願うは「コロナの早期収束」 先行きに不安抱え2022年がスタート


2022/01/07
釜石新聞NewS #地域

 「寅年」の2022年が幕開け。釜石虎舞も躍動

「寅年」の2022年が幕開け。釜石虎舞も躍動

 

 新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、始まった2022年―。今季最強寒波の襲来で、釜石市内も大みそかから元日にかけて厳しい冷え込みとなったが、コロナ感染が抑えられたこともあり、各地の初詣の人出は昨年より増加。「寅年」の本年に、郷土芸能「虎舞」が盛んな同市の市民からは御利益を期待する声が聞かれた。収束が見えぬまま3年目に入るコロナとの戦い。初詣客は神仏に手を合わせ、元の生活に戻れるよう一層強く願った。

 

鵜住神社の年越し 地元青年会の虎舞奉納で華やかに新年幕開け

 

新年初の虎舞を奉納する鵜住居青年会=元日午前0時15分、鵜住神社

新年初の虎舞を奉納する鵜住居青年会=元日午前0時15分、鵜住神社

 

 鵜住居町の鵜住神社(花輪宗嗣宮司)には年越しに合わせ、地元の虎舞伝承団体「鵜住居青年会」のメンバー約30人が集まり、新年初の舞を奉納した。昨年はコロナ感染拡大防止を考慮し、中止したため2年ぶりの演舞。境内などで手踊りを含む5演目を披露し、初詣客に祝いムードと明日への活力を届けた。

 

 昨年は目に見えて少なかった初詣客の数も今年は復活。虎舞奉納の後、地元住民や帰省客らが順に参拝し、昨年の加護に感謝しながら新年の無事を祈った。兄弟ら5人で訪れた舘鼻鉄心君(釜石東中2年)は「マスク生活が続き息苦しかった」と昨年を振り返り、「今年はプラス指向で何事も楽しくできるようにしたい。受験勉強も頑張る」と前を向いた。

 

「良い年に」と願いを込める参拝客。年越しの人出は昨年を上回った

「良い年に」と願いを込める参拝客。年越しの人出は昨年を上回った 

 

寅年のスタートを手踊りで祝う青年会メンバー

寅年のスタートを手踊りで祝う青年会メンバー

 

 コロナの影響で虎舞を披露する機会が減ってしまった同青年会の小原正人会長(34)は“寅年”への期待を込め、「ウイルスに負けないという意味でもたくさん踊って、見てくれた人たちが健康に過ごせるような1年になれば」と望んだ。

 

 東日本大震災で甚大な被害を受けた鵜住居町。10年を経て自宅再建などまちの復興は進んだが、「心の復興はまだまだ」との声も聞かれる。心の復興には人的交流が不可欠。花輪宮司は「何の心配もなく人々が自由に行き来できるようになり、にぎわいを取り戻せれば」とコロナの早期収束を願う。

 

「初日の出」に希望託し、新年の誓い新たに

 

両石漁港から臨む初日の出。神々しい陽光が湾内に差し込む=午前7時13分

両石漁港から臨む初日の出。神々しい陽光が湾内に差し込む=午前7時13分

 

 元日朝、釜石市内の海岸部には「初日の出」を拝もうという人たちが多数訪れた。釜石の日の出時刻は午前6時52分ごろ。両石町の漁港には海から昇る朝日を目当てに人が集まり、今か今かと日の出を待った。

 

 水平線上にはあいにく雲がかかり、太陽が顔を出したのは午前7時10分すぎ。まばゆい光が湾内に差し込むと、美しい光景を写真や動画に収め、手を合わせて祈りを込める姿が見られた。

 

 地元両石町の久保秀悦さん(62)は「今年1年、頑張ろうという気持ちになる」とすがすがしい表情。震災で被災し、平田の仮設住宅に暮らしていた時も毎年欠かさず足を運び、初日に手を合わせてきた。2018年に自宅を再建。民泊も受け入れ、19年のラグビーワールドカップ(W杯)の際には、海外から訪れる観戦客をもてなした。「あの時の楽しさが忘れられない。早くコロナが収まり、多くのお客様を迎えられるようになれば」と思いを語った。

 

市内最大の初詣スポット釜石大観音 元日のにぎわい再び

 

初詣客でにぎわう釜石大観音=元日午前10時半

初詣客でにぎわう釜石大観音=元日午前10時半

 

 大平町の釜石大観音は大みそか午後10時に開館。年越しの午前0時前後、初日の出を拝める元日午前7時前後を中心に多くの参拝客が訪れ、日中も人の流れが続いた。「日の出の時間帯の人出は、昨年と比べ格段に増えている。ありがたい」と佐々木富也部長代理。コロナ禍で迎える2回目の正月に、低迷する拝観者数回復への希望をつないだ。

 

 新型コロナワクチンの接種、PCR検査などの体制整備が進んだ今年は、初詣客の出足も昨年より好調。久しぶりに帰省した人たちが実家の家族と連れ立って、参拝に訪れる姿も見られた。

 

観音像の入り口で新年初のお参り。幸多き年に

観音像の入り口で新年初のお参り。幸多き年に

 

 千葉県の中野一寿さん(40)一家は、妻愛美さん(37)の山田町の実家に帰省。長女瑠梛ちゃん(4)と「元気でいられますように」と観音様に手を合わせ、「今年はたくさんお出かけしたいね。昨年は(コロナで)どこにも行けなかったから」と顔を見合わせた。愛美さんの母川﨑フジ子さん(70)は2年ぶりとなる娘家族との初詣に笑顔を広げ、「家族みんなの健康と孫の高校受験合格を祈願した」。宮古市で被災、山田町に自宅を再建して暮らすフジ子さんは「震災はもう嫌。全国でいろいろな災害もあり心配」と行く末を案じた。

 

青空に映える観音像。正月3が日は厳しい寒さながらおおむね好天に恵まれた

青空に映える観音像。正月3が日は厳しい寒さながらおおむね好天に恵まれた

 

 釜石大観音はコロナの影響で、昨年1年間も金・土・日曜のみの開館を継続。佐々木部長代理は「団体観光客の予約も全てキャンセルとなり、非常に厳しい。雇用調整助成金だけではやっていけない。宗教法人にも何らかの支援策を」と窮状を訴える。願うはコロナの1日も早い収束。「何とか事業を安定させたい」と意を強くする。

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