「釜石ふだん記の会」会誌を寄贈〜26年間の活動を刻む「多くの人に見てもらえれば」、市立図書館
会誌を贈った千葉会長(右)と桑畑さん
釜石市の文章運動グループ「釜石ふだん記(ぎ)の会」(千葉勝美会長)は11日、26年間の活動で発行した会誌「ふだん記」60冊と会員向けの情報紙159部を小佐野町の市立図書館(高橋悦子館長)に寄贈した。
同会は人生記、旅行記、生活記などいわゆる「自分史」を気軽に文章にして記録する活動を行っているグループ。1992年に県高齢者大学釜石校で開講された自分史の作成講座を受講、修了した二十数人により結成された。グループ名の「ふだん記」とは、普段着からきたもの。よそゆきではなく、上手下手でもない「記録」という思いが込められている。
会誌第1号は同年7月に発行。投稿したのは8人だった。2、3年たって入会した千葉会長(93)=中妻町=によると、「投稿者が少なく、すぐに終わるとみんなが思っていた」という。それに反し、自分史だけでなく、社会や文芸、風物、身近な出来事など多彩な内容の文章が寄せられ、年に2~3号の発行を続けている。
最新刊は、昨年2月に発行した第60号。記念の特集、家族や旅の思い出など13編を掲載している。
現在会員は50~90歳代で、釜石市をはじめ大槌町、北上市、花巻市、埼玉県川越市に10人。元教員、元看護師など釜石と縁のある人たちが、「みんなで書いてみんなで読もう」「気軽に書こう」を合言葉に、文章を寄せている。
東日本大震災や戦争体験、日々の生活で感動したことなどを題材に寄稿している桑畑恒夫さん(83)=大町=は「文字に残すことで当時の思いを忘れず振り返ることができる。仲間の人生を感じることは自分にとってもプラスになる」と話す。
庶民の歴史や思いがいっぱい詰まった会誌を手に、「どんな生き方をしてきたか、残したい」と千葉会長、目指すは「人生、悔いなし」。年齢とともに書くことがおっくうになる―と言うが、生きがいでもある。「会員が保存するより、多くの人に見てもらった方がいい」と今回の寄贈を決めた。
同館では、ちょうど郷土資料の収集に力を入れようと考えていたところ。高橋館長は「地域の人が書いたもので、共感する部分が多いと思う。手作り感満載なところも親しみが持てる。読み継いでもらえるよう大切に保管していく。たくさんの方に見てもらう機会をつくっていきたい」と感謝した。
同会では現在、新刊発行に向け編集作業を進めている。新たな仲間も募集中。問い合わせは千葉会長(電話0193・23・7896)へ。
(復興釜石新聞 2019年6月15日発行 第799号より)
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