県、釜石に被災者支援センターを開設 多様化する被災者の課題に対応
被災者に寄り添う伴走型支援の継続に向け意欲を高めるスタッフら
県は4月27日、東日本大震災の被災者の生活再建を支援するため、釜石市大町に「いわて被災者支援センター」を開所した。委託を受けた認定NPO法人「インクルいわて」(盛岡市)が運営。多様化、複雑化した課題を抱える被災者らの相談に応じ、専門家と連携しながら支援制度につなげる。
県は震災直後から、沿岸と内陸に被災者相談支援センターやいわて内陸避難者支援センターを設置し支援を行ってきた。震災から10年が経過し、被災者のほとんどは自宅再建や災害公営住宅入居など恒久住宅に移行。新たな生活をスタートさせている一方で、家賃の支払いやローンの返済など経済的不安、新たなコミュニティーや生活環境の変化によるストレス、家族関係など多様な課題を抱え、生活が安定していない家庭も少なくないという。
こうした背景を受け、県では被災者個々の状況に応じた生活再建支援を継続させる必要性を認識。生活設計に関する相談や公的支援制度の情報提供など柔軟で、きめ細やかな対応を行うため、これまでの支援体制を沿岸部に一本化することにした。
センターでは生活設計に関する相談対応や公的支援制度の情報提供も行う
いわて被災者支援センターは、ホテルルートイン釜石などが建ち並ぶ県道釜石港線のひとつ裏通りにある、赤と黒のペイントが目を引くビルの1階に開所。そばに郵便局や復興住宅などがある。広さ約100平方メートルのフロアに、事務室や個別相談ブース、ミーティングルームなどを設けた。
主な業務は、▽被災者支援(弁護士やファイナンシャルプランナーら専門家、自治体や社会福祉協議会など関係機関と連携して被災者個々の支援計画作成。戸別訪問や電話などで伴走型の支援を行う)▽専門家相談・派遣(宮古、釜石、大船渡、陸前高田の4市で弁護士による定期無料相談などの実施)▽県内外避難者支援(実態調査を行い、必要な支援に結び付ける)―など。内陸のセンターで支援業務に携わってきた同法人が運営を継続し、相談員や事務員ら計6人体制で担う。内陸、県外避難者向けの支援拠点として、盛岡市材木町にサブセンターも設置する。
赤と黒のペイントが目を引くビルの1階に開設された「いわて被災者支援センター」
開所式には関係者ら約10人が参加。県復興防災部の戸舘弘幸部長が「これまで培った伴走型の取り組みを生かし、被災者一人一人に寄り添った支援を」と期待し、スタッフに身分証明書を手渡した。
山屋理恵センター長は「誰一人取り残さないとの思いで支援に努める。気軽に訪れ、今思っていることを伝えてほしい」と呼び掛ける。
開所時間は平日の午前9時~午後5時。問い合わせは電話0193・30・1034(5月18日~)か、080・9634・6650へ。
釜石新聞NewS
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