思い出いっぱい! 懐かしき日々よみがえる 今年度で閉校の栗林小 お盆帰省に合わせ校舎見学会


2026/08/24
釜石新聞NewS #地域

懐かしい写真を指差し、母校の様子を子どもに教える栗林小の卒業生=15日、栗林小校舎内

懐かしい写真を指差し、母校の様子を子どもに教える栗林小の卒業生=15日、栗林小校舎内

 
 「懐かしいー」「久しぶり!」。お盆中日の15日、夏休み中にもかかわらず、にぎやかな声が飛び交った釜石市の栗林小(高橋昭英校長、児童24人)。来年3月末で閉校し鵜住居小と統合する同校で、この日開かれたのは「思い出の校舎見学会」。帰省した卒業生、地域住民ら約200人が足を運び、さまざまな教室を見て回ったり学校の歴史を物語る写真を見たりして、それぞれの在校時代に思いをはせた。夕方からは7年ぶりとなる栗林町納涼大会も開かれ、住民らが思い出話に花を咲かせた。
 
 同見学会は地元住民組織、栗林共栄会(洞口政伸会長)が同校PTAと連携し、閉校記念事業に位置付けて開催。古里を離れている卒業生らも参加しやすいようにと日程を組んだ。午後1時から3時間、校舎内を開放。帰省した家族連れや、町内在住の中学生から高齢者まで幅広い年代が続々と訪れた。各階の教室などを見て回ったほか、古い時代の写真や児童らが所属した地域スポ少の展示も楽しんだ。
 
「校歌、覚えてる?」 卒業制作作品の校歌の版画(右下拡大)を見上げる見学者=視聴覚室

「校歌、覚えてる?」 卒業制作作品の校歌の版画(右下拡大)を見上げる見学者=視聴覚室

 
住民らが寄せた古い時代の写真も多数公開。モニターで過去写真のスライドショーも

住民らが寄せた古い時代の写真も多数公開。モニターで過去写真のスライドショーも

 
地元スポ少、栗林ゼブラ(野球)、栗林ラビー(バレーボール)の歴史を振り返る展示コーナーも設けた

地元スポ少、栗林ゼブラ(野球)、栗林ラビー(バレーボール)の歴史を振り返る展示コーナーも設けた

 
 開始早々に訪れたのは、卒業生の阿部(旧姓大丸)翔子さん(37、北上市)、大丸広希さん(28、愛知県)きょうだい。校舎内に足を踏み入れるのは卒業以来で、懐かしさに浸りながら校内を巡った。翔子さんは「視聴覚室の匂いが当時のまま」、広希さんは「変わっているところ、変わっていないところ両方ある」と年月の経過を実感。プール前では裏山を指差し、「全校児童が休み時間に山を登り、進んだ分だけ磁石の印を上げていくというのもやっていた」と翔子さん。強豪チームに成長したバレーボールスポ少「栗林ラビー」の主将も務め、「栗小生はラビーかゼブラ(栗林の野球スポ少)、どっちかに入っていた」とスポーツが盛んな地域だったことも明かした。2人が在籍した時代から児童数が少なかったこともあり、「閉校、統合は来るべくして来たという感じ。いずれは…とは思っていたので」と受け止めた。
 
帰省した栗小卒業生は家族で見学。思い出のプール前で記念の一枚

帰省した栗小卒業生は家族で見学。思い出のプール前で記念の一枚

 
地元を離れた卒業生は久しぶりに再会した地域住民らと会話が弾む(写真右側)。卒業生の子どもらも父母の小学校時代に興味津々(同左側)

地元を離れた卒業生は久しぶりに再会した地域住民らと会話が弾む(写真右側)。卒業生の子どもらも父母の小学校時代に興味津々(同左側)

 
 千葉県から帰省した藤原隼人さん、直子さん(旧姓駒林)夫妻(ともに48)は栗小の同級生。隼人さんは3年まで、直子さんは6年間を同校で過ごした。教室内に用意された写真アルバムをめくり、知った顔を見つけた隼人さんは「自分がいたころの雰囲気が感じられる」と郷愁に浸った。直子さんが印象に残っているのは6年時の「健康優良校」の受賞。当時、校内では基本的に“はだし”生活で、校庭もはだしで走ったり乾布摩擦をしたりして児童の健康増進を図っていたという。「大会もあって、みんなで一致団結して目標に向かっていたのを覚えている」と直子さん。栗小は自身にとって「人生の土台を作ってくれた大切な場所」と心に刻む。父親の転勤で4年時から千葉に移り住んだ隼人さんも「小学校の思い出はこっちの方があるかも。今から考えると、特別な経験ができた場所なので記憶に残っている」と語った。
 
栗林小は1989(平成元)年に健康優良学校として全国特別優秀校に輝いた

栗林小は1989(平成元)年に健康優良学校として全国特別優秀校に輝いた

 
教室の机と椅子に座って小学校時代の記憶をたどる卒業生 width=

教室の机と椅子に座って小学校時代の記憶をたどる卒業生

 
 5年時に栗小100周年を迎えた川崎修さん(59、釜石市)は、「この時にプールができ、校門付近に記念植樹もした」と記憶をよみがえらせる。教室の机と椅子に触れ、「こんなに小さかったかな…」とぽつり。在籍時は全校で100人ぐらいの児童がいた。“栗林っ子まつり”という行事で、全校児童が郷土芸能の踊りを覚えて発表したり、他校の教職員がよく視察に来ていたのを覚えているという。栗林ゼブラにも所属し、「夏になると男子は水泳大会に陸上記録会、ゼブラの野球練習と、放課後は大忙しだった」と懐かしむ。展示では昭和時代のゼブラ準優勝の賞状も見つけた。
 
