箱崎神社例祭宵宮~50周年を迎える箱崎虎舞保存会が舞を奉納し、漁業の安全やコロナの早期収束を祈る
宵宮祭で神前に玉串をささげ、地域の平穏を祈る住民ら
新型コロナウイルス感染症の影響が続く2年目の春―。例年4月に祭りを行う釜石市内の複数の神社は、昨年に続き、みこし渡御や郷土芸能団体による門打ちを取り止めるなどの対応を取った。箱崎町の箱崎神社では26日の例祭を前に25日夕、宵宮の神事のみを実施。地元虎舞団体が舞を奉納し、地域住民や基幹産業である漁業の安全、コロナの早期収束などを祈った。
箱崎神社の例祭日は旧暦の3月15日。今年は4月26日がその日にあたる。宵宮の神事には氏子総代や各漁場、虎舞団体の代表など16人が参加。神前に玉串をささげ、集落や海上の安全、豊漁など1年の平穏無事を祈願した。
箱崎漁港を見下ろす高台にある同神社は、2011年の東日本大震災の津波で床上まで浸水。社殿は流失を免れたが、参道階段前の鳥居1基が倒された。周囲には樹齢400年と推定されるアカマツを筆頭にスギやケヤキなどの巨木17本があり、「箱崎神社境内林」として同年2月24日に市の文化財(天然記念物)に指定されたばかりだったが、約2週間後に津波が直撃。17年には台風5号の被害でアカマツが倒れ、立ち枯れが確認されたネズコ、スギとともに指定木3本が伐採された。
海を臨む高台にある箱崎神社。変形した階段の手すりや大木の切り株が津波と台風の爪痕を物語る
宵宮祭で舞を奉納した箱崎虎舞保存会(金野一会長、会員30人)は、今年で50周年を迎える。震災の津波で当時の会員1人が犠牲になり、半数以上が自宅を失った。虎頭10体など用具類も流されたが、翌12年5月には、がれきの中から見つけ修復した頭3体を携え、町内の犠牲者の自宅跡を回って慰霊の舞をささげた。以来、各方面からの支援で失った用具などをそろえ、毎年春の同神社例大祭では、町内の家々を訪ね、舞を披露してきた。
境内で舞を奉納した「箱崎虎舞保存会」のメンバー
震災から10年となる今年は新しい防潮堤が完成し、自宅再建もほぼ終了。同虎舞50周年と合わせ盛大な祭りを思い描いていたが、昨年同様、門打ちは中止を余儀なくされた。金野会長(36)は「本来なら、みんなで喜びを分かち合いたいところだが、この状況なので何ともしようがない。来年の祭りに向け、この1年は準備期間とし、みんなの意見を聞きながらいろいろと模索していきたい」と話し、事態の改善を願った。
50周年を迎えた箱崎虎舞。次世代への継承を誓う
同神社氏子総代の浦島恵さん(83)は「虎舞も来て盛り上げてくれた。ありがたい。神社や祭りを末永く継承していくために若い人たちに入ってもらい、歴史をつないでいけたら」と望んだ。
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