受け継ごう!地域の食文化 新巻きザケづくりを体験 釜石小児童、おいしさ心待ち


2025/12/15
釜石新聞NewS #地域

さばいて水洗いしたサケに塩を擦り込む釜石小の児童

さばいて水洗いしたサケに塩を擦り込む釜石小の児童

 
 釜石小(五安城正敏校長、児童66人)の5、6年生約20人が4日、釜石市平田の岩手県水産技術センターで新巻きザケ作りを体験した。ほとんどの児童が魚をさばくのは初めてだったが、同センター利用加工部の宮田小百合部長らから手ほどきを受け楽しそうに作業。食したことのある子も少なく、味わいを想像しながら地域の食文化に触れた。
 
 新巻きザケは、えらや内臓を取り除いて塩漬けにし、寒風にさらして熟成させる北国の伝統的な保存食。釜石の隣町「大槌町が発祥と言われている」と宮田部長が説明した。この日、用意されたのは北海道産のサケ。使われるのは雄が多いことや、サケの種類や特徴についても解説を加えた。
 
魚をさばく講師の手元を見つめる子どもたち

魚をさばく講師の手元を見つめる子どもたち

 
「わ~」「おー」「へ~」とさまざまな表情を見せる児童

「わ~」「おー」「へ~」とさまざまな表情を見せる児童

 
 宮田部長が魚のさばき方を実演した後、いよいよ児童が挑戦。サケを1本ずつ選び、包丁を手にえら、内臓を丁寧に取り除いた。下処理を終えたら、水で身をしっかり洗浄。保存食として役目を発揮してもらえるよう、隅々まで丁寧に塩を擦り込んだ。
 
 「大きいのがいいよね」。サケを選んで、重さを体感

「大きいのがいいよね」。サケを選んで、重さを体感

 
講師に教わりながら魚をさばく子を友達が見守る

講師に教わりながら魚をさばく子を友達が見守る

 
児童はそれぞれ魚をさばき、水で洗う作業に取り組んだ

児童はそれぞれ魚をさばき、水で洗う作業に取り組んだ

 
サケに塩をたっぷり擦り込む児童。作業を終え「イエーイ」

サケに塩をたっぷり擦り込む児童。作業を終え「イエーイ」

 
 作業には岩手大学釜石キャンパスで学ぶ農学部食料生産環境学科水産システム学コースの学生、特任専門職員らが協力。「この三角形がサケの心臓だよ」などと知識も伝え、児童らはサケの生態に関心を深めた。
 
子どもらの活動を岩手大釜石キャンパスの学生がサポート

子どもらの活動を岩手大釜石キャンパスの学生がサポート

 
 6年の金澤花怜さんは「魚をさばくのは初めて。えらを取るのが難しかった。力が必要で大変だったけど楽しかった。(新巻きザケを)食べたことがないけど、おいしくできたらいい」と、仕上がりを心待ちにした。
 
 5年生は今年度、総合的な学習の時間を活用し、「鉄のまち」「ラグビーのまち」など地域の魅力に理解を深める。今回の新巻ザケ作りは「魚のまち」に関する活動。秋サケの不漁について学んだ後の体験に、佐々木恵太さんは「昔からの伝統を知ることができた。スーパーで売られているのを見たことがあったけど、一から作ると大変だと思った。自分達が食べるものを作ることができてよかった」と喜んだ。
 
地域の食文化に触れられる新巻きザケ作り体験

地域の食文化に触れられる新巻きザケ作り体験

 
 宮田部長は「新巻きザケは大槌発祥の伝統保存食。このおいしくなる技法を子どもたちに受け継いでもらいたい。そして地域にサケが戻ってきたら」と願いを込める。児童の学習をサポートしてきた岩大釜石キャンパス特任専門職員の齋藤孝信さんも「釜石近海の環境が変わっていて、サケが採れなくなった。今では貴重品。おいしく味わってほしい」と望んだ。
 
塩抜きや天日干しは学生が担当。釜石小児童が作ったサケも仲間入り

塩抜きや天日干しは学生が担当。釜石小児童が作ったサケも仲間入り

 
 この後、さらに塩漬けし5日後に水洗いして塩抜きをする。それから1週間ほど寒風にさらして乾かすと出来上がり。この作業は釜石キャンパスの学生らが担当する。完成したものは終業式までに釜石小に届けられ、児童が各家庭に持ち帰るという。

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