「悲劇を繰り返さない」誓いを胸に〜両石で慰霊碑除幕、120世帯が戻る意向

復興釜石新聞2018/07/30

海に向かって献花し、犠牲者を思い祈りをささげる参列者

海に向かって献花し、犠牲者を思い祈りをささげる参列者

 

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受け、町民46人(関連死含む)が犠牲となった釜石市両石町に、犠牲者を悼み、震災の教訓を後世に伝える慰霊碑が建立された。この碑は、両石湾を望む海抜20メートルの高台に位置。22日、建立した両石町内会と両石財産区が碑の前で慰霊祭を開き、町民や関係者約150人が犠牲者の鎮魂とまちの再生を願い、祈りをささげた。

 

 佐藤実・町内会長代行(62)が、町民や法人などの寄付で実現した建立の経緯を説明。「皆で心を一つに、哀悼の祈りを込めたい。平成30年は両石にとってまちづくりスタートの大きな区切りの年」とし、古里再興へ思いを強くした。町内の子ども3人が碑を除幕。協力した14法人・団体に感謝状が贈られた。常楽寺(鵜住居町)の藤原育夫住職が開眼供養を行い、参列者が焼香、献花。犠牲者の冥福を祈り、悲劇を繰り返さないことを誓った。

 

 同碑建立は2016年6月の町内会総会で決議。役員が市内十数カ所に散らばる町民を一軒一軒訪ねて寄付を募った。同町出身者や復興工事関係者、各種団体も協力。11法人、6団体、180個人から寄付が寄せられた。不足分は要望を受けた同財産区が支援。仲野石材店(大町)が施工し、今月14日に完成した。事業費は約235万円。

 

 建立場所は、桑の浜地区に通じる新市道(未開通)沿い市有地の一角。花こう岩の碑は高さ約2・5メートル(台座含む)で、題字は野田武則市長が揮毫(きごう)した。台座に刻まれた碑文には、大地震発生から津波の襲来、町内の被災状況、復興の道のりが記され、明治、昭和の大津波にも言及。「教訓はひとつ。徒に津波の規模を想定せず、津波警報が出たら自らの命を守るべく、高台目指しとにかく避難すること」と、未来を生きる人々へ訴えかけている。

 

46人の御霊を慰め、津波の教訓を末永く伝え続ける慰霊碑

46人の御霊を慰め、津波の教訓を末永く伝え続ける慰霊碑

 

 遺族代表であいさつした渡辺裕子さん(76)は、夫の正さんを亡くした。「毎日、泣いて過ごした」と当時の絶望感を吐露。平田の仮設住宅に暮らし、今年中に両石に、息子夫婦と住む自宅を再建する予定だという。「くよくよしてはいられない。両石に帰らねばという思いはずっと持ち続けてきた。残りの人生を再び、地域の皆さんと仲良く暮らせたら」と願った。

 

 慰霊碑の隣には今後、津波で流され、がれきの中から見つかった地元消防団の半鐘を設置し、慰霊や記憶の伝承に役立てる方針。

 

 同町を襲った津波は最大で海抜24メートル地点にまで達した。当時、260戸あった住宅は、高台の13戸を残して全て流失。一夜にしてまちが姿を消した。

 

 復興のため、市内最大規模の盛り土造成が行われた。今年、県営両石アパート(24戸)と市が整備する戸建て復興住宅13戸が完成し、入居している。戸建て住宅は残り12戸が建築中で、65区画整備された自力再建用地では、新たに家を建てるつち音があちこちで響いている。

 

 町内会によると約120世帯が同町に戻る意向を示しており、最終的な町内会規模は震災前の半分程度になる見通し。

 

(復興釜石新聞 2018年7月25日発行 第709号より)

 

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