釜石「御箱崎の千畳敷」を国登録記念物に 文化審が答申 太平洋望む花こう岩風景 名勝価値を評価


2026/06/24
釜石新聞NewS #観光

国の登録記念物に指定される見通しとなった釜石市箱崎町の「御箱崎の千畳敷」=写真提供:釜石市

国の登録記念物に指定される見通しとなった釜石市箱崎町の「御箱崎の千畳敷」=写真提供:釜石市

 
 文部科学大臣の諮問機関、文化審議会(日比野克彦会長)は19日、釜石市の箱崎半島先端に位置する岩石海岸「御箱崎の千畳敷」を国の登録記念物(名勝地関係)に登録するよう答申した。近く、登録される見通し。長い年月をかけ自然の営みによって生み出された海岸は唯一無二の景観を見せており、名勝地としてその価値が評価された。
 
 大槌湾と両石湾に挟まれた箱崎半島の先端部は急峻な海食崖に囲まれ、両石側には波によって平らに削られた波食棚が最大幅約100メートル、延長600メートル余りにわたって広がる。千畳敷と呼ばれ、地名「箱崎」の由来となった同所には箱状の岩々が重なり、特異な景観を見せる。前期白亜紀、約1億2千万年前にマグマが上昇し、冷え固まってできた花こう岩類が隆起。海食が繰り返されて形成されたものと考えられている。しま状に刻まれた波食溝やでこぼこな岩肌が奇岩怪石を成し、くぼ地の潮だまりなどとともに海岸の表情を豊かにしている。太平洋の青い海の手前に白い千畳敷を臨む風景は美しいコントラストを生み、日の出の名所としても知られる。南東方向には国の天然記念物に指定されている無人島「三貫島」も見える。
 
上空から撮影した箱崎半島の先端部。右側が大槌湾、左側が両石湾=写真提供:かまいしDMC

上空から撮影した箱崎半島の先端部。右側が大槌湾、左側が両石湾=写真提供:かまいしDMC

 
隆起した花こう岩が波による浸食で荒々しい姿を生んでいる

隆起した花こう岩が波による浸食で荒々しい姿を生んでいる

 
千畳敷からは国天然記念物の三貫島などを見ることができる=写真提供:釜石市

千畳敷からは国天然記念物の三貫島などを見ることができる=写真提供:釜石市

 
 釜石市文化財保護審議会の藤原信孝会長は「古くから地元住民に愛されてきた自慢の景勝地が国に認められたのは大変うれしく、願ってもないこと」と喜びを表す。同所は「三陸復興国立公園」や「三陸ジオパーク」の一部でもある。箱崎半島の突端、御箱崎灯台までは自然歩道が整備されているが、千畳敷に下りるには崖伝いの急で狭い道を通らなければならない。観光ガイドでもある藤原さんは「登録で来訪者が増えることも予想される。岩場に下りて見る景色が最大の魅力だが、危険も伴うため、今後はさらなる安全対策が必要」と話す。
 
半島の突端、御箱崎灯台までは歩行可能な散策路が続く。灯台の手前には地元住民が祭った御箱崎神社がある

半島の突端、御箱崎灯台までは歩行可能な散策路が続く。灯台の手前には地元住民が祭った御箱崎神社がある

 
千畳敷は急峻な崖を下りた先に広がる。水平線の大パノラマを見られるのは半島の先端部ならでは

千畳敷は急峻な崖を下りた先に広がる。水平線の大パノラマを見られるのは半島の先端部ならでは

 
長い年月をかけて波に削られ平らな岩盤地形となっている千畳敷。地球の息吹を感じる

長い年月をかけて波に削られ平らな岩盤地形となっている千畳敷。地球の息吹を感じる

 
 みちのく潮風トレイルの人気の高まりで、半島部のトレッキングを楽しむ人は多い。千畳敷は同トレイルの本コースからは外れているが、途中から足を延ばす人も。今回の答申について小野共釜石市長は「この地が持つ文化的・景観的価値が国に認められ、極めて喜ばしい。貴重な文化財として保存に万全を期すとともに、これまで以上に観光への積極的な活用を図っていきたい」と談話を発表した。県内の国登録記念物は4件目となる。

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