地中から尾崎公園の記録〜地元住民 40年前に思いはせ、二つの碑掘り出す


2018/07/27
復興釜石新聞アーカイブ #地域

2つの門のふたを除き、表土の砂利を取り除く作業を住民も見守った

2つの門のふたを除き、表土の砂利を取り除く作業を住民も見守った

 

 釜石市浜町の高台にある尾崎近隣公園で18日、40年前に同公園の完成を記念して埋められたタイムカプセルの掘り起こしが行われた。工事関係者の名前が記された二つの碑が掘り出され、作業に立ち会った約20人の地元住民らは「こんな碑が埋められていたのを初めて知った」と驚き、当時のにぎわいに思いをはせた。震災の津波で浸水した埋設場所は今後、市道として整備される。

 

 尾崎公園は1977~78年度の2カ年事業で建設された。公園の上り口には大きな門柱(幅1・7メートル、奥行き4・5メートル、下段の最大高2・5メートル)が対となって設置され、左に「尾崎公園」、右には「おさきこうえん 昭和54年3月竣工」と記した金属製の銘板がはめられている。

 

 地元住民で組織する尾崎公園愛護会の高橋松一会長(76)が、当時の工事関係者から「タイムカプセルのような物を埋めた」と聞き、復興工事を担当する熊谷組・小澤組特定建設工事共同企業体(JV)が住民の要望に応じ協力した。

 

 この日は、公園建設工事の現場主任だった鎌田紀男(ゆきお)さん(70)=山長建設取締役=も立ち会い、「何かを埋めたのは覚えているが、中身は定かではない」と作業の様子に目を凝らした。

 

 門柱の分厚いふたの下には、玉砂利が敷かれ、中からチェーンで結ばれた碑が現れた。いずれも黒みかげ石で、縦70センチ、横80センチ、厚さは最大25センチ、重さは300キロ近いと推定。碑に刻まれた記録には「市民の健康増進と避難広場とするため、事業費9千万円を投じて昭和54年3月に完成した」とある。

 

出土した碑を囲み、40年前の一帯のにぎわいを語る住民ら

出土した碑を囲み、40年前の一帯のにぎわいを語る住民ら

 

 掘り起こしに立ち会った地元の萬キヨさん(83)は「陣屋まつりなど広場に大勢が集まってにぎわった。震災後から寂しくなったが、また、にぎわいが戻るといい」と大掛かりな作業を見守った。

 

 高橋会長は「いつ掘り出す計画だったのかも分からないが、千年に一度という震災で碑を取り出すことになった。ほかの埋蔵品も期待したが、碑は文化財として保存してほしい」と願う。今後、碑をどのように保存するかは、市と協議するという。

 

 震災の津波で周辺の建物は流失し、現在は住宅再建用地などの造成工事が進む。盛り土の高さは最大7メートルに達し、公園も門柱の上まで土に覆われる計画だ。土盛り工事を前に門柱は撤去する。

 

(復興釜石新聞 2018年7月21日発行 第708号より)

 

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