復活4年目 「よいさ」彩る釜石の夏、思い思いのスタイルで躍進〜オープンシティ目指し元気発信
間近に迫ったいわて国体をアピールする県沿岸振興局チーム
釜石の夏を彩る「釜石よいさ」(同実行委員会主催)は6日、大町から只越町の目抜き通りを特設会場に開かれた。東日本大震災による休止を経て復活してから4回目。通算では28回目となる今回は、市内外から36団体、約2千人が参加。最高気温が30度に迫る暑さの中、思い思いのスタイルで熱い群舞を繰り広げ、約7千人の観客が沿道からエールを送った。今回は、間近に迫った希望郷いわて国体の50日前を記念し、炬火(きょか)イベントも併せて行われた。
そろいの浴衣姿であでやかな舞を披露し、夏の祭りを彩る「よいさ小町」
大町・青葉通りに設置された特設舞台で開会セレモニー。君ケ洞剛一実行委員長(38)は「いい町には元気な祭りがある。明日の活力へ一緒に踊りを楽しもう」と宣言。野田武則市長は「釜石はオープンシティを目指す。”つながり人口”で、まちを元気にしたい。縁のある人はみんな祭りに参加して」と呼び掛けた。
威勢よく餅まきで28回目の「釜石よいさ」の幕開け。特設ステージの前に大勢の市民が群がった
にぎやかに餅まきが行われたあと、錦町青年会が郷土芸能の虎舞を披露。続いて甲東、かまいし両こども園、正福寺幼稚園、上中島保育所の園児らが元気いっぱいの掛け声と踊りで「子供よいさ」を繰り広げた。目抜き通りの両側は、わが子の”晴れ姿”を追う家族らで埋まった。
「子供よいさ」で元気に行進する甲東こども園の園児ら。沿道では大勢の父母らが見守った
おはやし隊の太鼓や笛が鳴り響き、そろいの浴衣姿のよいさ小町があでやかに前ばやしを披露すると、いよいよ本番のスタート。そろいの浴衣や半てん、Tシャツなどに身を包んだ36団体の踊りの輪が回り始めた。
横断幕を掲げ、手作りの山車を繰り出し、独自にアレンジした踊りでアピールするグループも。躍動する踊りを、沿道から市民や観光客らが拍手で盛り上げた。
今回は、「釜石最後の芸者」といわれ今年1月に89歳で亡くなった伊藤艶子(藤間千雅乃)さんをしのび、伊藤さんが振り付けた「スタコラ音頭」も披露され、津波の教訓をアピールする場面もあった。
釜石の地方創生を模索しようと活動する「釜石○○会議」から誕生したお祭り支援活動チーム「おまつり男塾」からは30人余りが参加。ドイツ人で3年前から市教委の外国語指導主事(ALT)として小中学生に英会話を教えるウェルカ・ミシエルさん(30)は自前の浴衣を着て加わり、「ドイツにこんな祭りはありません。かまいしサイコー」と声を弾ませた。
「ドイツにこんな祭りはありません」とミシエルさん。自前の浴衣がよく似合う
法政大からはキャリアデザイン学部のゼミ生やOB13人が普段着で飛び入り。震災前からボランティア活動で釜石に足を運んでいるという会社員、広島愛子さん(29)=川崎市=は「釜石には魅力のある人がいっぱい。復興が体で感じられ、うれしい」と不慣れな踊りも楽しんだ。
人、人、人で埋まった露店。かつての釜石のにぎわいを思わせる
君ケ洞委員長は「天気にも恵まれ、震災後一番の祭りになった。みなさんが純粋に祭りを楽しむ表情を見て、本当の意味で釜石の夏の風物詩が戻ってきたと感じた。継続の難しさもあるが、さらに内容を充実させ、良い祭りにしたい」と思いを膨らませた。
(復興釜石新聞 2016年8月10日発行 第511号より)
釜石よいさ公式サイト
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