迅速・的確に!油流出に備え、防除手順確認 関係機関、釜石港で訓練 連携深める


2026/01/29
釜石新聞NewS #防災・安全

油の流出を想定した訓練で防除の手法を確認する参加者

油の流出を想定した訓練で防除の手法を確認する参加者

 
 釜石港や周辺海域に関係する26機関でつくる岩手県沿岸排出油等防除協議会釜石地区部会(事務局・釜石海上保安部)は21日、釜石市大平町の県オイルターミナル(略称・IOT)専用桟橋周辺で油の海上流出事故に備えた対策訓練を行った。釜石海保や石油会社など同協議会の関係者ら35人が参加。早期解決に向けた関係機関の連携、被害を抑えるために必要な対応策を確認した。
 
 同協議会は、船舶事故などで油や有害液体物質が海に排出された際、関係機関が連携、協力を図って被害拡大を防止する。釜石地区部会ではコロナ禍で同訓練の実施を見送っていたが、2023年に必要な資機材の取り扱いを確認する形で再開した。
 
油流出事故に備えた対策訓練の開始式

油流出事故に備えた対策訓練の開始式

 
 開始式であいさつした釜石地区部会長の尾野村研吾・釜石海上保安部長によると、釜石港には年間1100隻ほどの大型船舶が出入港し、IOTには総容量約2万4000キロリットルの石油タンク(計8基)がある。各事業者の事故防止や防除体制の強化などにより、「ここ数年、油などの排水事故は発生していない」。
 
参加者を激励する釜石海保の尾野村研吾部長

参加者を激励する釜石海保の尾野村研吾部長

 
 全国的にも減少傾向だというが、「事故が発生した場合、地域生活や経済活動への悪影響は甚大」と指摘。「被害をいかに最小限に食い止めるかが重要。原因者の迅速かつ的確な防除と合わせ、関係者が協力して対処することも必要となる。訓練で日頃の取り組みを振り返り、練度の向上、相互連携の強化につなげてほしい」と激励した。
 
 訓練は、タンカーが岸壁に接触して船体に穴が開き、重油が海に漏れたとの想定。IOTの関係者は海上保安部に通報し、被害状況を調査。重油の広がりを防ぐため海上にオイルフェンスを張り、油吸着材を使って回収する手順を確かめた。
 
油に見立てた着色剤で海面が染まったのを確認、情報伝達を受け動き出す参加者

油に見立てた着色剤で海面が染まったのを確認、情報伝達を受け動き出す参加者

 
油の広がりを抑えるためオイルフェンスを張る作業船

油の広がりを抑えるためオイルフェンスを張る作業船

 
油防除訓練で回収作業地点に資機材を運び込む参加者

油防除訓練で回収作業地点に資機材を運び込む参加者

 
油吸着材を使用して油を回収する手順を確認した

油吸着材を使用して油を回収する手順を確認した

 
 釜石海保の巡視船「きたかみ」の搭載艇やゴムボートによる放水、航走攪拌(かくはん)も実施。万一、設置したオイルフェンスから漏れ出た場合の分散処理につながる方法として実演した。海に見立てた水槽に油を浮かべ、油吸着材による回収や油処理剤の散布による微細化の様子を見せる講習もあった。
 
船からの放水や高速走行で油の分散処理につなげる訓練

船からの放水や高速走行で油の分散処理につなげる訓練

 
重油を使って吸着材や処理剤の取り扱いを説明する講座

重油を使って吸着材や処理剤の取り扱いを説明する講座

 
 警察や消防、港湾関係者ら約20人が見学しており、釜石海保警備救難課の池田隆課長が訓練内容を解説した。自身が携わった事案として、2021年に八戸港沖で発生した外国船籍の貨物船の油流出事故を挙げ、「船を撤収するまでに5年かかった」と、ひとたび起これば長期間、その地域に甚大な被害をもたらす可能性があることを示唆。「いつ、どこで、こうした事故が起こるか分からない。この訓練での動き、感じ考えたことをそれぞれの機関で共有してほしい」と求めた。
 
 IOTの柏﨑理(おさむ)統括マネジャーによると、同桟橋にオイルタンカーが着岸する際、日常的にオイルフェンスの展張を行っている。訓練では普段の作業時と同様にスムーズにできたとした上で、「協議会の連携強化と防除のスキル向上について、参加者の真剣な姿勢によって十分に達成されたと認識。特に油吸着材の効果的な使用法についての実践は今後の貴重な財産となった」と手応えを実感。「皆さんが使うエネルギーを預かっていることから、安定供給と安全操業を続ける」と気を引き締めた。
 
訓練参加者の動きを見守り、総評したIOTの柏﨑理統括マネジャー

訓練参加者の動きを見守り、総評したIOTの柏﨑理統括マネジャー

 
 池田課長も「油防除の手法を会員にしっかりと伝えられ、有効な訓練となった」との認識。油流出の事故が起きた場合、「早い通報、流出範囲の特定など時間の速さが大事になる。協議会の会員が持つ資機材を集め、できるだけ早く現場に投入することも重要で、今回の訓練を生かし、連携して対応したい」と話した。

釜石新聞NewS

釜石新聞NewS

復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。

取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム

釜石のイチ押し商品

商品一覧へ

釜石の注目トピックス