平田幼稚園が閉園、65年の歴史に別れ〜4月から民間運営のこども園に、地元住民支援継続


2018/04/02
復興釜石新聞アーカイブ #地域

4月から「平田こども園」となる平田幼稚園の園舎

4月から「平田こども園」となる平田幼稚園の園舎

 

 釜石市平田の市立平田幼稚園(藤原安園長)は31日で閉園する。24日、同園で閉園記念式典が開かれ、園児や保護者、地域住民らが65年の歴史を刻んだ幼稚園に別れを告げた。新年度4月からは、民間事業者が運営する「平田こども園」に生まれ変わる。

 

 式典には約80人が出席。野田武則市長が「保護者の就労環境の変化に対応可能なこども園として、新たなスタートを切ることになった。子どもたちに培われた郷土愛が、輝かしい未来の礎となるものと信じる」と式辞を述べた。

 

 藤原園長は「平田幼稚園の思い出がいつまでも残りますように。子どもたちの旅立ちにエールを送りたい。平田の皆さんの明るさ、たくましさ、やさしさが次世代へ引き継がれることを願う」とあいさつした。

 

 同園に特に貢献したとして、佐々木静男さん(畑、樹木整備など)、平田地域会議(交通指導、雪かきなど)、平田青虎会(虎舞指導)に市教委から感謝状が贈られた。園児らが「へいたっこ虎舞」を演舞。「大きくなってもずっと忘れません。たくさんの思い出をありがとうございました。さようなら」と声を合わせ、歌で気持ちを表した。

 

 同園は1953年10月、旧平田小校舎を利用し、運営協議会による私立幼稚園として開設。78年4月に〝市立〟となり、81年に新園舎が整備された。恵まれた自然環境の中、地域に開かれた幼児教育を実践。東日本大震災では津波は免れたが、ライフラインの寸断で1カ月間の休園を余儀なくされた。復興に向けた土地区画整理事業に伴い、2015年10月、平田小近くに現園舎が移転新築された。市立幼稚園の40年間で輩出した卒園児は1183人。

 

 式典には歴代教職員の姿も。公立移管時に主任として勤務した千葉県船橋市の佐々木寿美子さん(82)は「新園舎の建設を進めながらの保育で苦労したが、人懐っこい子どもたちに支えられた」と当時を懐かしみ、「地域との関わりが強かった分、自分の中でも一番の記憶に残る場所。自身も成長させられた」と尽きない思い出を口にした。

 

園児の元気な呼び掛けと歌で愛着ある幼稚園に別れを告げた式典(

園児の元気な呼び掛けと歌で愛着ある幼稚園に別れを告げた式典

 

 平田町内会の前川輝夫会長(同地域会議長)は「高齢化が進む地域で、子どもの明るい声が響く幼稚園は住民に元気をもたらしてきた。こども園になっても応援し、成長を見守っていきたい」と、新園との連携にも意欲を見せた。

 

 平田幼稚園では通常保育と預かり保育を実施。地元平田だけでなく、遠くは甲子町大畑や小川町、唐丹町まで市内各地から園児が通った。最終の17年度は3歳児11人、4、5歳児各16人の計43人が在籍した。

 

 子ども3人が同園に通った山崎幸恵PTA会長は「園の雰囲気と先生たちの温かい指導に何度励まされたか。安心して子どもを預けられた」と感謝。「こども園も地域に根付いた園であってほしい」と願った。次男の俊君(平田小2年)は新旧の園舎を経験。「サッカーをしたり、みんなで仲良く遊んだ。閉園は少し寂しい」と話し、今年度で卒園する弟の健太君と大切な思い出を胸にしまい込んだ。

 

 市は16年に策定した幼児教育振興プランに基づき、市内幼・保施設の再編を推進。平田幼稚園は保育所型認定こども園(定員90人)に移行することになり、公募・審査の結果、「ぴっころきっず平田」を運営するプライムツーワン(本社・札幌市)が運営事業者に決まった。

 

(復興釜石新聞 2018年3月28日発行 第676号より)

 

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