県消防職員意見発表会 釜石大槌消防本部代表に前川柊哉さん(釜石署)を選出

意見発表した(右から)釜石消防署の佐藤優樹さん、前川柊哉さん、大槌消防署の大久保太陽さん
2月16日開催の第49回岩手県消防職員意見発表会(県消防長会主催)への出場者を決める釜石大槌地区行政事務組合消防本部(駒林博之消防長)の選考会が14日、釜石市鈴子町の釜石消防庁舎で開かれた。釜石、大槌両消防署に勤務する消防士3人が、業務に関わる課題や改善策を発表。審査により、釜石署の前川柊哉さん(28)が同消防本部の代表に選ばれた。
同発表会は若手消防職員が業務の諸課題解決へ意識を高め、さらなる研さん、業務改善につなげるのが目的。県内12消防本部から代表1人が出場して意見発表を行う。釜石大槌地区消防本部の本年度の代表選考会には、釜石消防署の佐藤優樹さん(25)、前川柊哉さん(28)、大槌消防署の大久保太陽さん(23)が出場。制限時間5分の中で、自らの経験を基にそれぞれの視点で意見を述べた。

県消防職員意見発表会に向けた釜石大槌地区行政事務組合消防本部の代表選考会=14日

「サイレンが届く社会へ」と題して発表した佐藤優樹さん(25)
佐藤さんは、救急出動など緊急車両の走行時に進路を譲ってもらえない場面が増えていることに危機感を表した。一般車両が進路を譲ることは道路交通法で定められている義務だが、社会意識の低下が見られるという。改善策としてシミュレーターなどでの緊急車両の接近体験、緊急走行中の動画を利用したSNSなどでの意識啓発、子どものころからの交通教育を提案。「サイレンが届かない社会は命の優先順位を失った社会。進路を譲る行為は人の命を救う行動である」と訴えた。

「消防分野におけるAI導入の現状と有用性」と題して発表した大久保太陽さん(23)
大久保さんは、消防分野へのAI導入の可能性について発表した。AI(人工知能)技術を利用した消防ロボットシステムの研究、広域監視型火災検知システムの導入など国内の動きを挙げ、消防へのAI導入が職員の負担軽減につながると期待。緊急通報の内容解析、出動指令の自動分類のほか、火災現場などで隊員の心身の状態をAIが評価することで、疲労や心的ストレスによる受傷事故を未然に防げるのではないかと考えた。「今後、重要になるのはテクノロジーと現場知識の融合」とし、安全で効率的な消防活動の未来を描いた。

「私だから言えること」と題して発表した前川柊哉さん(28)
同消防本部に採用される前、千葉市消防局で6年間勤務した経験を持つ前川さんは「私だから言えること」と題して発表した。都市部と地方の救急、火災件数や活動事案、課題の違いを示した上で、近年、顕著な広域化する大規模災害への対応には両方の経験が強みになると主張。都市部と地方の消防職員の交換留学(相互派遣)制度の運用を提案した。経験の幅が広がることで現場の対応力が格段に向上、ネットワークができることで緊急消防援助隊の派遣でも効力を発揮するなどの利点を挙げ、「実現すれば若手職員のレベル、モチベーションアップにもつながる」と今後の制度整備を望んだ。
市教委の髙橋勝教育長、駒林消防長ら4人が審査員を務め、▽論旨の明確性、説得力▽業務に対する問題意識、発展性▽発表態度、表現力―の3項目で採点した。その結果、前川さんが同消防本部の代表に選ばれた。審査長の髙橋教育長は講評で、「喫緊の課題への対応、大規模災害を見据えた提言、新たな技術の活用と三者三様の提案で、とてもいい発表だった。代表の前川さんには県大会でもいい成績を挙げられることを期待したい」と述べた。

3人の発表には審査員のほか、消防職員約20人が耳を傾けた

審査長の市教委、髙橋勝教育長(左)が講評。発表者3人の着目点をたたえ、今後につながるアドバイスも行った
代表に選ばれた前川さんは「都市部でも地方でも消防としてやることは変わらないが、出動件数、組織の風土、地理的環境などの違いがあり、目的達成までの過程も異なる。今回のような問題提起があれば、消防全体がさらに良くなるのでは」と期待。県大会に向け、「共に発表した2人の思いも背負って発表できれば。抑揚など伝え方をもう少し工夫し、本番に臨みたい」と意気込んだ。県消防職員意見発表会は2月16日午後1時から、盛岡市のアートホテル盛岡で開かれる。

釜石新聞NewS
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