豪雨災害想定し避難実践 中小川町内会が10回目の防災訓練 自助・共助の連携確認

豪雨災害を想定して行われた中小川町内会自主防災会の避難訓練=12日
釜石市の中小川町内会自主防災会(佐々木正雪会長)は12日、ゲリラ豪雨による洪水、土砂災害を想定した防災避難訓練を行った。全国的に大雨災害が多発する昨今。命を守るための早め行動を住民に周知し、高齢者ら災害弱者を迅速、安全に避難させるための体制構築につなげようと実施した。住民らは避難所設営や初期消火の訓練も行い、地域防災への意識を高めた。
避難訓練は短時間に激しい雨が降り、小川川が危険水位に達したとの想定で行われた。地区内3カ所で警戒にあたっていた消防団員らから、川の水位上昇、沢から路上への土砂流出の報告を受けた佐々木会長が、市防災行政無線屋外拡声子局の放送設備で住民に避難準備を呼びかけ。3分後にサイレンを鳴らし、川から離れた高台道路に上がっての避難を呼びかけた。要支援者は家族や近隣住民に車いすを押してもらって避難した。集合した上小川・中小川集会所駐車場で5つの地区ごとに避難者数を確認。この日は72人が避難行動を取った。

小川川の水位上昇の連絡を受け、防災無線で住民に避難を呼びかける

川から離れた高台の道路を通って避難する住民ら

地区の集会所駐車場に集まった避難者の数を班ごとに確認
避難訓練の後は避難所設営を想定し、仮設トイレの組み立て、担架による傷病者の搬送、応急手当、炊き出し訓練などを実施。倒木による道路の寸断も想定し、林業関係者がチェーンソーで切断した木を消防団員が重機でトラックに積む撤去訓練も行った。この他、釜石消防署の協力で消火器による初期消火、煙体感トンネルを使った火災避難の訓練もし、いざという時の対応を学んだ。

避難所設営訓練では仮設トイレ(左)や簡易ベッド(右下)の組み立て、衛生用品の準備(右上)などを実施

傷病者の担架搬送(左)、けが人の応急手当(右)の訓練も行った

倒木の撤去訓練。チェーンソーで短く切断し、重機でトラックに積み込む
同訓練に初めて参加した小笠原柊介さん(10)は「家からどう避難すればいいか分かった。実際の災害の時も今日の体験を生かしたい」と話した。一緒に避難した祖母みゆきさん(58)は「今日はすんなり来られたが、大雨の際にちゃんと動けるか考えておかなければならない。浸水の危険が迫っている場合は自宅2階への垂直避難もあり得る。いざという時の行動を家族で話し合っておきたい」と気を引き締めた。
近所の90代女性の車いすを押して避難した84歳女性は「慣れていないので少し怖かったが、何とか頑張って連れてくることができた。自分の身を守りつつ、近くに助けが必要な人がいれば一緒に出たい。ここは沢水が下りてくる地域なので、早め早めの避難が大切」と実感を込めた。
川の近くに住む野田由美子さん(73)は「増水して家まで水が上がってきたら…という不安は常にある。中小川地区は山と山の谷間にあり、土石流などが発生したら身動きが取れなくなる」と危機意識を持つ。この日は母(94)の手を引いて避難。「やっぱり体で動かないとね。頭で分かっていても、実際に動いてみないと、いざという時に行動できない」と訓練の重要性を改めて心に刻んだ。

訓練用の水消火器で初期消火訓練。釜石消防署員から操作の仕方を教わり実践した

煙体感トンネルで火災避難を模擬体験。実際の火災では有毒な一酸化炭素を含む黒煙が発生するため、口や鼻をタオルなどで覆って低姿勢で避難することが大切
中小川町内会は昨年度、町内会活動の休止が続いていた上小川地区の住民を受け入れ、組織を再編した。加入世帯は約380世帯。同訓練は今回で10回目を数えるが、「高齢者の増加に伴い、参加者は年々、減ってきている」という。日中に災害が発生した場合、現役世代は仕事で地域にいない人も多く、高齢者の安全確保が課題。佐々木会長(76)は「民生委員を通じて避難の要支援者は把握しているが、被害が拡大すると手助けできる人員の不足も心配される。各地で大雨による災害が多発している。住民の命を守るためには、とにかく早め早めの対応が必要」と自主防災力強化に力を注ぐ。
訓練を見守った市防災危機管理課の土橋照好課長は、気象庁が本年5月に運用を開始した新たな防災気象情報(警戒レベル1~5)にも触れながら、「確実に情報を得て、(危険がさし迫る前に)率先して安全確保の行動を取ってほしい。自分の命は自分で守るという意識を強く持ち、地域で助け合いながら訓練も続けてほしい」と願った。

釜石新聞NewS
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