たことがある。今回は防潮堤からの眺めも楽しみ。内陸の山育ちには海が憧れ」と元気に歩みを進めた。
北上市協会の千田淳子さん(68)は「甚大な津波被害があった所。その場に立つと胸が詰まりますね」と、追悼施設などで犠牲者へ鎮魂の祈りをささげた。まちの様子もつぶさに見ながら、「復興は楽な道のりではない。まだまだ大変なんだろうと思う。でも一歩一歩進んでいくしかないし、いってほしい」と願いを込めた。
この日は晴天に恵まれたものの冷たい強風が吹き荒れ、秋から冬への移ろいを色濃く感じさせた。大会を主管した釜石市協会の桝井昇会長は「200人を超す人たちに参加いただき、ありがたい。つわものたちが奮闘したスタジアム、復興途上のまちを心に刻み、沿岸特有の空っ風も十分味わっていってほしい」と話した。ゴール後は市の担当者からスタジアムについての説明も受けた。
(復興釜石新聞 2019年11月23日発行 第844号より)
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