岩手の希望の星に、「SL銀河」に目を輝かせる〜JR釜石駅で一般公開


2018/07/24
復興釜石新聞アーカイブ #観光

気分は鉄道マン!レールスターの乗車体験

気分は鉄道マン!レールスターの乗車体験

 

 JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)で運行5年目を迎える蒸気機関車「SL銀河」が15日、釜石駅構内で一般公開された。機関車を間近で見学でき、楽しい企画が毎回好評のイベント。今回は、クイズ大会や作業車両の走行体験が人気を集め、約450人がSLや鉄道の魅力を存分に味わった。

 

 機関車の前では恒例の記念撮影が行われ、乗務員などの制服や制帽を身に着けた来場者がとびきりの笑顔でフレームに収まった。小・中学生が抽選で、運転台での記念撮影ができるサービスも。石炭を燃やす匂い、汽笛や噴き出す蒸気などさまざまな感覚に訴えるSLの姿に来場者は目を輝かせた。

 

機関車をバックに写真を撮ってもらう家族連れ

機関車をバックに写真を撮ってもらう家族連れ

 

 新メニューとして用意されたのは、線路の点検時に作業員が山中などへの移動に使う「レールスター」の乗車体験。昔は自転車のように人力でこぐタイプだったというが、今は4駆のエンジン車両。約100メートル区間を2往復し、普段は味わえない高さの視点とスピードを体感した。

 

 東京都墨田区の中学1年生、鈴木花恋さん(12)は同車両の意外な速さに驚きながら、「レール点検など陰で頑張っている人たちのおかげで、私たちが安心して乗れているんだと思った」と作業員の苦労を想像。前日、両親とSL銀河に乗って釜石入りし、同イベントも楽しんだ。鉄道マニアの父克史さん(47)は「煙を吐く力強さとか、蒸気機関車って、まさに生きている感じ。SL銀河は沿線の人が手を振ってくれるなど地元の応援、もてなしの心が伝わり、こちらも温かい気持ちになる」と、妻雅美さんと声を弾ませた。

 

 最も盛り上がったのは「SL王」の座をかけたクイズ大会。問題は現役の検修員が知恵を絞って作成した○×式で、幅広い年代が挑んだ。予選で正解数の多い人が決勝に進出。SL銀河の全長、石炭を入れる火室の最高温度、花巻―釜石駅間のトンネルの数など、車両や路線に関する難問が出題され、参加者の頭を悩ませた。

 

 優勝したのは盛岡市の会社員、関場正浩さん(35)。趣味で毎週SL銀河を追っかけ、写真撮影などを楽しんでいるというが、「全然分からない問題もあり、予選では1問間違えた」と苦戦した様子。「問題にもあったが、JR東日本でも4つしかないSLが岩手にあるのは県民としては誇り。震災復興の力にと始まった運行だが、今でも全国からいろいろな方が乗りに来てくれる。できれば長く運行し、岩手の希望の星になってくれれば」と願った。

 

「クイズSL王はオレだ!」正解に思わずガッツボーズ

「クイズSL王はオレだ!」正解に思わずガッツボーズ

 

 4月21日から今年度の運行が始まったSL銀河は、一般公開前日の7月14日までで上下合わせて27本運行。約3500人が乗車し、平均乗車率は75%。今のところ、9月末まで土・日・祝日を中心とした運行が予定されている。

 

 JR東日本盛岡支社の中原俊直販売促進課長は「震災から年数を重ねる中で、遠野―釜石間の利用が落ちている傾向がある。沿岸まで乗ってもらえるような鉄道の魅力づくりに地元の皆さんと一緒に取り組みたい」と運行5年目の課題を見据えた。

 

(復興釜石新聞 2018年7月18日発行 第707号より)

 

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