釜石港にもサンマ!第1船、秋味運ぶ 出足「まずまず」 去年上回る量も…厳しさ続く
釜石港に今シーズン初水揚げされたサンマ
釜石市の新浜町魚市場に8月29日朝、今シーズン初となるサンマ船1隻が入港し、約26トンを水揚げした。昨年の初船と比べると1カ月以上早い到着で、量も約4倍と上向きに。重さは100グラム程度が中心で、「まずまず」「サイズ感がまだ…」と市場の反応はさまざまだったが、季節感を運ぶ味覚の到来に浜は活気づいた。
新浜町魚市場に接岸する第68善龍丸を関係者が見守った
水揚げしたのは、富山県魚津市の大型サンマ船「第68善龍丸」(199トン、大高真澄漁労長、17人乗り組み)。北海道東方の公海上で操業し、2昼夜をかけて釜石まで運んできた。重さは小ぶりのものが多いが、140グラムのものも交じり、価格は1キロ当たり800~1200円で取引された。
この日は小野共市長らも駆け付け、飲み物を差し入れて船を歓迎。大高漁労長(44)は「走りとしてはまずまず。大きさも去年に比べればいい」と話しつつ、今後の漁については「魚次第」ともどかしい気持ちもこぼす。漁期は12月まで。「できるだけ長く操業したい。魚がいてくれれば」と望みを持つ。
乗組員たちの連係プレー。船から網で水揚げ
大高真澄漁労長(左)に飲料水を手渡す小野共市長
大部分を買い取った新浜町の水産加工会社「平庄」の平野隆司社長(48)は「昨年に比べて量はいいが、サイズ感はまだ小さい。今後、多少大きくなるだろうが、これ(小ぶりな魚)が主流になるかもしれない」と独自の見解。「漁場が日本に近い」とも聞いていて、早い時期の水揚げに「期待感はある」とうなずいた。
漢字では「秋刀魚」と表記されるサンマ。その字のごとく“秋の訪れ”を感じさせるかと思いきや、全国的な暑さは釜石でも残っていて、水揚げ作業を繰り返す乗組員、仕分け作業に精を出す市場や水産会社の関係者は汗だく。そんな“熱気”を加えた秋味は関東方面に鮮魚出荷された。一部は釜石市内のスーパーや魚屋の店頭にも。平野社長も「旬の魚をご賞味ください」と促す。
網で釣り上げ、魚市場に運ぶ作業を何度も繰り返す
釜石に初物をお届け。網を持つ手にも力が入る
重さなどで分別する関係者のかけ声で浜が活気づく
釜石港の2023年のサンマ水揚げ量は339トン(取引額約1億3000万円)。22年と比べると量は67%増(同4%増)となったものの、不漁が顕著になる前の18年の13%程度にとどまり、厳しい状況は続く。
釜石新聞NewS
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