三陸道 着々整備〜吉浜−釜石南開通、沿岸南部40.2キロつながる
地元住民らが乗った車両約80台が走り初めした
東日本大震災の「復興道路」として国が整備を進める三陸沿岸道の一部となる「吉浜釜石道路」(大船渡市三陸町吉浜―釜石市甲子町、14キロ)のうち、吉浜インターチェンジ(IC)から唐丹町荒川の釜石南ICを結ぶ区間(5キロ)が11日、開通した。今回の開通で本県南部は陸前高田市竹駒町から釜石市唐丹町までの40・2キロがつながり、安全な通行とともに医療、物流、観光など復興を後押しする多方面での整備効果が期待される。
午後3時半の一般車両通行開始を前に、午前11時半から吉浜地区で開通式典が行われた。国土交通省道路局の池田豊人局長が「開通によって峠の走行性、安全性が向上する。残り区間の早期整備、一日も早い全線開通に向け努力していく」とあいさつ。達増拓也知事、戸田公明大船渡市長が完成までの経過を紹介し、整備による地域への波及効果に大きな期待感を示した。
吉浜釜石道路一部区間開通を祝った式典で関係者がテープカット
テープカットや車両パレードが行われ、出席者約150人が開通を盛大に祝った。同道路の残り区間となる釜石南ICから釜石ジャンクション(仮)を結ぶ区間(9キロ)は本年度中の完成を予定。野田武則市長は「災害が発生した場合の避難道、迅速で安定した緊急搬送という命の道であり、観光・交流の道、物流・産業・港湾道路と大きな役割も担う。こうした効果は道がつながってこそ発揮される。引き続きの加速を」と待ち望む。
同道路は片側2車線の自動車専用道路。新白木沢橋(250メートル)、新鍬台トンネル(3330メートル)と2つの構造物が区間内の約7割を占める。並行する国道45号は約4割が急カーブなど線形不良となっていて、正面衝突などの事故も多い。今回の開通で、線形不良区間の通行回避による走行の安全性の確保、海産物輸送の鮮度保持、広域周遊ルートの形成による観光振興―など生活や産業の質向上、地域振興に期待が高まる。
(復興釜石新聞 2018年8月18日発行 第715号より)
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