開花の明日を信じて〜第49回釜石市民芸術文化祭、19団体 多彩に発表
多様な表現活動に取り組む市民らの個性豊かな作品を紹介する芸術文化祭
釜石市の芸術の秋を彩る第49回釜石市民芸術文化祭(市、市教育委員会、市芸術文化協会主催)は8日から10日まで大町の市民ホールTETTOで開かれた。「弛(たゆ)まぬ美の文化を育む、芸術の開花の明日を信じて」をテーマに掲げる市内最大の文化の祭典。今年は市内団体による展示発表に加え、岩手芸術祭巡回美術展と移動公演を同時開催。多彩な作品が並び、文化、表現活動の魅力を発信した。
来場者は会場を回りながら思い思いに芸術の秋を楽しんだ
9日午後に行われたセレモニーで野田武則市長は「釜石は文化の薫り高いまち。今まで積み重ねてきた取り組みを守り、発信し、大きく羽ばたいてほしい」とあいさつした。
展示部門は芸文協加盟の19団体が絵画や生け花、切り絵、写真、書道、ステンドグラスなどを出展。昨年好評だった美術館風に仕立てた特別展示コーナーでは、釜石小が所蔵する盛岡市出身の画家深沢紅子(1903―93)の静物画、双葉小が所蔵する新町在住の画家桑畑和生さん(68)の風景画、芸文協加盟団体の代表作品をスポットライトで浮かび上がらせる演出で紹介した。
光の演出を活用した美術館風に仕立てた特別展示コーナー
水墨画遊心会(谷藤稔会長)は会員4人の作品12点を展示。谷藤会長(77)=甲子町=は多くの人に見てもらう機会を喜びつつ、「奥深い世界。腕を磨き続ける。何でも挑戦していきたい」と意欲をにじませた。
岩手芸術祭美術展公募作品から選ばれた日本画やデザイン、彫刻など見応えのある美術作品も多数展示。豊かな表現力で来場者を魅了した。
発表部門には4団体が出演し、和洋の演奏、歌、踊りを披露。今年も協会外から出演者を募り、二胡の演奏もあった。
会場と一体で楽しんだ釜石芸能連合会の「釜石小唄」
8日のステージ発表に登場したのは、琴城流大正琴・白百合会(鈴木琴節永代表)。「大正琴のつどい」と題し、会員8人が歌謡曲や童謡など14曲を演奏した。
和装の女装でボランティア活動を続ける鹿野正治さん、日本キリスト教団新生釜石教会の柳谷雄介さんらが賛助出演。演奏に乗せて踊って歌い、にぎやかな舞台となった。
歌と踊りを融合した演奏を披露した琴城流大正琴・白百合会
平田の柴田栄子さん(72)は「すてきな音色で癒やされる。しんなりとした踊りも演奏と合っていた。盛り上がって楽しい時間を過ごせた」と喜んだ。
同会の活動は今年で33年目。市内の老人ホームや復興住宅などで演奏活動を続ける。教室では現在、30~80代の12人が学ぶ。最高齢の木村睦子さん(89)=平田=は習い始めて20年。「楽しく演奏できた。元気なうちは頑張る。来年も舞台に立ちたい」と望んだ。
鈴木代表は「よく続いた。みんなのおかげ。大舞台での発表に会員たちは味を占めた様子。要望に応え来年もここで」と期待を込めた。
茶道協会による呈茶コーナー。笑顔のもてなしを添えた潤いを提供した
岩手芸術祭移動公演として、国の重要無形民俗文化財でユネスコの無形文化遺産に登録されている早池峰神楽「大償神楽」(大償神楽保存会)、モダンダンス(金田尚子舞踊研究所)のステージ発表が行われ、今年の芸文祭に華やかな彩りを添えた。
市芸文協の河東眞澄会長(79)は「1年間の活動の集大成の場。出展者の心意気を感じ取り、心豊かな時間を。釜石の芸術文化活動の創造、発展につなげたい」と今後を見据えた。
(復興釜石新聞 2019年11月13日発行 第841号より)
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