釜石市と大槌町「定住自立圏」の形成協定〜医療充実、産業振興など連携 5月までに「共生ビジョン」策定


2018/03/30
復興釜石新聞アーカイブ #地域

定住自立圏形成の協定締結を終え、握手を交わす釜石市と大槌町の関係者ら

定住自立圏形成の協定締結を終え、握手を交わす釜石市と大槌町の関係者ら

 

 釜石市と大槌町による定住自立圏形成協定の締結式が20日、釜石市役所で行われ、野田武則市長と平野公三町長が協定書に署名した。人口減少や地域活性化が共通の課題で、医療体制の充実や産業振興の強化、地域公共交通の整備、人材育成といった事業を連携、協力し進めることで圏域の生活機能の確保、魅力ある地域を形成するのが狙い。締結を受けて4月に両市町の住民代表らを交えた共生ビジョン懇談会を開く予定。連携する具体的な取り組みを盛り込んだ「共生ビジョン」を5月までに取りまとめる。

 

 定住自立圏は、地方への人の流れの創出を目指した制度。中心的機能を担う「中心市」と、経済や文化、生活で密接な関係のある「周辺市町村」で構成し、事業に対して国から優先的に財政支援が受けられる。釜石市は2月26日に「中心市」を宣言し、各市町議会の議決を得て協定を締結した。

 

 今回の両市町による定住自立圏の形成で、連携する政策分野は▽生活機能の強化(医療、福祉、教育、産業振興、防災など)▽結びつきやネットワークの強化(地域公共交通、移住の促進など)▽圏域マネジメント能力の強化(人材育成)―の3点。福祉では総合的な子育て支援など、産業振興では中小企業の育成や観光資源のPRなど、移住の促進では婚活イベントの共同開催など、人材育成では職員の合同研修といった事業を挙げている。

 

 この日の締結式で野田市長は「あるものを分かち合い、ないものは補い合うのが圏域形成の意義。連携が円滑に進み、効率的な行政運営のもと質の高い公共サービスの提供ができる」と強調。平野町長は「町単独で全ての課題を解決するのは困難で、連携し圏域としての魅力を高める必要があると強く認識。地域住民が『連携して良かった』と思える取り組みをすべきで、釜石との連携を磨き上げたい」と述べた。

 

 共生ビジョン懇談会の第1回は4月16日に市役所で開く予定。圏域全体で目指す将来像とその実現のために必要な具体の取り組みを検討し、5月にビジョンを取りまとめることにしている。

 

(復興釜石新聞 2018年3月21日発行 第674号より)

 

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