ふれあい交流「唐丹の日」 住民活動、見せ合い連帯 安寧願う花火も 地域力を発信・釜石


2023/10/04
釜石新聞NewS #地域

踊りの輪をつくって交流を楽しむ唐丹町の住民ら

踊りの輪をつくって交流を楽しむ唐丹町の住民ら

  
 釜石市唐丹町の住民交流と地域安全を考える「第18回唐丹の日」は1日、唐丹小・中体育館で開かれた。唐丹公民館まつりと合わせて実施し、文化、スポーツの自主活動グループが作品展示や活動紹介を掲示。中学生によるソーラン、釜石警察署の協力で交通安全講話、市内外の芸能団体の演舞もあり、集った約150人は地域の動きを感じながら親交を深めた。8月から延期されていた花火の打ち上げを前日の9月30日に決行。あいにくの雨模様を突いて夜空を彩った約500発が地域に明るさをもたらした。
 
 唐丹の日は10月2日。「とうに」との語呂合わせで設けられ、住民交流イベントを通じて地域の安全意識を高める日となっている。新型コロナウイルス感染症の影響で開催を控えていて、今回は4年ぶり。唐丹駐在所連絡協議会副会長の佐々木啓二さん(79)は「短い時間だが、存分に楽しんでほしい」とあいさつした。
 
 唐丹駐在所の高田敏宏所長は町内の交通事故発生状況などを説明。事故が少ない地域だと強調し、「交通安全活動に携わる人たちの協力のおかげ。これからも安全運転に心がけを」と呼びかけた。
 
地域の催しを力強く盛り上げた「桜舞太鼓」

地域の催しを力強く盛り上げた「桜舞太鼓」

 
 ステージ発表は、地元の創作和太鼓集団「鼓舞桜会(こぶおうかい)」による郷土芸能「桜舞太鼓(おうぶだいこ)」で開幕。「明るい気持ちになってもらえたら」と迫力ある演奏で活気づけた。中学生有志9人は若さあふれる「唐中ソーラン」を披露。県内で活躍する郷土民謡の歌い手や三味線奏者、踊り手らによる演舞もあった。
 
学校で取り組むソーランを披露する唐丹中生有志

学校で取り組むソーランを披露する唐丹中生有志

 
 山岸さんさ踊り保存会(高野文則会長)の公演では、来演した10人が「盛岡伝統さんさ」の一つで400年の歴史を重ねる多彩な演目を披露。幸せを呼ぶという意味のかけ声「幸呼来(さっこら)」に合わせた踊りを住民らが体験する場面もあった。
 
 フィナーレは、100歳体操を楽しむ3団体による「さくら音頭」「ぼけない音頭」の踊り。さんさの踊り手たちも加わって輪をつくり、にぎやかに触れ合いを楽しんだ。
 
「山岸さんさ」の手振りを見よう見まねで体験

「山岸さんさ」の手振りを見よう見まねで体験

 
住民らの輪踊りにさんさの踊り手も加わり楽しんだ

住民らの輪踊りにさんさの踊り手も加わり楽しんだ

 
 作品展示では手芸各種の愛好グループの近作がずらり。洋裁リフォームクラブ(7人)は着物や洋服などの端切れをアレンジしたタペストリーやエプロンなど実用性も兼ね備えた作品を並べた。指導する鈴木富美子さん(81)、会員の磯崎彬(よしこ)さん(86)は「みんな頑張っている。見てもらうことで張り合いになる。ほかの会の活動も知ることができていい」と声をそろえた。
 
作品展示には細やかな針仕事の成果が並んだ

作品展示には細やかな針仕事の成果が並んだ

 
写真を撮る際のかけ声は「と~に~」

写真を撮る際のかけ声は「と~に~」

 

雨空彩る「ゆめあかり」

 
小白浜漁港で打ち上げられた花火

小白浜漁港で打ち上げられた花火

 
 前夜祭的な催しとなったのが花火の打ち上げ。東日本大震災以降、毎年夏に続けるイベント「唐丹ゆめあかり」(同実行委主催)の一環だが、大雨などの影響でお盆の時期から延期されていた。
 
 今回も雨降りとなったが、負けじと打ち上げ。小白浜漁港の岸壁で夜空を見上げ、「きれい」と笑顔を見せたのは唐丹小3年の佐々木心結(みゆ)さん。母の彩雅(さやか)さんも「季節は少しずれたけど、楽しみがあって得した気分。気持ちを晴れやかにするご褒美」と目を細めた。
 
夜空に咲いた花を子どもも大人も喜んだ

夜空に咲いた花を子どもも大人も喜んだ

 
 ゆめあかりは震災犠牲者の鎮魂や地域の安寧を願って継続。近年は地域住民らの協賛金で支えられる。唐丹地域会議長も務める佐々木啓二さんは「快く協力してくれる住民のおかげ。取り組みには若手も加わっていて、続けられるよう一緒に知恵を出したい」と望んだ。
 

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