踊りで地域に元気を 釜石の柳家細川流舞踊 10月の公演に向け、稽古に熱


2023/09/22
釜石新聞NewS #文化・教育

発表会の会場となる舞台で練習に励む出演者

発表会の会場となる舞台で練習に励む出演者

  
 釜石市内を拠点に活動する「柳家細川流舞踊」の発表会・福祉基金チャリティーショーは10月8日に大町の市民ホールTETTO(ホールA)で開かれる。踊り手約20人のうち、26歳から81歳までの17人が出演予定で、本番に向けて向定内集会所(定内町)で稽古に励んでいる。残り1カ月となった9月9日には同ホールを貸し切って舞台練習。会場の雰囲気や舞台上での立ち位置などを確かめながら、「喜んでもらえる踊りを」と気持ちを高める。
  
 チャリティーショーと銘打つ発表会は5回目。これまでは東日本大震災の復興支援を目的にしてきたが、今回はまちづくりが進んだこれから先の地域により必要となる「福祉に役立つために」と思いを込める。
  
 会員は、演歌や歌謡曲などに振り付けをした新舞踊を中心に28プログラムに出演する。家元の細川艶柳華(本名・伊東恵子)さん(74)が選曲、振り付け、舞台構成、衣装選び、着付け、化粧など、ほぼすべてを担当し大忙し。会員らは家元の指導を受けながら曲に合わせた動き、足と指先の角度、ポーズなど細かい技術を磨いている。
  
「芸事が好き」と熱中する細川恵ノ丞さん

「芸事が好き」と熱中する細川恵ノ丞さん

  
 最年少で名取、そして今回の出演者中唯一の男性でもある細川恵ノ丞(同・千葉陽斗)さん(26)は3つの演目に登場する。「踊りの文化を引き継ぐ」若手として家元や仲間からの期待も多いが、そこにあるのは「多彩な顔」。この公演でもあでやかな女形を披露した後、一変してりりしい男踊りを見せるべく、稽古に取り組む。
  
 大槌町出身の恵ノ丞さんが、本格的に踊りを始めたのは社会人になってから。細川流に入門する母や祖母の影響もあり幼少期から踊りは身近なもので、「いつかは」と思っていた。仕事の傍ら稽古に励む生活は8年目。舞踊の魅力は「稽古の積み重ねで、その人にしか出せないものを見いだしたり、役になりきって感動を与えられる」と熱を込める。目指すは「また見たい!」と思ってもらえる踊り手。「まだまだ未熟。それでも自分にしか出せない色気や雰囲気を楽しんでもらえたら」と本番に向け集中する。
  
恵ノ丞さんの「多彩な顔」は本番のお楽しみ

恵ノ丞さんの「多彩な顔」は本番のお楽しみ

  
芸歴の長い踊り手たちも「負けじ」と役に入り込む

芸歴の長い踊り手たちも「負けじ」と役に入り込む

  
 年長者も負けてはいない。登場する2演目で男役を務める三田節子さん(81)は最高齢の踊り手。「歳をとると踊りながらふらつくこともあるけど…我慢」と言いながらも背筋はシャンと伸びていて、「2曲とも人生を歌っている。歌には物語があり、主人公になったつもりで感情を込め、かっこいい踊りを見せたい」と力を込める。昨年3月に仲間入りした初心者の工藤和子さん(68)は、初めての1人舞台に挑戦。「1曲入魂。頑張っていれば、いいことがあると信じる。喜んでもらえる踊りを」と意気込む。
  
「にぎやかに威勢よく」と地域を盛り上げる演目も

「にぎやかに威勢よく」と地域を盛り上げる演目も

  
細かな点を確認し助言する家元の細川艶柳華さん(中)

細かな点を確認し助言する家元の細川艶柳華さん(中)

  
 同団体は、細川流舞踊を立ち上げて30年以上率いた細川艶奨柳家元(故人)の一番弟子だった艶柳華さんが先代の遺志を引き継ぎ、改名・再出発してから10年を迎えた。「柳家」に込めたのは、「柳のようにしなやかに折れることなく続けていく」という意志。艶柳華さんは「目的があれば、踊り手たちの張り合いになる。老いに負けず、頑張りましょう」とはっぱをかける。
  
 新型コロナウイルスの影響で2年前の公演は入場を制限したが、今回は設けない方針。発表会開催時に企業などから集めていた協賛金はコロナや景気の動向を考慮し控えることにした。収益の一部を福祉事業に寄付する予定で、艶柳華さんは「みんなで力を合わせ、地域に元気をお届けします。多くの方に来場し、楽しんでもらいたい」と呼びかける。
   
多くの来場を呼びかける柳家細川流舞踊の踊り手たち

多くの来場を呼びかける柳家細川流舞踊の踊り手たち

   
 料金は前売りが1500円、当日券2000円で、同ホールと市社会福祉協議会で発売中。公演は午前11時半開場、12時半開演。釜石出身の民謡歌手佐野よりこさんが司会を務め、合間には歌声も披露する予定。詳しくは同ホールイベント情報で確認を。

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