書道で脳活 いきいき、ひらめき…生み出す キーワードは「発想の転換」 釜石で体験講座


2024/05/01
釜石新聞NewS #文化・教育

釜石で開かれた「脳活書道」体験講座の参加者ら

釜石で開かれた「脳活書道」体験講座の参加者ら

 
 文字を書くこと、創ることを楽しむ「脳活書道」の体験講座が4月28日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。講師は、宮城県仙台市在住の書家で「釜石応援ふるさと大使」の支部蘭蹊(はせべらんけい=本名・一郎)さん(73)。トメ、ハネ、ハライといったルールを取り払い、書き順にもこだわらず、伸び伸び自由に文字を書いていく、ひと味違った書の楽しみ方を紹介した。
 
 脳活書道?…聞きなれない言葉だが、支部さんが主宰する仙台の教室ではすでに実践する試みだという。楽しみながら脳の認知機能低下を予防するのが“脳活”。特に、何かを創造したり、ひらめきが生まれたりする時に働くが、普段あまり使われていないともいわれる「右脳」を活性化させ、生き生きとした生活につなげてもらおうと取り入れている。「ものの考え方が変わった」などと参加する生徒らの反応は上々。高齢化が進む社会で「より元気に、楽しく過ごしてもらうように」と激励を込め、同じ手法を古里に持ち込んだ。
 
脳活書道のポイントなどを説明する支部蘭蹊さん(右)

脳活書道のポイントなどを説明する支部蘭蹊さん(右)

 
 キーワードは「発想の転換」。支部さんいわく「右脳への切り替えスイッチを入れること」で、いくつかのポイントがある。1つ目は文字の書き順を意識的に変えてみることで、「第1画目から書かない」のが前提。例えば「山」という字は、本来は2画目として書く「L」のような縦横の線から始め、3画目となるはずの右側の縦線を書いた後に、1画目だったはずの縦線をまん中に引いて仕上げるといった感じ。書き方は他に2パターンある。さらに、逆転のルールとして▽下→上▽右→左▽縦画から先に書く―という設定も。実際に書いてみると、整っているとは言えないが、個性的で味のある文字になっていた。
 
絵を描くような筆運びを習得中。思いのままに手を動かす

絵を描くような筆運びを習得中。思いのままに手を動かす

 
 書き順を変えて書いて「バラバラ」に仕上がった文字を、普通の書き順に戻してなぞるのが2つ目のポイント。筆の穂先を使った“ひと筆書き”で数回なぞって、柔らかい筆遣いのコツをつかんでもらう。他にも、▽縦長、横長に書いてみたり形を変化させる▽書くリズム、呼吸をつかむ▽立てたり寝かせたり筆先を変え、360度使う-といったものもあった。
 
支部さん(左)の指導を受けながら書道を体験する参加者

支部さん(左)の指導を受けながら書道を体験する参加者

 
 体験講座に参加した大只越町の芳賀憲一さん(76)は「書道は難しいと先入観があり、できるか不安だった。逆から書くのが面白く、入り込めた」と充実した表情。写真が趣味で、プリントしたものに支部さんが書をしたためてくれたことがあったというが、「今度は自分で気持ちを書き込みたい」とやる気になった。「筆を持つのは久しぶり。楽しかった」という声も聞かれた。
 
 硬い、敷居が高いとのイメージがあるのか書道人口は減少傾向で、最近はパソコンなどで文章を仕上げることから文字を書く回数も減っていると、支部さんは残念がる。ただ、人には言葉の文化があり、「素直に書いたら面白い世界がある。脳を生き生きさせるイメージで書道に親しんでほしい」と考えてきた。
 
書き順にこだわらない「発想の転換」を実演

書き順にこだわらない「発想の転換」を実演

 
自由で味わい深い文字を躍らせる支部さん(右)

自由で味わい深い文字を躍らせる支部さん(右)

 
 支部さんは「戸惑いもあったと思うが、一つの世界に決めるのではなく、いろいろな切り口があることに気づいてもらえたら」と期待する。文字の形や意味を知る基本(知力)を確認しながら、逆転の発想(ひらめき)で応用(創造)し、つづられた言葉は「感性がにじむ普段着の文字」と力説。脳活書道で「自分にしか書けない線を楽しみましょう」と呼びかけた。
 
 体験講座(参加費あり)は、7月まで月1回実施する予定。次回は5月26日(日)。会場は同じくTETTOで、午前10時半~2時間程度。筆や墨、半紙など道具は準備しており、手ぶらでの参加にも対応する。

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