体験でもっと身近に!消火・救助活動 釜石市少年消防クラブ 学び高める防災意識

釜石消防署員と一緒に放水を体験する小学生
小中学生の防災意識を育てようと、釜石市少年消防クラブ(会長・小林太釜石消防署長、10校)の消防体験学習が7月26日、同市鈴子町の釜石消防署で開かれた。5回目の今回は児童15人が参加。消火や救助活動を体験しながら身の回りの防災や有事の際の対応について理解を深めた。
同クラブは、防火・防災思想の普及を図ることを目的に全国各地で結成されている防災組織。釜石では火災予防や防災に関する知識、身を守る技術の習得と合わせ、将来の地域防災の担い手の育成を狙いに、2017年に取り組みが始まった。
釜石署管内の学校単位で組織され、発足時は6校(小学校5校、中学校1校)だったが、18年に4校(全て小学校)が加わった。25年4月1日現在、計10校の児童生徒約1300人が所属。火災予防ポスターの作成、着衣泳など水の事故防止を学ぶ水上安全訓練、救急救命講習など消防署や関係機関の力を借り、各校で取り組んでいる。

釜石消防署で行われた体験学習の参加者。ビシッと敬礼
この日の消防士体験のスタートは格好から。実際に火災現場で装着する重い防火服、特殊ヘルメットを身に着けたり、敬礼を教わったりした。空気呼吸器の装着体験も。消防署員が手を離すと、子どもたちはよろめき、10キロほどの重さを肩や背に感じていた。

防火服を着て空気呼吸器を背負って重さを体感
消防車両や釜石署の訓練棟を利用し初期消火、煙体験、はしご車の試乗などを実施。ヘルメット着用した小学生を消防士、救急救命士ら署員約10人がサポートした。
ポンプ車による消火体験では、消防ホースでの放水に挑戦。署員に支えられながら放水ノズルを操り、勢いよく水が飛び出すと子どもたちは笑顔を見せた。山火事の時などに使用する背負い式水のう「ジェットシューター」を使った放水も体験。今春に大船渡市で発生した大規模山林火災の現場でも活躍したとの説明を真剣な表情で聞いた。

消火体験はホースを伸ばし、ノズルを装着したり準備が必要

消防署員のサポートを受けながら放水を体験する子どもたち

背負い式の消火水のう「ジェットシューター」の操作体験
高さが35メートルまで伸びるはしご車は、市内のほとんどの建物の消火、救助活動に対応できる。児童らは先端のバスケットに署員と2人ずつ乗り込み、高さ15メートルまで上昇。余裕の子どもたちは地上で見守る友達や家族に自慢げに手を振った。

消火や救助の現場で活躍するはしご車の搭乗体験

はしご車の試乗や写真撮影を楽しむ参加者
釜石署に配備されている救急車3台のうち2台に電動ストレッチャーが装備されている。指1本によるボタン操作で、自動での上げ下ろしができる仕様。男性署員が3人がかりで対応していたようなケースも「女性署員でも持ち上げられる」という。2年連続で参加した女子児童は消防士を将来の仕事として視野に入れていて、黙々と体験をこなしているようだったが、感想を聞くと「楽しい」とはにかみながらうなずいた。

救急車の装備を見たり消防車両に乗って走行体験もした

訓練棟での煙体験。しゃがんで煙の濃さを確かめた
参加者の中には家族が釜石署で働いているという子も。小学1年の佐々木晴太郎さん(6)もそんな一人で、「お父さんの仕事を見たかった」。一緒に放水を体験したりし、「(お父さんは)かっこよかった。大変そうだと思ったけど楽しかった」とうれしそうに話した。
釜石署予防係の佐藤直樹係長は「体験を通じて消防の仕事や防災について興味を持ってほしい。クラブでの経験を生かして将来、一緒に働いてもらえたら」と、子どもたちに呼びかけた。

少年消防クラブの児童が作成した防火ポスター
同クラブの取り組みとして防火ポスターコンクールの参加があり、市内の児童が寄せた約100点の作品をイオンタウン釜石(同市港町)で展示している。夏は、花火やバーベキューなど屋外で火を取り扱う機会が多くなることから、市内では夏季火災予防特別警戒を実施中。その期間に合わせ8月20日まで作品を見ることができる。

釜石新聞NewS
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