釜石高校センバツへ 東海市で合宿、甲子園で勝てるチーム力へ底上げ〜「大歓迎」姉妹都市も盛り上がる
21日から愛知県東海市で1週間にわたる合宿を行う釜石高野球部。東海市までバスで往復するという
20年ぶり2度目の春の選抜高校野球大会出場を決めた釜石高野球部は期末試験で休んでいた練習を15日から再開、甲子園に向けて本格的に始動した。この21日から28日まで温暖な愛知県東海市で合宿を行い、甲子園で勝てるチーム力に底上げを図る。釜石と同じ「鉄のまち」で、釜石出身者も多く姉妹都市関係にある東海市はこれを大歓迎。受け入れを担当する同市教委には「いつ来るの?」などと市民の問い合わせが相次いでいるという。
「祝 姉妹都市・釜石市 釜石高校選抜出場決定」――東海市役所の庁舎玄関には大きな横断幕が掲げられ、釜石高の合宿を歓迎、市民にPRしている。15日付の市の広報紙でも大きなスペースを割き、釜石高のセンバツ出場を紹介。合宿の受け入れを担当する市教委スポーツ課主事の近藤芳彦さん(29)は「ほんとにうれしい悲鳴」と対応に追われている。
釜石高の合宿を歓迎する東海市。市役所庁舎には横断幕も掲げられた
両市は毎年、野球やサッカーなどのスポーツで中学生が交互に訪問、交流を深めている。近藤さんも震災後に2度、釜石を訪れたことがあり、「鵜住居などの惨状を目にしたときは言葉もなかった。あの厳しい環境を乗り越えて甲子園出場を決めたと思うと、バックアップにも力が入ります」と思いを込める。
釜石高の練習用として地元の新日鉄住金東海REX、大同大、横須賀高の各グラウンドを確保。東海REXは宿泊用の合宿所も快く提供してくれるという。「市民からの問い合わせも相次いでいる。甲子園への応援バスも検討したい」と近藤さん。
先週、甲子園を事前視察した後、東海市まで足を運んだという釜石高野球部の佐々木偉彦監督(31)は「打ち合わせには東海REXのメンバーにも参加していただいた。心強い援軍です」と感激する。
「文武両道」を掲げる釜石高ナインは2週間に及ぶ試験休みを終えてやっと本格始動したものの、連日の厳しい冷え込みもあり、打撃、守備の練習は、質、量ともにまだまだ。大会まであと1カ月と迫るが、佐々木監督は「まだまだ、全然弱い」と力不足を認める。
東海市での合宿では、実戦形式の練習やバットの振り込みに時間をかける方針。「スポーツライターに甲子園の話を聞くなどメンタル面も鍛え、心と体をしっかりと準備したい」と佐々木監督は策を練る。
「工夫する力も必要では」と問いかける佐々木監督の言葉に耳を傾ける釜石高ナイン
菊池智哉主将(2年)は「全員が危機感を持って練習に取り組んでいる。甲子園で全力プレーを披露できるよう、東海市で鍛えてきたい」と決意。主将を支える奥村颯吾副主将(2年)は「甲子園で勝てるレベルにはまだ遠い。もっと意識を高く、上げていかないと」と気を引き締める。
釜石高ナインはあす21日、バスで東海市に向かう。
(復興釜石新聞 2016年2月20日発行 第463号より)
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