持続可能な地域医療提供へ 県内初の連携法人「釜石スクラムメディカルネット」設立慢性期の適切治療推進

地域医療連携推進法人「釜石スクラムメディカルネット」の構成メンバーら
釜石市の慢性期型病院や診療所が業務連携し適切な治療を行うための、地域医療連携推進法人「釜石スクラムメディカルネット」が本年度から始動する。5医療機関が参画し、急性期から回復期、慢性期に移行する患者の医療体制を構築するほか、医師の相互支援、医療機器の共同利用などで各機関が経営の効率、安定化を図り、持続可能な地域医療の提供を目指す。4月1日付で県知事の認定を受けた同法人が28日、中妻町の釜石医師会館で法人の設立趣旨や運営方針について説明した。
連携推進法人は医療法人楽山会(せいてつ記念病院)、独立行政法人国立病院機構(釜石病院)、医療法人仁医会(財団)(釜石厚生病院、釜石のぞみ病院)、医療法人社団KFC(釜石ファミリークリニック)、一般社団法人釜石医師会、釜石市の6者で構成。楽山会の佐藤滋理事長(せいてつ記念病院長)が代表理事を務める。連携推進(対象)区域は釜石市と大槌町。

法人設立記者発表会であいさつする佐藤滋代表理事(医療法人楽山会理事長、左から2人目)

法人の設立趣旨、運営方針、主な取り組みなどが説明された
法人設立は人口減少や高齢化に伴う地域医療の課題を解決するため、複数の医療機関が連携し、持続可能な医療提供体制を構築するのが狙い。各機関の専門性を生かした機能分担と業務連携で、急性期治療後の患者が状態に応じて必要な医療を受けられるよう体制を整える。合わせて、退院後の生活まで切れ目なく支えるために介護・保健・福祉との連携を強化。在宅復帰支援や在宅医療により、高齢者が住み慣れた地域で最期まで自分らしく暮らせるよう、地域包括ケア推進に寄与する。
主な取り組みは▽医師の相互支援(診療援助)▽患者情報の共有▽医療機器の共同利用▽医療材料、医薬品の共同交渉、購入▽病床の融通▽在宅医療充実のための機関ごとの役割分担―など。将来的には、患者のスマートフォンなどに医療情報を入れ、救急搬送や災害時に提示することで、迅速、適切な対応が可能になるような仕組みも実現させたい考え。

「釜石スクラムメディカルネット」連携のイメージ図=同法人提供

ITを活用した取り組みについて話す成田徳雄理事(独立行政法人国立病院機構釜石病院特任参与、左から2人目)
同市の人口はかつて9万人台を記録したが、今は3万人を切り、同じ保健医療圏の大槌町と合わせても約4万人。同市には人口増加期に整備された総合病院が複数あるが、人口減少で患者数、医療従事者ともに激減し、病院経営も厳しさを増す。医療機関を存続させ、市民が継続的に必要な医療を受けられるようにするにはどうすればいいのか? 市内の医療法人などは「競争ではなく“協調”」という考えのもと、各機関の機能を重視した連携の形を模索。国が創設した「地域医療連携推進法人制度」の法人認定を目指し、2024年から準備を進めてきた。本年2月に県知事に認定を申請し、県医療審議会の協議を経て4月1日に認定された。同法人の認定は県内初。
佐藤代表理事は「ゆくゆくは釜石、大槌の開業医、介護施設を含めた情報交流ができれば。法人の取り組みは開業医にとってもメリット。地域全体の医療、介護をカバーできるような組織を目指す」と話した。

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