釜石オープンウオータースイミング いわて国体のレガシー継ぎ10年 あいにくの天候も選手ら力泳

2016年の希望郷いわて国体を機に17年から継続開催される「釜石オープンウオータースイミング」=2日、根浜海岸
釜石オープンウオータースイミング(OWS)2026根浜(実行委主催)は2日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場で開かれた。OWSは海などの自然水域で長距離泳のタイムを競う競技。2016年の希望郷いわて国体で同競技の会場となった釜石・根浜では、翌17年から地元主導の同大会がスタート。開始から10年となった今年は、小学生~80代まで304人がエントリーした。降雨に低水温と厳しいコンディションだったが、選手らは持てる力を発揮し完泳を目指した。
昨年はカムチャツカ半島付近で発生した地震による津波注意報、台風9号の影響を考慮し、大会3日前に中止を決めたため、2年ぶりの開催となった。開会式では小泉嘉明実行委会長、小野共釜石市長が選手を歓迎。西原義勝審判長からは「気温、水温ともに低いので決して無理をせずに」との注意喚起があった。選手の代表2人の先導で「ガンバロー釜石、オー!」と気合いを入れた。

あいにくの雨を吹き飛ばす元気な掛け声で気合い入れを行う選手ら

小学4~6年生が対象の500メートルの部には男女10人が出場

スタート地点に向かう1キロの部の選手をハイタッチで激励
競技は海上に設けた周回コースで実施。500メートル(小学4~6年生)、1キロ(小学4年生以上)、3キロ(中学生以上)、5キロ一般(同)、男女上位3人に日本選手権出場権が与えられる5キロトライアル(同)の各部で行われた。OWS検定5級の取得を目指す集団泳(小学3年生以上)もあった。
種目ごとに時間をずらしてスタート。各自の目標タイムや制限時間内での完泳を目指して競技に挑んだ。午前10時時点で気温21度、水温19度。前日から降り続いた雨の影響で、水温はこれまでにない低さ。選手たちは冷たい水や海中の視界の悪さに苦戦しながら懸命にゴールを目指した。砂浜や防潮堤では選手の家族や仲間が見守り、競技を終えて戻った選手に拍手やねぎらいの言葉を送った。

競技は1キロ男子の部からスタート。同女子の部、500メートルの部が続く。海上では地元のライフセーバーや漁船が選手の安全を守る

防潮堤や砂浜から選手の家族や仲間が競技の様子を見守る

完泳した選手にはその場で記録証を発行。大会スタッフが選手をねぎらう
欠場者を除いた当日の出場者は273人。途中でリタイアした人は30人で、完泳したのは243人。“勇気あるリタイア”で大きな事故なく競技を終えた。ゴールした全員に記録証が発行されたほか、各部の男女別総合と年代区分別で1~3位が表彰された。
1キロの部に出場した盛岡一高1年の高橋凛さん(16)は水泳歴10年。OWSの大会出場は今回が初めてで、「プールと違ってコースロープが無いので、何回も方向を見失いそうになり焦った。(雨の影響で)水も冷たいし海中は何も見えなくて」と初挑戦でいきなりの過酷さを体験。それでも「ペース配分とか方向修正する力が身に付いたと思う」と収穫もあった様子。今回は同校から1キロと3キロの部に6人が出場した。「県内でこういう大会があるのを知らなかった。もっと広まれば」と期待した。

中学生以上が対象の3キロの部。男子(写真右上)の30秒後に女子(同左上)がスタート。制限時間は2時間

3キロ男子の部の総合1位は盛岡一高、2位は花巻東高の選手。県内高校生がワンツーフィニッシュ

5キロ日本選手権トライアル女子の部には13人が出場し、全員がゴールした
トライアルの選手を抑え、5キロ一般男子の部で1位となった神奈川県の渡辺雅空さん(25)は同大会初参加。「水が思ったより冷たく、自分との闘いに負けないように頑張った。雨も降り続き、いつもより体を動かしにくかった」が、自分のペースで泳ぐことを意識。結果、トライアル1位の選手に5分以上の差をつけた。佐賀県ゆかりのトップアスリートを育成するチームに所属し、2年後の五輪出場を目指して日々、練習に励む。初めて訪れた釜石の海は「流れはあったが比較的泳ぎやすい。いい所なので、旅行とかでまた来たい」と再訪を望んだ。

トライアルの1位選手に5分以上の差をつけ、5キロトップでゴールした渡辺雅空さん(写真右)。記録は1時間01分01秒0
最も遠方から参加したのは長崎県の4人。高校2年時からトライアル女子に出場する福岡大3年の小串優佳さん(20)は4回目の出場で初の1位に輝いた。「寒かったですけど、昨年大会がなかったので、こんな形でも泳ぐことができて楽しかった」と笑顔。本命は競泳(400、800メートル自由形)だが、高校時代から国体のOWS長崎県代表に選ばれる実力者。大学生になり環境が充実、練習量も増えたことで、「体力がつき、OWSもさらに面白くなった」という。釜石の大会は夏休みの時期で参加しやすいのと、「景品がいっぱいもらえる!」と継続参加。「競泳を頑張りながら、OWSも楽しみの一つとして続けていきたい」と気負うことなく競技を続ける構え。

長崎県からトライアルに参加した中高大学生選手。小串優佳さん(右から2人目)は女子の部で念願の初優勝。記録は1時間06分32秒7
OWSは釜石で開催された2016年の国体から、5キロ競技が正式種目になった。国体のレガシー(遺産)を継承しようと県水泳連盟や釜石水泳協会が中心となって立ち上げたのが本大会。18年の第2回大会からは東北初の日本水泳連盟(日水連)認定大会となり、日本選手権トライアルの部や日水連OWS検定5級の集団泳も新設。初心者から五輪を目指す選手まで、さまざまな競技者に対応した大会で成長を続けてきた。20年の新型コロナ感染症、昨年の津波注意報、台風の影響による中止はあったが、日水連国内サーキットシリーズの大会の一つに位置付けられていることもあり、年々参加者が増加。昨年から、実行委が目標としてきた300人を上回るエントリーが実現している。
いわて国体開催時から大会運営に携わる、同実行委副会長で審判長の西原義勝さん(釜石水泳協会前会長)は「ここまで続けてこられたのは、参加してくれる選手の皆さんと運営に協力してくれる多くの関係者のおかげ」と感謝。300人規模の大会へ成長した要因として、知名度アップとスタッフや地域のおもてなし精神を挙げる。「全国からもっと優秀選手が集まれば大会も盛り上がる。併せて岩手県選手の育成も課題。県水泳連盟と連携しながら競技人口拡大、選手のレベルアップを図っていければ」と今後を見据えた。

大会の安全に力を発揮する釜石ライフセービングクラブ。今大会は低水温、気温の影響でリタイア者が続出。事故につながる前に水上バイクで岸まで運んだ。

寒さに震える選手にホットレモンや足湯のサービスも。競技を終えた後はリラックスしながら記念撮影や参加者交流を楽しんだ

釜石新聞NewS
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