ホタルの里を守ろう、中小川地区 環境保全に前向き〜意識醸成へ今年も「まつり」


2017/07/19
復興釜石新聞アーカイブ #地域

第5回開催記念の餅まきは2回に分けて実施。ホタルの里を守り育てる住民らが交流の輪を広げた

第5回開催記念の餅まきは2回に分けて実施。ホタルの里を守り育てる住民らが交流の輪を広げた

 

 釜石市内でも有数のゲンジボタルの生息地として知られる小川川流域。ホタルが住める豊かな自然環境を内外に発信し保全意識を共有しようと「ほたるの里まつり」が8日、中小川地区で開かれた。5回目の今年は、恒例の”ほたる娘コンテスト”や歌と踊りのステージに加え、記念の餅まきが行われ、約100人が楽しんだ。

 

 流域の4町内会などで組織する小佐野地域会議同まつり実行委が主催。岩切潤議長が「釜石にもホタルが住める場所があることを次世代の子どもたちに伝えていけるよう、この環境を残していきたい」とあいさつし、餅まきで幕を開けた。

 

 ほたる娘コンテストには、小佐野小5年の川端心さん、濱美由妃さん、河村唯さんが応募。審査員からさまざまな質問を受けた。「ホタルについて知っていることは」との問いに、3人は「ゲンジボタルとヘイケボタルがいる」「卵の時からすでに光っている」「きれいな川に住んでいる」と豆知識を披露し、ほたる娘の資質をのぞかせた。

 

 初めて応募した河村さんは「まだ生でホタルを見たことがないので、今年は見てみたい。地元のホタルを守るため、川のごみを拾うなどできることをしたい」と話した。審査の結果、3人ともほたる娘に認定され、賞状やホタル観察のための捕獲許可証が贈られた。

 

 地元で介護予防活動などに取り組む中小川菜の花会は、2009年から歌い継ぐ「蛍の里」(釜石オリジナル歌謡同好会作詞作曲)を合唱。小川川沿いに自宅がある三浦啓子会長は「ホタルの発光が見えると『今年も飛んだ』とうれしくなる。ピークの09年ごろに比べ数は減っているようだが、先月30日には、ここ数年ではまれに見る光景が広がった。ぜひ多くの方に見てもらいたい」と地元の宝をアピールした。

 

 釜石の歌手、尾崎都さんが佐々木社中と華やかな歌と踊りのステージを繰り広げ、小川鹿踊り保存会が伝統の舞で観客を魅了した。

 

 同まつりは昨年まで中小川集会所前にあった仮設団地の駐車場で行われてきたが、今年5月末で団地が閉鎖され解体工事中のため、地区内の住宅型有料老人ホーム、カサ・デ・ファミリア駐車場に会場を移して行われた。

 

 「祭りは高齢者の閉じこもり予防にもつながる。今後もこういう場を提供できれば」と中小川町内会の佐々木正雪会長。小川川の現状について「ゲンジボタルの幼虫の餌となるカワニナ(巻き貝)が少ないようだ。市などに協力を求め、えさの放流もしていきたい」と生息環境改善に意欲を見せた。

 

 小川川のホタルは旧小川小から下流の小川集会所付近にかけて見られるという。発光の見ごろは間もなく終盤。早めの観察がお勧めだ。

 

(復興釜石新聞 2017年7月12日発行 第604号より)

 

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