一緒に楽しもう!郷土色あふれる芸能 釜石虎舞の体験教室 伝承団体「仲間、求む」


2026/05/07
釜石新聞NewS #文化・教育

釜石虎舞を体験する教室で基本姿勢を教わる子どもたち

釜石虎舞を体験する教室で基本姿勢を教わる子どもたち

 
 釜石市内各地に伝わる郷土芸能の体験教室が2日、同市鈴子町のシープラザ釜石で開かれた。地域が誇る文化遺産を継承するための人材の確保と育成につなげようと、市教委文化財が昨年度から取り組む事業で、第二弾となる今回取り上げられたのは“釜石虎舞”の世界。「尾崎町虎舞」を受け継ぐ尾崎青友会(伊藤広矢会長)がその魅力や活動の楽しさを発信した。
 
 青友会のメンバー約20人がお囃子(はやし)を響かせながら館内を練り歩いて登場。市民や観光客ら大勢が見守る中、「遊び虎(矢車)」「跳虎」「笹喰み」といった伝統演目を迫力ある動きで魅せた。
 
迫力ある演舞を間近で楽しむ人たちに笑顔が広がる

迫力ある演舞を間近で楽しむ人たちに笑顔が広がる

 
威勢のいいかけ声、おはやしに合わせた演舞で観客を魅了

威勢のいいかけ声、おはやしに合わせた演舞で観客を魅了

 
 お待ちかねの体験は、囃子を構成する太鼓、舞に使う「頭(かしら)」を操るグループに分かれて行われた。挑戦者の多くは子どもたち。太鼓が人気で、中にはメンバーをうならせる、ばちさばきを見せる子もいた。
 
太鼓の打ち方を教わり笑顔を見せる子ども

太鼓の打ち方を教わり笑顔を見せる子ども

 
虎頭を持って舞うための基本を練習する子どもたち

虎頭を持って舞うための基本を練習する子どもたち

 
 舞い手として虎頭に触れる体験では、伊藤会長(35)らが基本の姿勢を指導した。▽両足を肩幅に開く▽膝を曲げて腰を落とす▽背中は真っすぐ伸ばす▽腕は耳を隠すようにして真っすぐ上げる―などさまざまある中で、地元の小学生、竹山凛乙さん(7)が印象に残ったのは「(自分の)頭は下げること」。虎頭を持つ手(腕)は上へ伸ばすが、自分の頭も上がっていたら「ポコッとこぶのようなものがある虎に見えてしまうから」で、格好いい舞いを見せるための姿勢は「ちょっと難しかった。けど楽しかった」とはにかんだ。
 
 虎の動きとなる足さばきも教わった後は、それぞれの成果を発表。覚えたての太鼓のリズムに合わせ、かわいらしく動く虎の姿に会場からあたたかい拍手が送られた。後押しとして威勢のいいかけ声、軽快な笛の音を響かせた青友会メンバーの表情も和らいでいた。
 
格好いい虎舞を!教えてもらった動きを実践する参加者

格好いい虎舞を!教えてもらった動きを実践する参加者

 
参加者との触れ合いに笑顔を広げる尾崎青友会のメンバー

参加者との触れ合いに笑顔を広げる尾崎青友会のメンバー

 
 体験教室は「かまいし春まつり」と同時開催され、地域外の人も参加した。お囃子の音に誘われたという花巻市の小学生、佐藤煌星さん(8)は「いろんな音がして、すごかった」とびっくり。その地に根づく文化との思いがけない出合い、触れ合いに「いい経験になった」と笑顔を見せた。
 
 尾崎町虎舞は町を称した名となっているが、もとは台村と言われた現在の浜町2丁目に伝わる「尾崎虎舞」が前身。地元では「台村虎舞」と呼び親しむ人もいる。現山田町の大沢虎舞の流れをくむ釜石・甲子町の「松倉虎舞」に始まるとされる。主に尾崎神社の祭礼で奥宮のご神体が船で海上を渡る際に随行役を担い、海上安全や大漁を祈願して奉納される。漁師町でもあったことから“浜っ子気質”の威勢のいい独特の囃子と虎のたけだけしさを表した舞が特徴。1998年に「釜石虎舞」として、市の無形文化財に指定された。
 
教室に協力した尾崎青友会が伝承する尾崎町虎舞

教室に協力した尾崎青友会が伝承する尾崎町虎舞

 
舞い手としての基本の動きを伝える伊藤広矢会長

舞い手としての基本の動きを伝える伊藤広矢会長

 
 伊藤会長によると、メンバーは子どもから、長く伝承活動を続けるベテランまで合わせると約50人いるが、近年、主に活動するのは約30人。人数的にいると思われるが、30代は2人、中学生は3人など「このままだと途切れる年代がある」と危機感を持つ。伝承する舞で地域を盛り上げながら、会として発展していくためにも「次代への継承は必須」と確信。そして、「歴史あるから絶やすことはできない」と力を込める。
 
 拠点は浜町2丁目だが、現状、その地区に暮らす子どもや担い手は少なくなっている。東日本大震災による転居、進学や就職といった人生の変化もあり、メンバーは市内外に「てんでんばらばらになっている」と伊藤会長。それでも「好きだから」「盛り上げたいから」と、地元の祭りや催しの出演時には「駆け付けてくれる」と頬を緩める。
 
 中学校、高校への働きかけの必要性を考えたりする中で声がかかった体験教室の実施を、伊藤会長は歓迎する。自身も現在は嬉石町に住んでおり、地域にこだわらない参加を熱く呼びかける。「一緒に楽しんでくれる仲間を待っています。ぜひ!」
 
郷土芸能体験教室で触れ合った尾崎青友会メンバーと参加者

郷土芸能体験教室で触れ合った尾崎青友会メンバーと参加者

 
 体験教室は3日も開かれ、同じく市指定文化財「錦町虎舞」が伝統の舞いに触れる機会を提供した。虎舞のほかにも神楽、鹿踊など、さまざまな芸能が伝承される釜石。市教委文化財課では地域に脈々と継がれた文化を市民らが身近に感じ、なじんでもらうため、こうした取り組みを続けていく考えだ。

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