廊下にも思い出がいっぱい。東日本大震災後、校名の漢字が同じという縁で相互交流を続けてきた香川県高松市の栗林(りつりん)小の展示も(左下写真)

廊下にも思い出がいっぱい。東日本大震災後、校名の漢字が同じという縁で相互交流を続けてきた香川県高松市の栗林(りつりん)小の展示も(左下写真)

 
図書室で在校時の思い出に浸る釜石東中生。それほど年数がたたずとも「なつかしー!」

図書室で在校時の思い出に浸る釜石東中生。それほど年数がたたずとも「なつかしー!」

 
 「これを機に最後に見ておきたいと思って…」。同校を卒業した友人と校内を回った釜石東中3年の小笠原楓真さん。わずか3年ぶりとはいえ懐かしさはいっぱいで、図書当番で昼休みを過ごした図書室で自分の名前の入ったものを見つけ、うれしそうな顔を見せた。思い出として挙げたのは体育館裏の学校の畑作りを頑張ったこと。「閉校は少し悲しいが、鵜小と一緒になることで友達も増える」と、新たな環境で学ぶ後輩たちの明るい未来を願った。
 
 栗林小は1877(明治10)年開校。戦後の教育改革で中学校が併設され、栗林小中学校として同じ校舎で学んだ。1969(昭和44)年に火災で校舎が全焼。翌70(同45)年に新校舎が建てられた。中学校は73(同48)年に鵜住居中、箱崎中と統合され、釜石東中となった。後に特別教室の増築、体育館の建て替えなどもあり、現在の形となった。小中学校時代には児童生徒が約300人いた時期もあったという。小学校は2010(平成22)年に橋野小と統合した。
 
火災後に再建された栗林小の校舎。増築や一部改修などはあるが、形は基本的に変わっていない

火災後に再建された栗林小の校舎。増築や一部改修などはあるが、形は基本的に変わっていない

 
校長室では栗林小と統合前の橋野小の歴代校長の顔写真も展示した

校長室では栗林小と統合前の橋野小の歴代校長の顔写真も展示した

 
 高橋校長は「多くの人たちが見学に来てくれて、地域に愛されている学校というのを改めて実感した。皆さん、懐かしい顔にも会えて喜んでいた。こういう機会を持てて本当に良かった」と感謝の気持ちを口にした。
 

校舎見学の後は… みんな集まれ! 栗林のお盆恒例「納涼大会」 7年ぶりに開催

 
「カンパ―イ!」 7年ぶりの納涼大会に笑顔を広げる栗林町民ら=15日、栗小体育館

「カンパ―イ!」 7年ぶりの納涼大会に笑顔を広げる栗林町民ら=15日、栗小体育館

 
 校舎見学に合わせて開催したのは地域のお盆恒例行事、栗林町納涼大会(栗林共栄会主催)。帰省者を含めた住民交流の場は約30年前にスタート。幅広い世代が集まり、カラオケや盆踊り、花火、飲食などを楽しんできた。震災後は町内に建てられた仮設住宅で暮らす被災者も招き、交流の輪を広げた。新型コロナウイルス感染症の影響で2019年を最後に開催できない年が続いていたが、今回の校舎見学会に合わせ7年ぶりに復活させた。
 
 催しの運営に力を発揮するのは2002年に結成された栗林青年団。現会長の川崎仁士さん(45)は「栗林の先輩方はみんな地域のために一生懸命。震災後、町内に移り住んだ人たちも祭りやこうしたイベントを通して地域になじんでもらえている。小学校はなくなるが、今後もこうした交流の場を設けていければ」と話す。前会長の伊藤健さん(45)も「お盆といえば納涼大会というのが栗林住民の通例。再開されてうれしい。こういった場で久しぶりに会う人もいるので地域にとっては大事な行事」と継続を望む。
 
体育館前にはキッチンカー3台が出店。好みの軽食を買い求め館内のテーブルへ

体育館前にはキッチンカー3台が出店。好みの軽食を買い求め館内のテーブルへ

 
子どもたちは浴衣や甚平姿で楽しむ。夏休みの大切な思い出

子どもたちは浴衣や甚平姿で楽しむ。夏休みの大切な思い出

 
 岩﨑涼風さん(20)は就職で一度釜石を離れたがUターン。この日は日中、校舎内も見学し、思い出に浸った。久しぶりに会った2歳上の先輩と意気投合し、納涼大会にも参加。「社会人になると友達と会う機会も減ってしまうので、こういう集まりがあるとうれしい。お盆中は雨が続き、家にばかりいた。今日は天気も良く気分最高。お酒もおいしい」と2人で笑顔を重ねた。
 
再会、交流の場となった栗林町納涼大会。今後も続くことを願って…

再会、交流の場となった栗林町納涼大会。今後も続くことを願って…

 
 共栄会の洞口会長は校舎見学会に高齢者も多数訪れたことに驚き、「この学校にはそれだけ歴史があり、思い出があるということ。地域と学校が一緒になって栗林小を育ててきたことがよく分かる。統合しても先輩方が築いてきた『地域で子どもたちを見守る
』という伝統だけは絶やさずに残していってもらいたい」と願った。

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