障害者の働く場確保と生活支援を一体で 釜石・上中島町に福祉複合施設 翔友、来春開所へ


2023/05/23
釜石新聞NewS #福祉

福祉複合施設の地鎮祭でくわ入れする長谷川忠久理事長(中)

福祉複合施設の地鎮祭でくわ入れする長谷川忠久理事長(中)

 
 釜石市上中島町福祉複合施設(仮称)の新築工事地鎮祭は16日、上中島町4丁目地内の建設地で行われた。障害者の就労継続支援事業所(B型)と生活介護事業所(通所型)を一体的に整備するもので、社会福祉法人翔友(長谷川忠久理事長)が運営する。千鳥町の障害者就労施設「釜石市福祉作業所」が日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の津波想定で浸水域に入ったことを受けた対応で、避難に手助けが必要な要支援者を受け入れる予定。2023年度中の完成、24年4月からの利用開始を目指す。
 
 同法人の関係団体、NPO法人釜石市身体障害者協議会(長谷川忠久理事長)が運営する市福祉作業所は甲子川沿いにあり、津波新想定で5~10メートルの浸水の可能性があるとされる。緊急避難場所の八雲神社は2キロほど離れているうえ、▽避難経路の歩道は狭かったり障害物があったり車いす利用者らは移動しにくい▽重度の障害がある利用者の避難は時間を要する―といった課題があり、早期の機能移転が必要だった。
 
 また、障害のある人や介護者の高齢化によって生活介護のニーズが増しているのに加え、新型コロナウイルス禍で日中に自由な活動をしながら過ごせる場所が少ないことも問題として顕著化。施設の利用者、職員の安全を確保しつつ、障害者の雇用と生活の安定を図るため、複合施設の整備を決めた。
 
釜石市身体障害者福祉センター(中央)に隣接する新施設の建設地 

釜石市身体障害者福祉センター(中央)に隣接する新施設の建設地

 
 新施設は、市身体障害者福祉センターに隣接する市有地に整備する。鉄骨造り平屋建て、延べ床面積約655平方メートル。作業室や休憩室、多目的ホール、リフト付きの入浴施設などを設ける。事業費は約2億5500万円。市営住宅や児童館が立地していたが、建物の老朽化で解体され更地にした敷地面積約2600平方メートルの用地を市が無償貸与する。
   
 就労継続事業は市内企業からの受託作業(部品組み立て、食品の表示ラベル貼りなど)をしながら個々の能力、知識向上に必要な訓練も行う。生活介護事業では日常生活の支援(食事、入浴など)や自由な活動(作品づくり、レクリエーションなど)をして過ごせる場を提供する。ともに定員は各25人。
 
地鎮祭で関係者が玉串をささげ、工事の無事を祈った  

地鎮祭で関係者が玉串をささげ、工事の無事を祈った

  
 施工者の山長建設(大只越町)が主催した地鎮祭には、関係者約30人が出席。くわ入れなどの神事を行った後、建築主の長谷川理事長(81)が「障害者であろうとなかろうと、共に地域の中で暮らしていくというインクルージョンを進展させていかなければ。障害者が頑張って生きていけるような地域をつくっていきたい」とあいさつした。
 
 現在、福祉作業所を利用するのは知的・身体・精神の障害者計39人。災害時に車で避難することも条件付きで可能とされているが、地域の避難訓練では乗車に時間がかかるなどスムーズに進められなかった。自力歩行での避難が原則ということもあり、新施設には足の不自由な人を中心に半数ほどが移る見込みだという。

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